試験は合格? ナス田楽と現実の世界の巻
こんばんわ、ついに面接試験最終です。
楽しんでいただけれは嬉しいです。
「あ、頭を上げてください・・・って誰も聞いてないのですかーっ!?」
「ご主人様見てみて、すごいあるーっ、あそこのお尻にキューリがささったおっちゃん、バーコードハゲある。吹けば飛ぶバーコードあるーっ」
「こら、変態ぽい人に指を指したらダメだぞ」
「あはーん、あたしはご主人様のピーをピーにさしてほしいある」
「こら、僕のケツを触って、色っぽい声をだしてさけぶなーっ」
領主の屋敷から、奴隷少女Aに連れられて僕が広場にたどり着くとあれほど溢れていた亜人の姿が霧散したように亜人っ子一人いなかった。
ただ、勇者の末裔としてそれそれ迫害をうけていたトロロさんたちが僕と奴隷少女Aを見るなり、飢えたシルクがパン食い競争に出た、走ってくると勢いよく地べたに頭を擦りつけている。
こ、これは、伝家の宝刀、ザ・土下座ではないですか!
僕のお尻をもみもみしながらストーカーの如くぴったりとついて来ている奴隷少女Aを見ると肩を竦めながらも僕を見て仄かに微笑んでいた。
「ご主人様、迫害されていた土下座奴隷たち本当に時間が止まったみたいに動かないある、このおっちゃん・・・お尻のきゅうりがプルプルしているある・・・ウププ」
「こら、人ごとみたいに言うなよ」
「この子たちのことなんてとっても人ごとある。あたしのご主人様がす・べ・て。それに、奴隷開放のためにゴブリンも逃げて通りそうな、細菌だらけの臭すぎるグロイ肉を食べた勇気が凄いある」
「そんなこと一言も言ってなかっただろーっ」
「聞かれなかったある」
そう言われると言い返す言葉もない・・・グロすぎた熊の肉、生だったけど、かみさまーっ! 僕のお腹に変な病気や寄生虫はないですよねーっ。
僕の心の叫びなどどこ吹く風か、トロロさんたちは渾身の土下座を解く気配すらない。
ここは気分を一新して。
「いい加減に頭を上げてください」
僕の言葉の直後、トロロさんがおかっぱ頭を上げると何か偉大な英雄でも見ているような蒼い瞳を向けてくる。
そのあこがれの人を見るような瞳・・・こそば痒いです。
「あ、ありがとうございます・・・わ、わたしたち、こんな私たちのために」
蒼い瞳に涙いっぱいのトロロ。
その硬い表情の中には迫害という連鎖から開放された喜びが実感として徐々に湧き上がっていた。
「トロロさん」
「は、はい」
「まず、僕から言いたいことは・・・」
そう、僕は目的があってやってきたのだ。
あの極貧流民生活から開放するべく定職につくために。
だから僕ははやる気持ちを押さえつけながら胸の中で頑張れ、頑張れと自分の勇気を励ます。
そして、なけなしの勇気を振りしぼると、とっても緊張した面持ちで口を開いた。
「今月分のお家賃回収します」
僕が言葉を発した瞬間。
暖かくてまばゆい光があふれた。
安定した白銀色の光が視界をおおう。
思考回路はしっかり活動しているのに身体がいうことをきかない。
いったい何がおこっているのか?
まるで僕の肉体が粒子になったようだ。
どれだけの時間がたったのか見当もつかないが、やがて、肉体の感覚が戻り、そっと目をあけた。
見覚えがある廊下。
僕の隣には101号室のドア。
「よくやりましたわ、万年発情期チンコ魔人、そのチンコと活躍に免じて、この度の試験、貴方を特別に合格にしてあげましてよ」
そこにはセーラー服を着た珍妙不可思議な土偶・・・いや、アラハ先輩が迫力満点でナス田楽を器用に食べていた。
そして一言。
「改めて、ようこそたんぽぽ荘へ、貴方はこれからわたくしの家賃徴収第一部隊の指揮下にはいっていただきますわ」
これって試験合格したってことだよね。
そう考えただけで僕はその場にへたりこんでしまった。
そしてアラハ先輩から差し出されたナス田楽を一口たべて、現実なんだと実感した。
そう、僕とシルクの新たな住処が決まったことに歓喜しながら。
いかがでしたか?
次から新しい章にはいります。
色々と補足がたらない箇所があると思いますがご意見やご感想をお願いいたします。
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