母艦帰還!!?
突然の出来事になすすべなく宇宙にとびだした4人が到着したのは
一つの巨大な母艦だった
初めてくるはずなのに
ヒロは何故か懐かしさを感じる
拓『ヒロ!!前!』
青く輝く地球と無数の艦隊に目を奪われていた僕は拓の声にハッとした
ピ・ガガ
無線が入る
無線(女)『ボヤボヤしてんじゃないよ!!』
無線(男)『・・地球育ちのぼっちゃんが・・』
とその時フロントガラスが一気に曇ったかと思うと
モニターに切り替わり、見知らぬ人が映しだされた
男『おかえりなさい、私たちのHOPE』
ヒロ『え?・・・ホ、ホープ??』
男『えぇ・・・貴方は私たちの希望そのもの、かけがえのない光』
男『さっ、話は後にしましょう、母艦に誘導します、オートパイロットに切り替えて下さい』
ヒロ『え、とオートパイロットは・・・』
僕は頭上のパネルを開き操作した
機体『オートパイロットに切り替えました』
拓『ヒロ・・・何故君はさっきから、まるで知っているかの様に操作できるの?』
ヒロ『わからない・・・けどわかるんだどうすればいいのか』
ヒロ『そう、言葉を話す時と一緒で・・・どこでどう覚えたのかは思い出せないけど、わかるんだ』
拓『それも母艦とやらにいけばわかるかもしれないね』
拓がそういうのは、僕もなんとなく納得がいった
すべてがあそこにある
そんな気がしてならなかった
浩太と裕二はというと、宇宙空間に出てからまるで連れてこられた小動物のように静かに
みるからに青ざめていた
正面にはとても巨大な母艦が広がった
大きさで言うと、地上の建物では比較できないほどの大きさだ
一つの都市ほどの大きさはゆうにあるだろう
その大きさからは似つかわしくないほど小さなハッチが開き
僕らを乗せたトラックは吸い込まれていった
トラックから降りると2つの驚きがあった
1つはトラック
深緑のボロの車体は、まるで鏡のような機体の流線型の船に変わっていた
2つめは眼前に広がる人の数だ
ものすごく歓迎をしてくれている
だが、中には明らかに敵意を持った目も子供ながら感じ取ることができた
ジューダス『ようこそ我がコロニー、ウロボロスへ』
ジューダス『僕はこの船の副館長ジューダスです』
そこに現れたのはいかにもインテリ系の長身痩せ型の男だった
先ほど案内してくれた男だった
ジューダス『この日をどれほど心待ちにしていたか・・・HOPEいやヒロ!!』
ジューダスは目に涙を浮かべていた
ヒロ『あの・・・まだ僕らよく状況が把握できていないんだけど・・』
ジューダス『そうだろうね、だが詳しい話は後にしよう』
ジューダス『今は僕らの歓迎を甘んじて受けてくれたまえ、祝わずにはいられないんだ』
拓『・・・歓迎とは程遠い視線も感じるのですが?・・・』
拓は僕らに敵意をむき出している方へ冷たく目を流した
ジューダスは軽く眉を上げるとこっそり僕らに耳打ちした
ジューダス『彼らはね、この艦で生まれ育ったいわば生粋の宇宙っ子なんだ』
ジューダス『誇りもあるし、もちろん、この艦を愛する気持ちもね』
ジューダス『大丈夫!君らの年齢なら直ぐに打ち解けられるさ!』
浩太『あ・・あの!!トト、トイレはどこですか!!』
ジューダスが話し終える前に浩太が慌てて聞いた
ジューダス『はっはっは!さては初の宇宙空間にしょんべんちびったな!』
浩太『!!!そそ、そんな事・・・』
ジューダスが言うには館内はすべて自動アナウンスになっており
広大な館内も迷わないようになっているという
僕らはジューダスに携帯電話のようなものを各自手渡され、歓迎会まで自由行動にすることにした
ヒロ『・・・っと、ここはさっき来たな』
ヒロ『ジューダスめ、絶対迷わないなんて嘘ばっかりを』
館内を迷いながら僕も一人トイレを探していた
プシュー!ブイーン
突然、前方の壁がつなぎ目から開き、大きなドアから誰か出てきた
周囲にはだれもいないし、僕は咄嗟に身を隠してしまった
中から出てきたのは、女の子だった
恐らく僕と、そう年の違わない子
浅黒い肌に、大きな瞳、パイロット服を見に纏い、長い髪を振り悠然と歩いていった
ヒロ『か、可愛い・・』
思わずひとりごとが漏れた
とその瞬間左の壁がつなぎ目から開き
さっき僕らに敵意むき出しの視線を送っていた少年3人組が中から出てきた
彼らは僕を見るなりこう話した
フロイド『あぁ・・なんか臭えと思ったらヒーロー気取りの地球小僧がいやがるぜ』
健人『フロイド、構うな、くだらない。』
ジール『そそ、構うだけ酸素の無駄だってぇ!キャハハハ』
正直むかついたが、ここは彼らの場所、彼らをたてようと考えていた
ヒロ『あの!俺、なんていうか仲良くなりたいから!よろしく!』
健人『なに?それ?くだらない』
そう言うと3人は薄ら笑いを浮かべて去っていった
僕は悔しさとムカつきを抑えて彼らが出てきた方へ目をやった
そこは僕が探し求めていたトイレだった
ヒロ『あぁ・・よかった』
ぎりぎり間に合った僕は気持ちよく身震いし用を済ませた
その時、何気なくふっと左に目をやると、ギョッとした
そこには浮浪者のような出で立ちの老人が座っている
何を言うでもなくただ隅に座って僕を見ていた
気味が悪くなりトイレを後にしようとすると
用具入れと思われる扉から奇妙な音がする
『ピピピーピー救難要請ヲハツレイスベキカ・・ココハ救難要請ヲハツレイスベキダロウカ!!』
ん?と思い、恐る恐る扉を開けて見た
P-HI-RO10『コレハ、アナタハ、ワタシヲタスケニキマシタカ?』
ボロボロのへんてこなロボが話しかけてきた
やむなく縛られたロープをほどいてやり
用具入れからだしてやった
P-HI-RO10『アリガトウトイウオモイヲアナタニツタエマス』
ヒロ『ぷっ、なんだそれ、いいよ気にしなくて』
P-HI-RO10『ア・リガト・・・トガガガガガ』
ヒロ『あれ?どうした?』
僕は家のテレビにするようにポコポコとロボの頭をひっぱたいた
老人『これえあああ!!んんな事するもんでね!!』
僕は突然の大声に体が硬直した
先ほどの老人だ
老人はのそりのそり近づいてくると
ロボの頭を開いた
老人『サポートロボにはなぁ、オートメンテナンスリカバリーっちう便利な機能がついてんだ!!』
そう言うと老人はロボの頭に貼られたテープを剥がしスイッチを押した
老人『あんのワルガキ共、いじめるだけでなくてリカバリー出来んようにこんなテープまではりくさってからに・・』
ブツブツ言う老人の脇でロボの体から4~5本のチューブが出てきて
体中に這い回った
5分くらい経ったであろうか
P-HI-RO10『オートリカバリー完了シマシタ』
P-HI-RO10『アリガトウゴザイマス』
P-HI-RO10『コレハカンシャセズニハイラレマセンネ、カンシャセズニハイラレナイデスネ』
P-HI-RO10『ピ、ピピピ、アナタハカンシャサレルベキデハナイデスカ?』
ヒロ『だから、気にしなくていいってば』
僕はまるで猫を愛でるようにロボの頭に手を置いた
P-HI-RO10『ソウイウワケニハイキマセン、ワタシハP-HI-RO10、アナタノ生体認証ヲカイシシマス』
そういうとロボから青いレーザーが出てきて僕を下から上までスキャンしているようだった
P-HI-RO10『オ、オ、オ、マスター・・・アナタハワタシノマスターデアリマシタカ、ヒロ!!』
ヒロ『え?まだ壊れているのか??僕は君とは初対面だよ』
P-HI-RO10『イイエマスター初対面デワアリマセン』
P-HI-RO10『アナタガウマレテスグニ生体登録ガオコナワレアナタハワタシノマスターニナリマシタ』
P-HI-RO10『P-HI-RO10ハP-10シリーズ登録者HI-ROアナタノコトデス』
よく言っている意味がわからなかったが、丸っこくて見た目も可愛らしかったのでそのままペットにしてやろうと魂胆がよぎった
老人『ほう・・ほうほう』
老人が目を見開き僕に近づいた
老人『おみゃあが、ヒロ・・・希望・・・光・・・』
老人は震える両手で僕の顔をさすった
いつもなら振り払っている
そうしなかったのは、老人の目から大粒のナミダが止めどなくこぼれ落ちていたからだった
ヒロ『おじいさん・・僕は、なんなですか?僕は・・』
僕は立ち尽くし、老人にそう尋ねると同時にジューダスに渡された携帯が鳴った
拓『ヒロ?どこにいる?歓迎の会が始まるみたいだよ、今マップを送るからそこまでおいで』
拓はそう言うと電話を切りメールでマップが送られてきた
普段から思うことだが拓は何をやらせても直ぐに順応し適応する
続けても追いつくことはできないし
勉強で裕二が勝てているのも実際は拓がもう既に中学の勉強をしていて
小学生の勉強にヤル気がないからだ
浩太が拓の言う事だけ聞く理由も僕は知っている
5年生の時僕の事をからかった浩太を呼び出し喧嘩で泣かせていた事を
そんな拓はこの未来携帯ももうここまで扱えるようになっていたのだ
僕はおじいさんに別れを告げマップの通り拓の元に急いだ