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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第二部 リン君と機械帝国の創世期編
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並行異世界編……家賃徴収店子は師匠? 師匠って小さなライオンぬいぐるみさんなのですかーっ!?

お久しぶりです!

楽しんでいただけましたら幸せます!

「がううぅーっ曲者ガウ! ガウガウの食事中に何処から入ってきたガウーっ!」


ちゃぶ台の上にはゴミ捨て場に落ちていそうな小皿に乗ったカビカビに変色した沢庵と使い古されたスプーンに添えられた麦粥……そして、その貧しい食事の前に鎮座している小さなライオンのぬいぐるみ。


「ひえぇぇぇぇーっ、す、すみません! け、決して不法侵入をした訳ではないのです!」


なんでやねーん! この小さなぬいぐるみからの威圧はいきなりの出来事じゃないですかーっ!


そう、茶色い封筒の中に入っていた手紙を見た途端のワープ? テレポーテーション? などと予想外の出来事には慣れっこなので大丈夫なのですが……超ド級すぎる物凄い威圧にあうあうと口をパクパクさせて絶賛テンパッタ中になってしまいましたーっ。


「金魚みたいに口をパクパクさせすぎガウ、とりあえず、おちつけガウ! ガウガウのお風呂用おちょこに三十年間使い続けている出がらしのお茶入れたから飲むガウ!」


 小さなちゃぶ台の前で腰を抜かしそうになっている僕を気遣うように飲み口が欠けたお猪口に身体全体を使ってお茶を淹れてくれた小さなライオンのぬいぐるみ。


 小さなライオンぬいぐるみ、その大きさは五センチ程度……冷静になれば可愛いぬいぐるみであろう。


 少し冷静に辺りを見回す。


 ここはささくれが目立つ六畳一間の畳部屋。


 茶色の封筒に入っていた手紙を開けた途端、現れた世界に心がのみこまれてしまいました僕が表現すすれば……ここは大正の臭いがプンプンする貧乏くさい六畳間です。


 そんなお部屋のちゃぶ台の前に本能からブルブルと震えながら座っている……こんにちはりんです。


「びっくりしたガウ! 面識のない男女みたいな可愛い若者がガウガウのお部屋に土足で現れたので少し威圧をかけて悪かったガウ」


「い、いえ……こちらこそ突然訪問してしまい……す、すみましぇん」


 ひえぇぇーっ、口がうまく回らないぞーっ! 


 あ、あのライオンのぬいぐるみが放った威圧感はシルクと放浪の旅をしていた時に雨露を凌ぐために橋の下に作った段ボールハウスで「うちのパンツの臭いを嗅いで失神するとは乙女の侮辱なのですーっ! ほんの百年しか履いていない新品同様なのですーっ!」と言っていた怒髪天を突くほどのシルクの威圧と同等の威圧でしたよーっ!


「あの……もしかして」


「何がもしかしてガウ?」


「たんぽぽ荘に家賃滞納されていますか?」


「なにぃぃぃーっ、たんぽぽ荘ガウ!? お前はたんぽぽ荘の家賃徴収人ガウ? ガウガウは袖をふってもびた一文ないガウ、もう質に入れる物もないガウ!」


さっきの威圧は何処へやら、ちゃぶ台の上でゴロゴロ転がりながら涙を流し続けるライオンのぬいぐるみ……ガウガウさん。


「泣かないでください、す、すみません! 手紙を読んだらここに飛ばされまして」


「手紙ガウ? ちょこっとガウガウに見せるガウ。こう見えても昔は貧乏学校の校長先生をしたことあるほどアニマルぬいぐるみ族では博学ガウ」


 急に泣きやんだ小さいライオンのぬいぐるみガウガウさん、身体全体でお猪口をこちらに押して「温かい内に飲むガウ」と勧めてくれる……けど、そのお猪口はお風呂って言ってましたよねーっ!


「えっと、こちらが手紙です……あ、あの、もしかして、その貧乏な学校って『たんぽぽ荘の家賃徴収人』を教育する学校ですか?」


「思い出しただけでも涙涙の物語ガウ! そうガウ! 御大神様に頼まれて五十年ほど勤めたガウ。タダ働きたったガウ! おかげで今はとっても貧乏暮らししているガウ……貧乏なんて嫌いガウ」


茶色の手紙をちゃぶ台の上に広げると「確認するガウ」と言って転がりながら小さなライオンのぬいぐるみのガウガウさんは手紙を読み始める。


「なるほどガウ……てっきりなけなしのお金を奪っていく家賃徴収人が来たのかと勘違いしたガウ。ガウガウから喝上げするにしても家賃徴収人にしてはひょっこすぎるからおかしいと思ったガウ」


 じーっと僕を見つめてくる小さいライオンのぬいぐるみ。


 その瞳は何処か悟りを滲ましたように透徹していて、僕の全てを見通しているような不思議な感覚に呑みこまれる。


「お前……凄く複雑な運命に振りまわされているガウ」


 とても真面目な声……そして何処か憐れみを感じる声。


「今全てが見えたガウ。 はっきり言ってお前は他の強大な力を宿した神達を始め、運命や宿命なんてチンケなものに振りまわされすぎガウ……だからリリスの因子が縋るように頼るようにガウガウのもとにお前を連れてきたガウ」


「リリスの因子?」


「無知は罪ガウ……詳細は自分の意志と莫大な伸びしろを伸ばして感じ取れガウ! 特別出血大サービスガウ! 百獣の王っぽいぬいぐるみのガウガウが師匠になってやるガウ! 運命を変えたいなら受け入れろガウ!」


 この時、少し汚れた小さなライオンのぬいぐるみが僕の師匠になるなんて露にも思っていませんでした。


 この出逢いが僕を運命……そう、神々と対等に戦っていくだけの力量と生涯の友人であり師匠を手に入れた瞬間でした。


「とりあえず……お前名前は何て言うガウ?」


「は、はい、リンです」


「正直者で可愛いガウガウのことは師匠と呼んでも良いガウ! しばらくはここで一緒に暮らしながら稽古をつけてやるガウ、そしてバイトをしながら滞納している家賃を一緒に稼ぐガウゥゥゥ!」


 ガウガウ師匠のとびっきり大きな声が小さな六畳間に木霊するのであった。


 


いかがでしたか?

遂にシルクと双璧となりうるキャラクターのガウガウが登場しました。

並行異世界編のキーマンになりうるキャラクターの予定です。

そして、次回、遂にシルクとミヒロがリン君と×××なのです!


今回もかきくけ虎龍作品を読んでいただきありがとうございました。

今後とも宜しくお願いします。

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