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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第一部 たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事編
13/162

 戦慄の奴隷少女Aと熊の肉の巻

こんばんわ、やっとアップできました。

楽しんでいただきましたら幸いです。

「こんな可愛らしい女の子が遊びに来たあるのに、お茶も出さないなんてプンプンあるよ」

「この状態で出せたら大したものだと思うよ・・・むしろこの状態でお茶を飲める方が凄いかも」


 僕は小さく溜息をつくと部屋の中を見回した。

 でへへ、ようやくわかったあるか、あたしの功績を褒めて褒めてとキラキラしたお目目で僕を見る奴隷少女A。

 そんな二人の蜜月に水をさすように騎士爵バウナーはグッと睨みをきかせる。


「遊びにだと身の程をわきまえろ・・・我を・・・騎士爵バウナーとしっての狼藉だろうな」

「ろうぜき? もしかして、ロウと絶大勃起の略語あるか!? それとも・・・過激すぎて言えないある・・・この熊おやじ、変質者すぎるある」


 奴隷少女Aはそう言いながらわざとらしく首を傾げる。

 だが、騎士爵バウナーの喉元に突きつけた銅の剣が奴隷少女Aの本心をもの語っていた。


 ここは騎士爵の屋敷、本来なら領主がまったりとくつろぐ部屋だ。


 ただ、飾られた豪華な調度品や足元に敷き詰められた高級絨毯は騎士爵の部下たちの血に染まってしまい、職人の技で仕立てられた美しさそのものが色あせて見えた。

 もったいないかぎりだ・・・貧乏な僕にはとても手が出ない金額だな・・・現実の家計簿的には、スーパー特売あんぱん88円のほうがお腹が膨れて幸せになれるので価値があると思う気がするーっ。


 

「我に対するこのような所業、我が主である魔王様に対しての侮辱・・・貴様ら、この屋敷から生きて帰れると思うなよ」

「あーこわこわ、脅しあるねー! ここの騎士爵は自分の立場も認識できない耄碌ある」


 奴隷少女Aが冷淡に微笑んだ。

 その微笑みの意図を騎士爵バウナーは本能で悟る・・・そう、どうしようもないほどに。 


「兵隊さんを呼びたければ呼んでいいあるよ、ただし、皆等しく生首が転がるだけある」


 騎士爵バウナーの瞳が恐怖の色で歪む。

 死を予感させるに充分な状況。

 全身の汗腺が開き、心地の悪い脂汗がじゅわっと流れ出す。


「も、目的は何だ・・・金か? よもや中央の奴らの手のものか?」


 もはや恐怖に呑み込まれた騎士爵バウナーの声音は緊張したように掠れ、領主たる威厳も失っていた。


「今、引き上げるなら目を瞑ってやるぞ」

「熊オヤジ、この期に及んで、とっても面白いことをいうあるな」


 奴隷少女Aは唇の両端をギュと釣り上げて蜂蜜色の瞳からバウナーに向けて冷ややかな視線を送った。


「これほどの剣士・・・我がもとで存分に腕を振るわないか、賃金は5倍・・・いや、10倍だそう」

「汚い金なんていらないある」


 そして奴隷少女Aは何故か僕にアピールするように頬を桜色に染めて恥ずかしそうにチラチラこちらを見てくるぞ。


「ご主人様の言葉は絶対的ある。あたしの命なんて道端の石ころよりも価値がないある、全てにおいて任務優先ある・・・ドSなご主人様・・・ググっと来たアルか」

「こんな血だらけの惨劇部屋にてググっと感じたら、ドSの才能開花よりもマッドサイエンティスト的才能に溢れているとおもうぞ」

「今宵はハードプレイということあるね」

「なんでそうなるねんーっ」

「ど、どうだ、好きなだけ金をやろう、なんだったらこの街の名主に取り上げてやっても良い。その銅の剣を俺の首から離して服従すれば、褒美を存分にやる」

「熊オヤジ・・・うるさいある」

「うぉーっ」


 騎士爵バウナーが驚愕によって開かれた目を閉じることなく、その首が絨毯に転がる。

 胴体が力なくその場に崩れると溢れかえった血と銅の剣から滴る血で大きな血だまりができた。

 なんでこんな血だらけな惨状になるのですかー。


「首を失った無口な騎士爵の領主様はとってもお話がわかる御仁で良かったある・・・死亜人に口無しあるね、あとは・・・ご主人様とイチャラブだけある?」


 ・・・という事がたった今、僕の目の前で起きていた。


「そんなところで突然、ゲーゲー吐いてどうしたあるか?」

「この環境なら誰でも吐くわーっ!」


 奴隷少女Aは銅の剣を鞘に収めると、血を存分に含んだ絨毯を見て「あちゃ、靴がびちゃびちゃになるある・・・ご主人様、新しい靴を買って欲しいある」と僕を凝視しながら猫なで声を発してくる。

 その猫なで声はライオンよりも怖いです。


「ご主人様の願いも叶うので円満解決ある」

「願いが叶う? 何だか、独房で一生暮らさないといれない殺人罪で捕まることは望みじゃないけど」

「こうするあるよ」


 絨毯にぐったりと転がる騎士爵の胴体にずぷりっと鞘ごと銅の剣を突き刺す。

 そして、奴隷少女は蜂蜜色の瞳をこちらに向けて濃い血の香りがする銅の剣を胴体ごと持ち上げて僕によこそうと前に出した。


「この肉を食べれば全て解決ある」


 この熊を、た、食べるのですかー!?


「・・・本当に食べないといけないのですか」


 ええーっと顔面蒼白、自嘲気味になってしまった僕に奴隷少女Aは薄く笑みを浮かべてコクリとしっかりと頷いた。

 


いかがでしたか?

感想、ご意見をお待ちしております。

また、お気に入り登録などしてもらえればやる気満々になりそうなので沢山お待ちしおります。

拝読していただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 奴隷少女!いいよね!(^ω^) 儚さと強かさをあわせ持っていてグッドです❤ ハイテンションなキャラクター達の掛け合いが面白く、テンポも良かったのでスラスラ読めました!
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