腐敗の世界編……家賃滞納者のひととき
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます。
なんだろう、とっても外がうるさい。
お布団にくるまっても聞えてくる「あひゃーっ!」や「ほげしーっ!」などの世紀末風阿鼻叫喚の声……とってもうるさい。
ボクを包むお布団君たちをもってしても聞えてくる雑音。
閉じ込めたのはそっちなのに……今更ボクを起こす気なの?
「お兄様、私はお風呂に入って覗きに来ると信じて300年待ち続けていましたのに……そろそろタヌキ寝入りを辞めて起きませんか」
ボクはぼんやりしながら眠気眼で布団の隙間から外をチラ見する。
「お兄様、そんなにこっそり見なくてもいいのです。この薄っぺらいバスタオルから見える見える眩いお肌のボディラインに興奮して押し倒してくださってもバッチオッケーなのです」
「あの喧しい声はお前の仕業かい?」
「喧しい? 喧しいというのはお兄様の脳内煩悩にフィルターをかけている脳内小人族シナプスたちのことですか? そんなことより……あっはんーっうっふんーっ! ……あれ? お、お兄様、玉のようなお肌の妹がとってもいやらしい嬌声をあげながら迫っているのに野獣にならないのですか!?」
ボクは聞こえない程度にため息を吐くと目の前に苛立ったような雰囲気を醸し出す自称妹と言い張るマイコに向かってもう一度問いただす。
「ボクはとっても眠いんだよ……マイコは聞き分けの良い子だからわかってくれるよね」
「はい! とってもわかります。お兄様のハレンチで無粋なスケベ心の企み。しかたがないですね! マイコの身体をエッチラホッチラプレイしたいだなんて……ぽっ! すぐにお布団に入って子作りプレイを始めましょう」
「全力でお断りする!」
「できるだけお兄様の言いつけは受け入れたいのですが……その言いつけはきっぱりお断りします!」
不埒な悪行三昧的怪しげな決意を両目に宿すマイコのその後ろ……僕を閉じ込めたこの部屋のドアの向こうを透視してみると、あれーっ!?
「私の裸を見て鼻血ブープレイをしたいって……? どうされましたかお兄様?」
ポニュっと谷間を寄せて胸をしっかり強調、息のかからんばかりの至近距離まで寄り掛かってくるマイコをアウト・オブ・眼中よろしくとばかりにボクは掃除が行き届いている玄関口を指差した。
「マイコ、外でドンパチしているお客さんは誰?」
すると、マイコはのどかーな眼差しをボクに向ける。
「解析終了しました、所属はたんぽぽ荘、お家賃を回収しに来たようです。メンバーはスコーピオンキングの極丸、福の神のミヒロ……あとはこの世界に紛れ込んだ特異点です」
「紛れ込んだ特異点? ……というとボクみたいな奴かな」
「分類上はそうなりますが……お兄様は創られし者シリーズ、外部アクセス者とは違います」
「逢ってみたいけど……閉じ込めたのはあっちなのにお家賃まで毟り取るの!?」
「はい、払えないときはケツの毛まで毟り取られます……あっ、私はお兄様の下がつるつる気になりません、むしろご馳走です、ふんす」
まぁ、むこうさんがお部屋に入ってくるまで惰眠を貪ろうと心に誓い、僕はべったりニャンニャンなマイコを引き剥がしてお布団と言う至福の世界にもどるのでした。
いかがでしたか?
恐らく後2話程度で『こちら陽気なたんぽぽ荘~大家と店子の家賃戦争~』の第一分が終了予定です。
一部では沢山の伏線を落としたのでやっと回収できることにホッとしております。
先日、妖怪レビュー残しとしてのレビュー書き書きもいつの間にか、めでたく300レビュー目を書かせていただくことに成功しました。
これも皆さまのおかげでございます。
ありがとうございました!
今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします。




