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3話

縄文時代で土偶が作られ、弥生時代で稲作が伝わり、、、何やかんや戦いがあって、今に至る。

「こうやって時代が進んでいくんだ、、、」

「いや、お前今、豪快に読み飛ばしていただろ」

「図書室来るのって中学ぶりー」

さっきまで読んでいた『小学生でも分かる日本史!』を閉じる。

その時、よく絡んでくる恨めしい声が聞こえてきた。

「おやおや〜、SNSのフォロワー九人は一体どんな本を呼んでいらっしゃるのかな〜?」

「あ、お前は!クラス委員長!!」

ニヤニヤしながら近付いてきたのは黒髪にメガネという、いかにも真面目キャラのクラスの委員長。

「と、友達について理解を深めようと、、、」

縄文くん、弥生くん、古墳くん、南北ツインズに大正くんとか、、、。

「小学生向けの歴史マンガ?それに友達への理解??」

「友達なら目次にいるよ」

本を開いて目次を指差す。

「、、、お前、何か悩みでもあるのか?」

委員長が変なものを見るような目で見る。

良いもん、友達少なくても良いもん、てことで

「この黒塗りの車に乗って歴史の勉強してくるね!!」

「お待ちしておりました」

校門前に停まっていた明治さんの車に駆け寄っていく。ニコニコしながら明治さんが出迎えてくれた。

「今日は友達少ないけど、明日の私は今日よりも友達増やしてくるからね、、、!」

「アイツん家、あんな黒塗りの車なかったよな」

委員長がげっそりしながら走り去っていった車を見る。

「親が油田を掘り当てたんだとよ」

「嘘言うな」

そんな会話が私の耳に微かに届いた、、、気がする。

「てことで、友達を増やす方法が知りたいです!」

「何が”てことで”なんか知りませんが、言いたいことがあるのは察しましたよ」

「そうか、お主は友が欲しいのか」

「え?」

隣に座っていた知らない人と目が合う。

現実味のない美しい容姿。体格は大きくも小さくもなく、少年にも少女にも男性にも女性にも見え、圧倒的な存在感に目を奪われる。肩より短く切り揃えられた黒髪はサラサラと風に吹かれて揺れる。身に纏っている無地ながらも上等な紫色の狩衣で、男性なんだと分かった。

「我は平安。時代の化身じゃ。よろしく頼むぞ」

「あ、はい」

平安さんは物静かと言うより、影が薄い。平安貴族、、、だからかな?

「えっと、スルーしていてすみません。声をかけられるまで気が付きませんでした、、、」

「そこまで気を遣わなくても良い。慣れておる」

(慣れている、、、。平安さん、可哀想)

「大丈夫ですよ、レベルが上がれば見えるようになりますから」

明治さんが渡してきたのは、一枚の紙。そこには『平安さんとレベル』という太文字の下に、こんなことが書かれていた。

レベル一、平安さんと大気の境目があやふやになる。

レベル二、意識しなくても平安さんを認識できる。

レベル三、飴玉をくれる。

レベル四、聞き上手として重宝される。

レベル五、親しげに話しかけてくれる。

レベル六、シークレット平安さん。仲良くなると珍しい平安さんが見られるという噂も、、、。

「いや、レベル一からヤバくないですか!?私、レベル六に到達できる気がしないんですけど!!」

「美空さんならレベル六までいけますよ」


昨日連れてこられた不思議な部屋に向かうと、初めましての人がチラホラいた。

布団を被っている子、軍服を着ている子、ゲームをしている子などなど。

「奈良さん、こんにちはー」

「おー、来たか若人」

嬉しそうに手を振る奈良さん。

「、、、」

布団の子からの視線が痛い、、、。

「僕とお茶しませんか?美味しい団子屋さんがあるのですよー!」

布団の子の隣に座っていた薄いオレンジ色の髪に緑色の目の男の子が私の手を握る。服装は水兵さんが着るようなセーラー服で頭にはセーラー帽子。身長は弥生くんと同じくらいかな?

「あ、僕は飛鳥時代ですよー。遣隋使の時代なのですよ」

セーラー帽子にはウグイスの飾りが付いている。

「江戸も自己紹介したら良いですよー!仲良くなる基本なのです」

飛鳥くんは、布団の子をバシバシ叩く。

「別に仲良くしたいとか思ってないし!期待されても困るだけだから!じゃっ」

早口で良い終え、二階に上がって行ってしまった江戸くん。

飛鳥くんは慌ててフォローしてくれた。だけど予想以上ににショックを受けた私は、

(私、さっそく江戸くんに嫌われちゃった、、、?)

しばらく呆然としたまま動けなかった。

「江戸は恥ずかしがり屋さんなのですよ。気にしなくて良いですよー」

「次は小生でありますね。初めまして後輩ちゃん!日本一の色男、安土桃山!安土桃山でありますよ!こんなに未来の後輩ちゃんと出会えて感無量(かんむりょう)であります!」

鉄砲を背負って緑色の甚平(じんべい)草履(ぞうり)を履いている子は手を差し出して言った。

「そして彼が―――」

安土桃山くんはソファに座って紺色の軍服を来ている男性を見た。

「、、、鎌倉だ。本日は形式上簡易的に名乗っておくが、これからも無礼には無礼で返していくつもりだ」

(やだ、、、この人怖い!)

明らかに不機嫌な雰囲気をかまし出している鎌倉さん。

それから、ゲームと漫画が好きな昭和くん。自撮り棒とスマホが友達の平成くん。お団子を頬張っている室町くん。庭で弓道をしていた戦国さんとも仲良くなれた。

個性が、、、個性が強すぎるよ!!

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