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第1話




そもそも、彼女はなぜ、幻と言われるほどに姿を現さず、素顔を隠しているのであろうか。


ことの発端は彼女が5歳のとき、すなわち、10年ほど前までさかのぼる。



****



アンダルサイト公爵は、広大な公爵邸の執務室で、皇宮からの書状を前に、頭を抱えていた。


「なんということだ。4年前、皇太子殿下の遊び相手として、長女のクリスティーナを皇宮に通わせることを、泣く泣く承知したのに、今度は次女のクラウディアを第2皇子殿下の遊び相手にだと!?まだ、ディアは5歳だぞ!私はまだまだ娘たちを嫁に出す気はないというのに!」


絶望的な顔をした公爵の隣で、公爵夫人はおかしそうに笑いながら、


「ティーナにしてもディアにしても、まだ、皇家に嫁ぐと決まったわけではないではありませんか。少し落ち着いて下さいませ。ただの遊び相手ですわ。それに、呼ばれているのはディアだけではないのですから。お友達作りができて、ちょうどよいではありませんか。」


となだめている。


そのそばにいた公爵家長男アルファルドは、両親のやりとりを聞いて肩をすくめていた。


「父上、14歳になられる皇太子殿下と12歳のティーナとの結婚の心配をなさるならわかりますが、8歳の第2皇子殿下と5歳のディアについてのその心配は、杞憂というものですよ。僕は、ティーナの貞操のほうが心配ですねぇ。そろそろ殿下に食べられちゃうかも。」


こちらはこちらで恐ろしいことを宣う息子に、公爵はさらに絶望に打ちひしがれた。


「ティーナぁ〜、お前を守ってやれない不甲斐ない父様を許してくれぇ〜。」


日ごろの威厳はどこへやら、なんとも情けない公爵の姿に公爵夫人とアルファルドはもはや呆れていた。


「アルフ、あなたがそんなことをいうから、話が余計にややこしくなるじゃないの。」


「ま、僕は皇太子殿下の側近として、何年もそばにいますからねぇ。僕の言っていることは、あながち間違ってはいないと思いますよ。それに、仮にもティーナはアンダルサイト公爵令嬢なわけですから、皇帝陛下を始め、宰相である父上以外、誰も反対していませんしねぇ。」


隣でさらに恐ろしい話をしている2人の会話は、もはや公爵の耳には届いていなかった。




こうして、公爵の混乱に乗じた母と兄によって、半ば強引にクラウディアが、第2皇子殿下の遊び相手になることが決定したのであった 。



****



「いいかい、ディア、嫌になったらすぐに帰ってきていいんだよ。なんなら父様が一緒に行って・・・ぶつぶつ・・・・」


「父様の言うことは気にしなくていいのよ、ディア。楽しんでらっしゃい。お友達がたくさんできるといいわね。」


「はい、母様!わたし、がんばります!」


「今日は、アルフ兄様が皇宮まで連れて行ってあげるからね。」


「気をつけていってらっしゃい。」


「はい!いってきます!」



****



このとき、クラウディアはまだ、明るくはつらつとした、社交的で天真爛漫な少女だった。

そう、このときまでは・・・・。






この時点で

長男:アルファルド(14歳)→愛称:アルフ

長女:クリスティーナ(12歳)→愛称:ティーナ

次女:クラウディア(5歳)→愛称:ディア

となっております(^-^)/

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