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8話

「へぇー、、、商人かあ、、、」

進路希望用紙をちらと見て、もう一度ため息をついた。

“勇者”か“流しそうめん職人”に加えて、『戦国式商人』とでも書いておこうか。

すると、庭からぬかるんだ足で元気よくやってきた弥生くんが、ちゃっかり話に混ざってきた。

「おりゃあ、農民をオススメするばい!!」

「えっ、弥生くん!?」

「そりゃあそうやろ!毎日土に触れて、自分の手で食べ物ば育てるって最高たい!命んありがたさも感ずるし、お米作ったらみんなに感謝されるけん!」

ズビシィッと泥のついた指を天に突き上げる弥生くん。

明治さんが眉をひそめて、「せめて手を洗ってから話していただけると助かります、、、」と苦笑する。

「でも弥生くん、農業ってめっちゃ大変なんじゃないの?」

「そりゃあ、楽じゃなかばい。虫もおるし、台風来たら泣きそうになるし、腰痛かし、日焼けするし。ばってんな、美空ちゃん。土ん中から芽が出て、やがて実って、収穫して炊きたてんお米食べたときん感動、、、!」

語るうちに目がキラキラと輝いていく弥生くん。背後に謎の稲光まで見える。

古墳くんがボソッと「また始まったで、、、」と呟いた。

「弥生も飽きないですねー」苦笑いしながら呟く飛鳥くん。

「でもさ、、、私、朝弱いし、腰もすぐ痛くなるし、正直、、、虫苦手なんだよね」

「、、、正直でよろしいであります!」

バァン!と柱を叩く音が響いた。なんとそこには、いつの間にか安土桃山くんが正座していた。

「いつの間に!?」

「さっき走ってくる音めっちゃ聞こえとったやん。お陰で設計図の線がズレたし」

「ごめんね」

安土桃山くんが古墳くんに謝っていると、江戸くんが布団の山からひょっこり顔を出した。

「、、、どうせ将来なんて、なるようにしかならないよ」

「何があったの!?江戸くん!もうちょっと夢見て!!」

そこへ平成くんがスマホ片手にヒョコッと顔を出す。

「というわけで!『進路で迷ったJKと職業トークしてみた』って動画、撮れてたから明日アップするね☆」

「ちょっと待って!?勝手に撮ってたの!?許可取ってないよね!?」

「平成くんは相変わらずですね、、、」

明治さんが額を押さえたかと思えば、

「おりゃあん泥だらけん顔も映っとっと!?編集しとってくれん!」

「じゃあ僕の土偶を大量に並べておかないとね」

「絶対、古墳の方が人気あるから!負けへんで」

「僕は十七法の憲法を読み上げるですよ!」と弥生くんに加え、縄文くん、古墳くん、飛鳥くん達がウキウキで乗っかる。

「オッケー!任せてよ!」

そんなこんなで後日、平成くんの上げた動画が何故かバズった。

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