表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

てるてる坊主

 休み時間、机に頬杖をついて窓の外を見る美雨。後毛なくひとつにまとめられた黒い髪は艶々としている。

「あーあ、なんで雨ってだけで憂鬱なんだろ」

「月曜だからってこともあるでしょ?」

「確かにそうだけどさー。髪くくるのに時間かかるし、傘さしても濡れるし、ほんと嫌」

「名前に雨って入ってるのに?」

「ホントそれ。なーにが美しい雨だよ」

「口悪っ」

「しょーがないじゃん」

 顔を見合わせて、吹き出すように笑う。名前も性格も非対称なのに、なぜか息が合う。カラオケに行けば、毎回曲が2、3曲被るし。

「このまま降り続けるのかなー。サッカーしたかったのに」

「じゃあ、おまじない、しない?」

「雨が止みますよーに、って?」

「そう。小学生の頃とかって、てるてる坊主作らなかった?」

「あー、作った作った。え、美晴も作ってたの?」

「うん。しかも、量産してた」

「えー、マジ? 名前に晴って入ってるのに、晴れなかったの?」

「名前は、弄らないで……」

 そう言うと、美雨はすぐさま両手を合わせて頭を下げた。髪が揺れる。

「ごめんーって。それで、効果あったの?」

「それが全然。運動会前に作ったのにね、雨止まなくて中止になったんだ。しかも2年連続で」

「まじかー。それは嫌だねー」

「そうなの、連続で予備日まで潰したからね、願い叶えないなら要らないって、私、みんなの首、切ったんだ」

「え……」

「そしたら、ちゃんと雨が止んだから、翌年からは首を切って、それを吊るすようにしたんだ。えへへ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ