3.ぜんらの へんたいが ふくを てにいれた!
や、完全に忘れてたわ。
俺、まいだ裸だわ。
早く!服を作らねば!
というかよく魔物来なかったな。
魔物来てたらかなり危なかったぞ。
まあ服を作るかたわら魔術の練習しよう。
魔術は絶対この先必要だしね。
とりあえず魔術を使ってみよう。
まあでも一つ問題がある。
とても大きな問題がな。
「使い方がわからんっっっ!!!」
そう。魔術の使い方がサッパリわからんのだ。
まだ火魔術とかだったら覚えてる異世界もののラノベの呪文を総当たりしたりできたのに。
ううむ。鑑定でステータス見る時に念じることでステータス出してたから、意外と念じるだけで出来たりするのか?
とりあえず念じてみよう。
キノコ生えろ〜キノコ生えろ〜
「ニョキッ」
すると、俺の前の何もない地面からキノコが一瞬で生えてきた。
ワオ。
念じたら直ぐにキノコ生えてきたよ。
しかも全く腐葉土とかでもなさそうな何もない土から。
というかこのキノコなんか見覚えが。よく見てみよう。
これは…しいたけか。
完全に見た目がしいたけじゃん。絶対しいたけだよ。これ。
とりあえず食べてみよう。
うっま。
え。 うっま。
転生前に食べたしいたけとは段違いに美味いぞ。これ。
というか異世界にもしいたけってあったんだな。
いや待てよ。これはしいたけっぽい異世界のキノコなんじゃ?
こういうときこその鑑定だ。
鑑定っ!
〔名称〕ブラウンマッシュルーム
〔概要〕菌種。キノコ。可食菌種の中でも最上位に入る美味しさである。
やっぱしいたけじゃなかったわ。
「最上位に入る」ねえ。
どうりでしいたけより美味いわけだ。
というか!
服! 服だよ!
危ない。
もう裸は嫌だよ。寒いし。
金属魔術で鎧かなんか作ろう。
出でよ鎧!出でよ鎧!
あれ。
何も起きない。
いや生成に時間かかってるだけっしょ。うん。
ーー3分後ーーーーー
やっぱ何も起きん。
なんか「生成してますよ〜」的なオーラもないし。
この3分は何だったんだ。
俺の3分を返してくれ!
ホントにどうしよう。
やっぱ声に出さないといけないやつ?
呪文唱えないととかだったら終わるな。
でもキノコは生えたしな〜
いや待てよ?
確か金属魔術の概要では、「金属を生み出す」と「金属を変形させる」の二つに分けられてたよな?
もしかして、金属を生み出してからその塊を変形させないといけないってやつか⁉︎
俺、天才かもしれん。
まあとりあえずやってみないことにはわからない。
じゃあまず鉄を生み出してみよう。
出でよ鉄!
「ヒュッ」(鉄塊が空中で錬成された音)
「ヒュー」(鉄塊が落ちる音)
「スッ」(空中から落ちてきた鉄塊を咄嗟に避ける音)
「ゴンッ」(鉄塊が地面に落ちる音)
ひいっ。
あっっっっっっっぶ。
イヤイヤ聞いてないって。空中に鉄塊が生み出されるとか。
危うく足が潰れるところだった。
それにしても見た感じ30キロくらいないか⁉︎
重さ設定とか出来ないのかよ。
待てよ、重さ設定できんじゃね?
さっきのは重さについてのイメージを持ってなかったせいであんな馬鹿でかい鉄塊ができたんだと思う。だから重さの条件をつけて念じれば任意の重さの鉄塊が生み出せる…はず。
物は試しだ。やってみよう。
出でよ10グラムの鉄!
「ヒュッ」(小さくて丸っこい鉄塊が空中で錬成された音)
「トン」(小さくて丸っこい鉄塊が地面に落ちる音)
おっ。ちゃんと重量指定できた。
とりま拾い上げておこう。
うん。やっぱ鉄だから重厚感あるわ。小さいから軽いけど。
でも形が丸っこいからなんか鉄感がないな。
まあ、この鉄塊を使うときは来ないだろう。
ふふふ。この調子で金属の変形もやってみよう。
とりあえず簡単にこの丸っこい鉄塊を立方体に変化させてみることにしよう。
10グラムの鉄が望み通りの形になるように念じてみる。
「グニャッ」
すると、俺の手の上の小さな丸っこい鉄塊の形がグニャリと変化し始め…
立方体になった。
まさにいわゆるいわゆる鉄って感じの。
めっちゃツルツルピカピカしてるし。
絶対形が変化しただけじゃないだろ。これ。
まあ、とりあえず金属を変形させるときは頭の中で変化させる金属の変化した後の形を想像してそうなるように念じればいいみたいだ。
まあ、というわけで本題だ。
そう。鎧の製作だ。
俺が服のことを忘れているとでも思ったか?
しっかり覚えているさ。
絶対忘れてただろって?
そんなことはない。
ないったらない。
まあそんなことは置いといて鎧の製作にはこの「俺の足潰そうとしたクソデカ鉄塊」を使って作るつもりだ。
え? 肌着がないって?
菌魔術と金属魔術だけでどうやって肌着作れと?
で、鎧の形なんだが、なぜか鮮明に詳細まで思い出せるんだよね。中世の鎧。
十中八九完全記憶スキルのおかげだと思うけど。
だって概要にそんな感じのこと書いてあったし。
まあ要は俺は「いつでも鎧作れるぜ!」状態にいるわけだ。
でもいくら詳細に思い出せると言ってもかなり難しいだろうから、気を引き締めて作っていこうと思う。
では始めますか。
ーー1分後ーーーーー
うん。あんなに言ったけど、全く難しくなかったわ。
だって金属の一部一部を自分で制御するわけじゃないし。
最初に念じたらあとは完全オートだし。
とりあえず兜は作らないでおいた。
息苦しそうだし。
で、初めての服(?)を手に入れたわけだ。もちろん着る。
じゃあまずは脛当てを…
ーー20分後ーーーーー
ようやく全部着れた。
ちなみに着心地は最悪だ。
そりゃ肌着ないんですもん。
でも!
俺は!
ついに!
「服を手に入れたああぁぁ‼︎‼︎」