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第三話 少し変わった日常

「あれ、結局お前は陰キャ続行なの?」

昼休み、教室の端の机で独りでパンを口に咥えてスマホゲームをしていたら無音が来た

「逆に、なんで私が陽キャになれると思った」

「いや、だってイリスさんが隣にいるなら」

無音が私のすぐ横に目を向ける

そこには

近くにおいた椅子にちょん、と座るイリスさんの姿

「それで変わったら私こんなボッチじゃないっての、それにイリスさん学校では普通にって頼んだじゃん!!」

なんのことって感じで

イリスさんは首を傾ける

「ん、普通ですよ?ただ昼ご飯を食べる人がいなかったので」

「じゃあ、外では敬語やめて」

「それは……嫌です」

「なんでよ……」

いや、別にイリスさんとご飯を食べるのが嫌なんじゃない

教室全体から視線が馬鹿みたいに集まってる

まぁそれはそうだ

いつも誰とでも仲良くしてるイリスさんがいきなり私の隣でご飯食べ始めたら

それに、イリスさんさっきご飯を食べる人がいなかったって

じゃあ、あの教室の入口で腐る程憎い目で見てきてる男子の軍はなんなの?

「じゃ、俺久々に他の奴らと食べてくるから」

「まて、裏切り者」

そそくさと逃げようとした無音の肩をがしりと掴む

「まって、まだ俺死にたくない!!」

「そんな正義のヒロインぶっても逃さんぞ、私とこの地獄を味わえ」

私はまだ女だから憎しみの目で済んでるが

無音に対する目は

なんか、こう

殺意が混じってる

「……お邪魔でしたか?」

イリスさんが私達を見ながら少し、しゅんっとしてそう言う

「いやいや、全然。それよりイリスさん、ほんとに一緒に食べる人いなかったの?」

「はい!今日は卯月さんと一緒に食べたいと思って」

なんだ、この子

あんなことに手をだしてしまっていたのに

純粋すぎる

クッ、オタクと男に染まってる私には眩しすぎる

「じゃ、俺は失礼するから」

一瞬考え事をしてた

その一瞬で

ぱーっと無音が逃げやがった

「あの、やろう」




―――




放課後、部活がない私は教室で少々ぐっすり

この時間が一番好きなんだ

無音はサッカー部だから無音の部活が終わるの待ちのこの時間

あぁ、夕日が温かい

ねむ




「どうしようか」

「私が運びましょうか?今日は卯月さんのお家に行きますし」

ん、二人の声が聞こえる

あれ私寝てた?

「んー、ゲーセン行きたかったんだよね」

「ゲー、セン?」

イリスさん、ゲーセン知らないんだ

「まじ?イリスさん、ゲーセン行ったことないの?」

「ゲーセンってなんですか?」

「あれだよ、クレーンゲームとか、プリクラとかがある陽キャも陰キャもどっちも結構行く施設」

これ、いつ起きようかな

「あぁ、それなら皆さんと一緒について行って見たことならあります。あそこに行くと皆さんお金いっぱい使いますから、私は見てることしかできませんし」

「あー、そうだったな、っておい、卯月、起きてるならさっさと起きろ、狸寝入りしてんな」

バレたか

「バレたの?」

「あぁ、数分前から起きてるだろ、なんだ?そのまま寝てたらイリスさんに頼んでお前に彼シャツでもさせようかと思ってたわ」

「うわ、最低」

「かれ、しゃつ?」

まぁそりゃゲーセン知らないなら知らないよね

「あ、知らなくて良い、知らなくていいからイリスさん」

「そう、なんですか?」

「そうそう、中国のあのなんたら事件みたいに知らなくていい事もあるから」

「あれは、まぁやめときましょう。そんな外で話して良い内容じゃないですよ」

「まぁそういう事、そのぐらい知らなくて良い」

「なるほ、ど?」

「はいはい、この話終わりー、無音ゲーセン行くよ」

「イリスさんはどうするんだ?」

あ、どうしよ

んー、私がお金出せばいっか

「イリスさんも色々遊ぼうよ」



―――



「ついたぞ―」

今日も元気に光る、この施設

「じゃ、早速音ゲー行こうぜー」

「まて、馬鹿男、今日はイリスさんいるから無しだ」

「えー、今日のために強化アイテム腐る程用意したのに」

「お前また私に勝つためだけに、じゃなくて今日はクレーンゲームとかな」

そこまで話したところで

イリスさんが口を開く

「お二人の邪魔になっちゃってました……?」

ちょっとしょぼんと

って、これ昼ご飯の時にも見たな

「いやいや、ちょーっとオタクなねとこに無音が行きたがってただけだから、多分、あそこはイリスさんというか、初心者の人は行っても面白くないと思うから」

「な、まてなに紛れて俺をオタク呼ばわりしてるんだ」

「だって、オタクじゃん」

「お前もだろ」

「まぁ、そうだ――」

「お二人が行きたがってるのなら行きましょう?」

そこでイリスさんが割って入る

別に喧嘩ってか言い合いはいつものことだから心配しなくても

「まじ?行こいこー!」

水を得た魚みたいにばーっと、無音が音ゲーコーナーに走っていった

「良いの?イリスさん、あの馬鹿の要望は別に聞かなくても」

「良いですよ、だって卯月さんも行きたかったのでしょう?」

「まぁそれはそうだけどさ」

首の後ろを掻いて少しオドオドしていたら


ぎゅっとイリスさんが制服の袖を掴む

「行かないんですか…卯月さん?」

あ、これは少し楽しみにしてるな

まぁならいいか



―――



目の前にはloseという文字

な、

「やった!!無音さん、卯月さんに勝てましたよ!!」

「おー、さすが才女は違うねー」

後ろで言う無音の声に気を向けず真面目にリザルト画面を見る

リザルトには

パーフェクト、一七三二

グレート、三

それ以降ゼロ


バカ、な


わ、わたしが負けた―――だと

画面の少し右上の対戦相手のリザルトを見ると

なんと、パーフェクトのみ


私は

ばたっと、足から崩れ落ちた


「卯月さん!?だ、大丈夫ですか!!」

「なぜだ、五百円分のプレイしかやっていないはずなのに」

「お前、そのテンションでイリスさんに絡むなよ」

そう、イリスさん

人生始めての音ゲーとのことだったので

五百円あげて、一番簡単なタッチのみの一番シンプルなのをやらせてみたら

「負けた、だと」

そこで、さらに上半身も倒す

もちろん演技だ

ちょっとした悪ふざけのね

「卯月さん!?」



―――



「いやー傑作だったな」

「ほんとに笑えん、私の数年と、数万の努力が五百円と数十分に負けるなど」

「たまたまですよ、卯月さん、ピアノに似ててやってみたらできただけですし」

「この才女め」

今は、ゆっくりクレーンゲームコーナーを見ている

イリスさんが勝ったご褒美が欲しいと

あぁ、くれてやろう

いくらでもくれてやろうぞ

そうだ、私は負けたんだもん

「で、イリスさん。なんか良いのあった?」

「ん――決まらなくて、せっかく卯月さんからのプレゼントですし」

「そんな特別なもんじゃないけどな」

「特別です!!」

頬を膨らめ下から

わかりやすくプンプンという音が聞こえそうな顔をイリスさんがとる

そんなに特別か?

私女子に送りもんしたことないからわかんないな

「あ、これがいいです」

イリスさんが指さしたのは

可愛らしい、丸いもふもふした

うさぎに似ているがうさぎじゃない

毛玉みたいな、一メートル近くありそうな

大きいなにか

「なにこれ?」

「わかんないですけど、なんか可愛いなと思いまして……ダメですか?」

「いや、イリスさんがいいなら良いけど」

そういったものの、こういのは取りにくいんだよな

今持ってるのは二千円かー

取れるかな?

「無音、二千円でこれ取れると思う?」

「え、イリスさんこれにしたの?」

「なんですか、いいじゃないですか可愛くて」

「まぁ良いけど、二千円か。ちょっとキツイんじゃないか?」

「まぁやってみるか、ATM行けば別にお金はあるし」

「いや、そこまでは出すなよキリがない」

「はいはい、分かったよ―。イリスさん多分時間かかるからそこのベンチにでも座っててよ」

クレーンゲーム機の少し後ろにあったベンチを指さす

「わかりました、あの、無理して取らなくて大丈夫ですからね?」

「嫌だよ、初のイリスさんからのお願いなんだから」



―――



不思議な人

二人はゲーム機の周りをバタバタして景品を見ている

なんで、あの人は私にそこまで気を使ってくれるのだろう

今日だって結局、お金は全部出してもらってしまった

申し訳ない、卯月さんの家についたら旦那様にその分返しておこう


というよりそれ以前になんで卯月さんは私を雇ってくれたのだろう

確かに、旦那様の言っていた通り財閥を継ぐのなら所作を正さないといけないってのはわかりますが

それなら私なんかより専門のそれを仕事にしていたほうが良いと思います

それにあの夜、卯月さんには私に関わらないという選択肢もあったと思います

でも、あの方は助けてくれた

なぜでしょう


「がぁーー!!足らなかった!!」

ほら、あんなにも私のためにしてくれる

「まぁこういうタイプはな。天井来ないときついだろうし」

「よし、口座から降ろしてくる」

それはすこし止めたほうが良いですね

「あの、卯月さん。流石にそれはやめましょ、それにそろそろ帰りましょ」

「わかったよー」

ふふ、ただ取るのを楽しんでいたみたいですね

可愛らしいですよね

いつもは確かにクラスでは目立ってはいないですが

きれいな顔に、ハウスメイドさんが整えているという


綺麗な少し温かい色の綺麗な髪

「どうしたの?」

少し悩みこんでしまっていた

というか、そうやって急に覗き込まれるとすごい



胸がぎゅーってなる

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