表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

敬愛冬童話参加作品

石川ポチと青年

作者: 敬愛

青年は山に登るのが好きでした

ある日とても美味しそうな実のなっている木を

見つけました


毒は入ってないよな

今まで見た事もない果実だったので

青年もちょっと躊躇しました


一口、食べました

美味でした

全部食べました


ある雨の日駄菓子屋のひさしで雨宿りしている薄汚い犬がいました。

青年は特に気に留めずその場を去ろうとしました。


「待て、こんな老犬を置いていくつもりか?」

あれ、誰か喋ったかな?

「わしじゃ。青年よ」

何だー?犬が喋ってるー!天地がひっくり返る程びっくりはしましたが

「まぁいいや」と思いました


すまんが青年食べ物を分けてくれんかのう 老犬は言いました

じゃあドックフード買ってくるよと青年は言いました


ああ待ってくれワシ歯弱いから固い物食べられんのよ

寿司の出前とってくれんかな


何言ってんだ このクソ犬と思いましたが

「まぁいいや」という結論に達しました


携帯で「すいません、上にぎり二つ」

すると「あい、トゥィマセーン ご飯が切れたので今日はもう終わりです」

何か久々に聞いたギャグだな 客をなめてるのか?と思いましたが

「まぁいいや」と諦めました


老犬は「寒いのう、何か着るものが欲しいのだが」と言いました

青年は「僕のジャケットでいいかい?」と聞くと

「いや前から気に入っている服があるのじゃ」

そして高級ブランドの店に青年を連れて行きました


これじゃこれ そう言われて値段を見ると100万円でした

ふざけてるのか!と思いましたが「まぁいいや」とクレジットカードで切りました


老犬に何で独りぼっちなの?と聞きました 

すると「そうさねー、姥捨て山に捨てられて命からがら逃げてきたらガス室にぶちこまれそうになったんよ。人間って怖いね」と言いました


青年は思いました あ、この犬僕と同じだ ただお金を持っていないだけ 人間じゃないだけ

誰かに愛されたくて彷徨っているのだと


それから思いっきり可愛がるようになりましたよ


部屋に糞を漏らされても 散歩する時歩くのが遅いのも 

飼い主の青年にため口なのも

「まあいいや、まあいいや」で済ませてきました


ポチと呼んでおくれ 犬は最初に言いました

名字は石川じゃ と後から聞きました

その時失礼かもしれないけど飲んでいた青汁を吹き出しましたね


今呼びかけています

反応がありません 昨日から少し様子が変だったので動物病院のガレージを

血が出るほど叩きましたが誰も出てきませんでした


「戻ってこい!石川、戻ってこい!」

自分で言っていて可笑しな気がしたけれど

「まぁいいや」では済ませる事は出来ませんでした


土地持ちなのでだだっ広い敷地に石川ポチここに眠る

と墓を作りました 

いづれ青年は「僕もこのお墓に入れてくれ」と

家族には話してあります


楽しかったよ 石川ポチ

さようなら

僕の友達になってくれてありがとう


その後いくらあの実を食べても

動物とは話せませんでした


石川ポチは神の使いだったのかな?なんて

思ったりしています

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
犬を飼っていました。ので、感想を書きたくなってしまいました。(´ー`) おじさん風の石川ポチ、でも、一緒にいると犬って……家族になってしまうんですよね。本当に可愛くて。死んでしまうと、本当にロスになり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ