春夏秋冬
私はあなたの事、忘れた日なんてないよ。
だから、思い出す時もないんだ。
春は桜。
夏は星。
秋は紅葉。
冬は雪。
その総てが私にとってあなたとの大切な思い出で、決して色褪せずに心に焼き付いている色彩豊かな世界。
あなたは、私と一緒にいたあの日々を憶えていますか?
今、こうして月を見上げて思うのは、あなたが元気でいるかという事と……あなたも同じ月を眺めているだろうかという事。
喩えどんなに離れていても、同じものを観ている間は心は一つだから。
そう思うだけで充分。
でも、でもね、本当は……
「……逢いたいよ……」
記憶の中のあなたじゃなく、現在のあなたに。
けれどそれは無理だから。
私は涙が零れ落ちないように、更に真上を見上げた……。