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3日目 信頼




 私は人の寿命が分かる。だけど、自分の寿命だけは分からない。

 けれどもし仮に自分の寿命が分かるとすれば、私は悔いが残らないように残りの時間を気にして生きて、周囲で起きる出来事をもっと大切にするだろう。


 ……それなのに、夕映ときたら全くそうではないようで。


「夕映は、あと28日で死んじゃうのにマイペースだよね」


 今日も私のところでだらだらと時間を潰しているし。まあ元々、何をするにしても楽しそうだから、毎日を満喫していると言われればそうかもしれないけど。


「そうかなあ。そうかも」


 ベッド上に座る私の背中に、夕映が背中をもたれかからせてくる。私よりもちょっとだけ大きい背中。普通、小さい方が大きい方にもたれかかるべきだと思う。


 手入れのされた長い髪から、ふわっとシャンプーの甘い匂いがする。


「……それは、私の言う寿命を信じてないから?」


 私が聞くと、夕映はふるふると首を横に振った。

 どうやらそうではないらしい。


「ううん。だって汐璃、生涯で一度も嘘ついたことないじゃん」

「いやまあ。正直者でありたいとは思ってるけど」


 流石にそんなわけがない。

 少なくとも私は、自分自身をそこまで聖人だとは思っていない。別に嘘を吐いた方が上手くいきそうなときは嘘を使うこともある。面接のときとか。


 ……というか生涯って言われてしまったら、今後も嘘つけなくなっちゃうし。


「えっと……その絶対的な信頼はどこから来たのかな」


「──あなたの信頼はどこから? 私は喉から」

「喉かあ」


 あんまり信頼できなさそうだった。

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