表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/31

4日目 されて嬉しいこと




 二人してベッドに横になって、それぞれ自分のスマホを弄っていると。

 ふとした思い付きのように、夕映がこちらを見て首を傾げた。


「汐璃。汐璃が彼女からされて嬉しいことって、何がある?」


「彼女からされて嬉しいこと……例えば?」


 私がおうむ返しに聞き返すと、夕映はしばらく考え込んだ後に答えた。


「……百万円貰える、とか?」

「…………」


 ……なんというか。

 それは彼女からの施しじゃない方が嬉しそうだ。というか彼女から百万円拝借するってどんな状況? 借金の肩代わりでもしてもらってるんだろうか。


 なんて長いツッコミはせずに、私は目を瞑って考える。


「そうだなぁ。寒い日に……こう、さりげなく上着や毛布を掛けてくれるとか」


 私はそれっぽいシチュエーションを思い浮かべて、身振り手振りで説明する。


「そっかー」

「うん……今さりげなく布団かけてくれたけど七月だからね。しかも節電中で扇風機で我慢してるから、この部屋ちょっと暑いよね。全然寒くないよね」


 私が掛け布団を押しのけると、夕映は悪びれずに指先で頬を掻いてはにかんだ。


「状況の一部が違っても、部分点くらいは貰えるかなって」

「変える場所次第で減点対象にもなるから、今後は気を付けよう?」

「うん、心得た」


 夕映は満面の笑みを浮かべてびしっと敬礼をする。

 ちゃんと言い聞かせた後、私は少し考えてから告げる。


「……そもそも。付き合ってる彼女にしてもらって嬉しいこと、で考えてたわけだけど。私たち、別に付き合ってないよね」


「それもそっか」と、夕映の手が叩かれる。


 その数秒後。また、夕映が思いついたように目を見開いた。


「そうだ。じゃあ、付き合ってない人からされて嬉しいことは?」


「……。百万円貰えるとか、かな?」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ