第3話
お久しぶりです。気づけば、前回の投稿から既に二年も経過していました。大変長らくお待たせ致しました。
つまらなさそうなアルタイル殿下の前で、クラウディアは一生懸命に、話しかけていた。
「はじめまして、アルタイル殿下。クラウディア・アンダルサイトと申します。どうぞ、ディアとお呼びください。」
と、精一杯の笑顔でまだ完璧ではないが、淑女の礼をし、アルタイル殿下の反応を伺ってみるが、何の反応もない。それでも何か返して欲しかったクラウディアは、さらに話しかけた。
「アルタイル殿下は、何をするのがお好きですか?ディアは、ご本を読むのが好きですの。あちらで殿下もごいっちょ・・ご一緒しません?」
一生懸命、話しかけた挙句、難しいセリフを言ったせいで、噛んでしまったクラウディアは、皇子に凝視されていることに気づき、いたたまれなくなって、顔を真っ赤にさせながら、皇子の前から下がった。クラウディアの後にも、皇子に挨拶しようと待ち構えている子供たちが何人もいた。クラウディアが下がったことで、流石に幼いとはいえ、公爵令嬢と張り合うことはできなかった者たちが、一斉に皇子に詰めかけ、あっという間に皇子は見えなくなってしまった。
がっかりして肩を落としていたクラウディアの下に金髪碧眼の美少年が近づいてきた。
「やあ、僕はシェリアク。シェリアク・スタインベルク。スタインベルク伯爵家の長子だよ。君は?可愛らしい金髪の妖精さん?」
家族以外の異性に慣れない言葉で褒められたクラウディアは先ほどよりもさらに真っ赤になって、凶悪なまでに可愛らしくはにかんだ。
「こんにちは。私はクラウディア。クラウディア・アンダルサイトよ。よろしくね、シェリアク。」
シェリアクは始め、あまりの可愛らしさに硬直していたが、すぐに我に返ってクラウディアに微笑みかけた。
「君のこと、ディアって読んでもいい?僕のことはシェルって読んでくれるとうれしいな。」
「ええ、もちろんよ。私たち、お友だちになりましょ。これからよろしくね、シェル。」
「こちらこそ。これからよろしく、ディア。」
すっかり打ち解けて仲良くなった2人は、皇子や他の子供たちはそっちのけで遊び始めた。クラウディアは初めて同年代の、しかも異性のお友だちができたことに喜び、無邪気にはしゃいでおり、シェリアクは妖精のように可愛らしい、年下の女の子に夢中になっており、全く周りが見えていなかった。
だから彼らは気づかなかった。彼らを見つめる不穏なまなざしに・・・。
もうちょっとで、事件が起きます。