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第二話 メイドさんの就任

『卯月さん、今日からですよね?お家に行く感じでいいですか?』

放課後、無音とゲーセンによった帰りにそんな連絡が来た

『うん、大丈夫、私の家の場所わかるでしょ?』

「うわ、丁寧だな」

無音が後ろからスマホを覗き見していた

「女子のスマホを勝手に見るんじゃないよ」

「はいはい、で?今日からイリスさんお前んちで働くの?」

「そうだよ、昨日お父さんに許可取ったから」




――昨日の夜――





「お父さん!!」

珍しく仕事の休暇で家に帰ってきて自室で休んでいたら卯月が扉を蹴って入ってきた

「どうした、卯月。の前に頼むからもうちょっと財閥の後継ぎの仕草を取ってくれ」

「やだよ、めんどくさい」

「はぁ、で、どうしたのだ?」

「メイドさん雇いたい!」

また、いきなりなことを

「卯月、前まで雇用をしたくないと」

卯月は自分の下に誰かを置きたくないと前まで言っておったのだが

「いいのー、今回は手助けだから」

「ほう?手助けか」

「そうそう、お金に困ってる友達がいたから、だめ?お父さん」

「その子は礼儀正しいか?」

「うん、めっちゃ礼儀正しいよ」

ちょうどいいな、卯月の所作を治してもらおう

「いいぞ」

「やったー!じゃあ、明日来るから」

それは、私が拒否してたらどうしてたのだが

まぁこうやって自分のしたいように動けるのもこの年が最後だ。好きにさせよう




―――




「で、なんでお前も来てるの?」

「いやー、卯月んちの親父に顔出してくれって」

「あぁ、まぁなら。てか、それなら家の中で待ってればよかったのに」

「お前な、もう夜7時だぞ?女子一人にするのは」

「いや、イリスさんのお迎え」

「別にいいだろ?お前んちで待ってると執事さん達に世話焼かれて落ち着かねぇんだ」

「まぁそれはわかるけど」

「いやお前んちだろ」

その時灰色の綺麗なロングの髪が視界に入る

夜風に吹かれ綺麗にふわっと揺れる

「あ、イリスさんだ」

「話そらしやがった」

「イリスさーん」

無音を無視してイリスさんに大きく手を振る

イリスさんは少し遠慮気味に手を振替し、近寄ってきた

「こんばんは、卯月様」

「え、まってそんな言い方しなくていいから」

「しかし、メイドとして雇うのじゃないのですか?」

「そうだけど、まだ契約もしてないでしょ。それに家の外では普通にして、そうしないと私、学校で変な目で見られる」

それに、こんな美少女に様呼びされると非常にくすぐったい

というか

なんというか

いたたまれない気持ちになる

「わかりました、じゃあ、卯月さんその、大丈夫なのですか?高校生がメイドを雇うなど」

「大丈夫、うち他にも執事さんとかハウスメイドさんいっぱいいるから」

「お金持ち、なのでしょうか?」

「まぁなんじゃない?」

「イリスさん、言っとくがこいつばかみたいにボンボンだ」

「たしかにそうみたいですね」

そう話してた時に家の前についた

「豪邸ですね」

「広いだけだよ、未だに迷子になるし」

「な、なるほど?」

「安心しろ、その反応が普通だ。俺は慣れたが」

「無音が来すぎなんだよー」




―――



がちゃっと、わかりやすく大きな豪邸の木製の扉を卯月さんが押して開ける

「おかえりなさいませ、卯月お嬢様」

「ただいま、早瀬はやせさん」

卯月さんの着ていたコートを一人の女性が受け取る

親と同じ年代の

ハウスメイドさんだろうか?

それにしても玄関が大きい

私の家のリビングが玄関の石畳の部分と一緒ぐらいだ

「早瀬さん、この子がメイドさんになる子、イリスさんっていうんだけど、事務的なこと任せて良い?」

「なんなりと、それよりお部屋掃除しときましたよ」

「げ、」

卯月が嫌そうに身体をすくめる

「お客様が来るのですよ、あ、それと色々出てきたので後でお説教です」

「はーい、優しくお願いします」

「はいはい、じゃあイリス様お借りしますね」

「うん、じゃあイリスさんまた後で」

そう言い卯月さんは佐伯さんと一緒に奥の部屋に入っていった

「イリス様?一旦契約に関しての書類と旦那様が話をしたいようなのでよろしいですか?」

「はい、お願いします」




―――





「ふう…」

どうしたものか

先程書類の受理は大体終わってあとは旦那様にサインをもらってという話だった

だが、早瀬さんはご夕飯の準備があるとのことで先程別れてしまった

流石に緊張する

いや、普通に考えろ

友達のお父さんに顔を出すだけだ

なにも緊張することではない

でも

だって、まるでお付き合いしてる相手の親に挨拶に来るみたいじゃないか


いやいや、ただの契約をしに行くだけ


覚悟を決め目の前の大きな扉を

コン、コン、コン、とノックする

「どうぞ」

中から少し低くてよく通る落ち着いた声が届いた

がちゃ、と扉を開き

開ききったところで

「失礼いたします、イリス・レーヴァと申します」

と一緒に一礼

そこまで合ってるか覚えていない面接の礼儀を

「こんばんは、イリスちゃん」

その声は、部屋の奥のデスクに肘をついてゆっくりこちらに顔を上げる

スーツを着慣れた、威圧感がある男性が微笑む

その瞬間、目尻に小さな皺がよる

私はつばを飲み喉を鳴らす

前の仕事に比べれば良いはず、がんばろう

「おっと、緊張しちゃってるかな?ごめんね、それで卯月の専属メイドになってもらうって話だったよね?」

「はい、早瀬さんに書類を大体教えてもらい受理を行い最後のこの書類に旦那様のサインが必要になったので来ました」

「あぁ、そうだね。じゃあサインをするためには二つ大事な事をやってもらおう」

大事な事?

何かの儀式的な?

「大事な事とは何でしょうか?」

契約上はこの人が私を雇ってる、なにかを言われたらそれをやらなければ

それがたとえ、人道に反した命令でも

「おっと、そんな心配しないで」

「していません、それでやることとは何でしょうか?」

私は何を言われてもやる、それが従者だ

そう思い、何を言われるか待ち構えていた

「いやー、卯月にマナーを教えてほしくて、イリスちゃん、礼儀正しいじゃん?」



「え」

そんなこと?

もしかしたら手を出されるのかと覚悟していたのだが

「あの子、イリスちゃんから見ても、すごく礼儀がなってないでしょ?」

「あぁ、まぁ」

うん、卯月さんがこんなにお金持ちのお家の人なのがすっごく驚くほどには

「あの子一応この財閥の後継ぎなんだよね、それで礼儀を叩き込みたいんだけど、私からじゃ聞いてくれなくて」

なるほど、まぁ思春期の少女が父親の話をちゃんと聞くというのは無理がありそう

「それで、イリスさんの言うことなら聞いてくれそうだから、あの子に礼儀を教えてほしくて」

「それは、その分こちらがもらうものは増やせますか?」

「やはりちゃんとしてるね、いいよ、その分は増やそう、仕事なのだからね」

「ありがとうございます」

お金は多いにこしたことないからね

「それで、二つ目だ」

そうだった、二つあるんだった

「イリスちゃん、これは仕事かい?それとも、卯月のためかい?」

「どういうことですか?」

「あぁ、安心してくれこれの回答によって給料を変えたりすることはない」

本当にどういうことだ?

普通、ハウスメイドは仕事で雇うんじゃないのか?

あ、でも卯月さんには何度も助けてもらったし

そりゃ恩は感じてるけど

「じゃあ、聞き方を変えよう、卯月を好きかい?いや、大切かい?」

あぁ単純に卯月さんのことを心配してか

「はい、大切です。あの方は私を何度も助けていただいた命の恩人です」

旦那様がニヤリと笑い、席を立つ

「なるほど、イリスちゃんの気持ちは分かった、よし、その書類を受理しよう」

「ありがとうございます!!」

私は持っていた書類を旦那様に渡した



「それじゃあ、ようこそ、我が家へ」

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