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こちら陽気なたんぽぽ荘 ~大家と店子の家賃戦争~  作者: かきくけ虎龍
第一部 たんぽぽ荘の家賃徴収人のお仕事編
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奴隷少女Aとガバのおっちゃんの串焼きの巻

こんにちは、ついに十話を迎えました。

皆さまのご声援あってこそです。


トロロさんに渡されたとっても危なそうな茶色の封筒。

 中身は爆弾ではなく便箋・・・いや、むしろ爆弾よりも破壊力のある内容です。

 さて、いくつかピックアップしてみます。


 ①家賃を徴収するまで帰ってくるな、むしろ、死んで保険金ウハウハでも良い。


 ②お前がオカマにピーピーなことをされて心が踏み倒されても家賃は踏み倒されないように。


 ③エッチな気分になってもチンコを出さないこと、やーい、パーカ、チンコ魔人。 


 などなど・・・思わず仏頂面になり、破り捨ててやろうと思うがここは大人の対応で行動をとどめた。


 さて、僕は今どこにいるかというと・・・


 喝上げの如く、お金を搾り取られた奴隷販売所のテントから徒歩10分、メインストリートに出て右折した広場で首輪をされて数名の人間の中にトロロさん発見した。

 噴水のある広場淵で手足に鉄の枷をつけられ、見世物のように放置されている。

 あたりを歩く亜人から罵声や石が投げられ、皆が体中傷だらけだ。

 一番右の男性なんて「いやだ、助けて・・・いゃー!」と悲鳴をあげながら四本足の獣にピーピーな繁殖行為をされていた。

 それを見ている亜人は指をさして笑っている。

 ここには尊厳なんて文字がない・・・反吐が出る。

 その光景に思わず肩をすくめ、憤りを覚えてしまった。


「どうしたのご主人様? あの者たちは強力な呪いがかけられた犯罪人の子孫あるよ」

「あるよって・・・はい、犯罪者とは?」


 聞き返した僕にえっ、知らないの? 小首をかしげながら「そう、この地域を治める魔王さまに逆らった勇者の子孫あるね」と淡々と答えた。

 己の境遇とダブったのだろうか、奴隷少女Aの雰囲気は同情と鎮痛の想いが滲んでいた。 


「ご主人様・・・もしかしてあの者たち助けるあるか?」

「もしかして、キミはあそこでお尻のお菊様を鳥っぽい化物の嘴でつつかれてヒーヒー言っている男が好みなのか? どうしてもって頭をさげるなら助けてあげてもいいんだからね」

「あんなのタイプと違う、ほっといて鳥の餌になるのが妥当ある」


 鳥の餌だって・・・おめー、可愛い顔してドSだな。

 奴隷少女A、人差し指を顎に添えて興味なさそうにきっぱりと言った。

 まぁ、それはともかく気になることを聞いてみた。


「一つ聞きたいことがある」

「何あるか?」

「さっきまでの・・・僕と出逢ったころの儚い雰囲気はどこに行った? それに語尾のあるよって何? エゼ中国人風な語尾むなんだ?」

「儚さは演技ある、ご主人様チョロそうだしし、少し儚い雰囲気したらお金落としてくれそうだったし、土偶の神様もいっていたし・・・ちなみに語尾のあるよは土偶の神様に言えといわれてるある。ところでエゼ中国人とは食べ物あるか? ご主人様はあたしがお腹ペコペコなことに気がついてそこの屋台でジャンクフードをご馳走してくれるあるか?」


 奴隷少女Aは蜂蜜色の瞳にうっすらと涙を浮かべて期待していますよ旦那! という強い眼光をこちらに向けてくる。

 あの土偶め・・・いやいや、アラハ先輩・・・いらぬ知恵を吹き込まんでください!


「もしかして牢屋から脱走できたのも土偶の神様の仕業?」

「仕業ではないある、ご加護ある。日頃から土偶信仰に余念がないあたしへご褒美くれたの、だから、言いつけ通りにご主人様の力にいっぱいなるあるよ。なんなら平たいおっぱい吸うあるか? もう二ヶ月お風呂に入ってないあるが」

「いらねーよ!」


 もうもうツンデレしちゃってなどと僕の頬をつついてくる奴隷少女A・・・その行動に主従関係がみえませんよ。


「もう、手間がかかるご主人様あるね、さっさと御飯よこすあるね」

「ご主人様をたかろうとする奴に言われたくないな」

「だったら取引・・・とっておきのお話を聞かせてあげるある」

「上から目線すぎないか」

「可愛いあたしはいつもキュートな上目遣いある」

「・・・・・・・・・・」


 奴隷少女Aは僕の掌に人差し指をのせてクルクルと回す、ううっ、とってもこそばかゆいです。

 そのまま僕の手首を掴んで裏路地に引っ張っていく。

 そして昔のヤンキーのように路地に座り込む。


「で、とっておきの話って何?」


 僕は眉をひそめつつ、奴隷少女Aに声をかけるとその声に反応するようにゆっくりと顔をあげた。


「魔王に破れた勇者の断罪と子孫の贖罪のお話と・・・」

「うむ」


 話に食いついた僕の反応が嬉しかったのだろう奴隷少女Aはあどけない笑みを浮かべた。


「ご主人様の必要とする娘を開放する方法あるよ」

「すぐ、教えて」

「そこのカバのおっちゃんが経営する屋台の猪蜂の串焼きの本数が誠意。沢山の誠意をみせてくれたら教えてあげるあるよ」


 てへへと照れながらも口元からヨダレを垂らしながらのしたたかな催促・・・おや、お腹もグーと鳴いている。

 残り少ない残高・・・省エネでいきたいのに。

 僕はなけなしのお金をつかって奴隷少女Aの腹を満たすことになりました。

 あれ、串焼きを食べ終わった奴隷少女Aが僕の首元に腕を回してほっぺにチューをしてきたぞ。

 そして小さな声で。


「ご主人様、ごちそうさまある、あたしは身も心もご主人様のもの、だから誓いのキスしたある、ファーストキスなんだから大切にしてねある」


 その瞬間だけ頬を桜色に染めて年相応のはじらいがみえた。

 あれ、奴隷少女Aって何歳なんだろう?

 もし、種族がエルフなら年上姉御かも・・・どちらにしても子犬のようにじゃれついてくる奴隷少女Aが可愛く見えてしまった。

 僕は、ロ、ロリコンじゃないんだからね!

 

いかがでしたか?

ご感想、ご意見、こんなキャラクターだしてほしいなど色々お待ちしております。

ありがとうございました。

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