表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/31

8日目 10回クイズ




 ベッドの上に座ってぼーっとしていると、肩をとんとんと叩かれた。


「汐璃。暇だし、10回クイズでもしない?」

「いいよ」


「じゃ、先に出してー?」

「んー……じゃあ、鹿って10回言って」

「トナカイトナカイトナカイ……」

「間違える気満々だ……」


 先に答え(?)を言われてしまったが、一応続けてみる。


「じゃあ、サンタが乗ってるのは?」

「サーフボード」

「まさかのオーストラリア式。まあある意味正解……かな」


 中学生の頃、写真を英語の教科書のコラムか何かで見たことがある。

 真っ黒に日焼けしたむきむきの上裸に、申し訳程度のサンタ要素としてもさもさの白髭を生やした、水着一丁の人が波に乗っているやつ。


「次、私の番ね。……んーと、じゃあ。スパゲッティって10回言って?」

 今度は夕映が考え込み、出題してくる。


「スパゲッティ×(かける)10」

「その言い方はずるくないかな」


 夕映は不満げに頬を膨らますが、私は気にせず先を促す。


「クイズは?」

「……スパゲッティを食べるのは?」

「人間。あるいはホモ・サピエンス」

「…………」


 何か言いたそうに、夕映が私の肩を掴んで揺らしてくる。


「私この手のゲーム、慣れてるから引っかからないんだよね」

「……さっきのはズルだと思う」


 ズルじゃない。勝つための手段だ。


「じゃあ今度は。──夕映が好き、って10回言って?」

「……なんだかゲームの趣旨が変わってそうだからやだ」


「えぇー……私は汐璃のこと、好きって言えるよ?」


 私の肩から手を離して、ちょっと落ち込んだみたいに夕映が縮こまる。

 ……そんな反応をされてしまうと、何か悪いことをしたみたいで罪悪感がある。


「……。私も好きだよ」


 なんて仕方なく言っておくと、急に夕映に元気が戻った。


「──え。ね、今のもう一回言って?」


「……なんだかゲームの趣旨が変わってそうだからやだ」

「それじゃない」

「スパゲッティ×(かける)10」

「それでもない……‼」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ