10.とある冒険者パーティーの話
ちょっと短いです。
私達はDランクパーティー『孔明の魔術師』。
ただふつうに依頼をこなしていただけなんだけど、いつの間にか「真面目組」なんて言われるようになってしまった。
私達はパーティー全員魔法使いっていうかなり稀な編成なんだけど、盾魔法をうまく駆使して立ち回りを良くしているおかげで依頼はほぼ全部危なげなくこなしている。
そんな私達なんだけど、急遽冒険者ギルドに呼び出されて最近発生したゴブリンスタンピードの話をされた後に討伐依頼を出されたんだよね。
もちろん受けたよ。
話を聞いたところ特殊個体らしいしレベルを上げるためにも挑んだほうがいいってね。
そして今、私達はそのゴブリンの大群が一時的に留まっているという平地に森の中を歩いて向かっている。
「アマン〜まだ〜?」
「まだだってイザベラ。」
このほわほわしてるのはイザベラ。
水魔術を得意とする攻撃担当で、うちのパーティーの中で一番速い。
でもなんかおっとりしている。
しかも戦闘の仕方は半端ない。
高速で飛び回りながら大量の水魔術を噴射するなんてそんな性格じゃできないでしょ。
ちなみに私はリーダーのアマン。
火魔術が得意な防御担当だ。
まあ攻撃もするけどね。
自分で言うのもなんだが、このパーティーで一番強い。
まあだからリーダーになったんだけどね。
「見た感じまだ半分くらいはあるぞ。イザベラ。」
「え〜 もう少しは行ってるでしょマドン〜」
それとこのでかい男はマドン。
雷魔術が得意な攻撃担当で、攻撃力だけで言えばうちのパーティーのなかで一番強い。
ザ、真面目みたいな男だ。
戦闘の時は私が守っている間に大魔術を撃ってもらっている。
あと、イケオジと一部の女性たちに人気。
「キャ〜 マドン様〜」なんて言われてるときもあった。
その時のマドンの顔が無だったのには吹きそうになった。
でも26歳なんだよね。
イケオジって呼ばれてるけど26歳なんだよ。
ホントに草だわ。
「何考えてんだマドン〜?」
「な、何も考えてないって。」
やめてよその「ほんとか〜?」みたいな目。
それでうちのパーティーの最後の一人は…
「…」
まあこんな感じで無口だ。
ちなみに名前はカルル。ひょろひょろしてる少年だ。
なんかすっごい研究者気質というか、よく自室に閉じこもってなんかやってる。
強いんだけどね。 作る薬が。
魔術師なのに錬金術師みたいなことしてるし。
パーティー収入の4割がこいつの作る薬っていうね。
ちなみに戦闘のときはバフ・デバフ系の薬を得意の風魔術で運んできたり敵にぶつけたりして戦ってる。
「そろそろ見えてきたな」
「ようやく〜?」
そんなことを考えてる間にもう平地の近くまで来ていたようだ。
そして少し歩くと、そこは平地が見渡せる崖となっていた。
すると、目の前には超大量のゴブリンが。
「うわ〜 数が多いねこりゃ。」
「これは大変そうだな。」
「たいへんそう〜」
「薬、足りるかな、、」(小声)
話は聞いてたけど多いな。これ。
崖があって助かった。
というかよくみたら鎧の人が戦ってる?
「あれ、誰だ?」
「わからん」
「誰だろ〜」
というか、強。
あの人あの数のゴブリンに一人で対処してるよ。
ってあれ?
走り始めた。
「なにをするつもりなんだ?」
なんかいつのまにか私達とは反対側の丘の上に立ってるし。
ん? あれは魔法の詠唱?
すると、平地の真上に大きな大量の針付きの板が出現した。
「え⁉」
「は⁉」
「どういうこと〜⁉」
「⁉」
そしてそれはすぐに落下していき、ゴブリン達を挟んだ。
「あ、ありえない、、、」
「MPバケモンかよ、、、」
「なにがおこってるの〜⁉」
「怖。」(小声)
あの鎧の人何者⁉
「と、とりあえずギルドに報告しないと!」
「そ、そうだな。 急ぐぞ!」
私達はこのことを報告するため、来た道を戻っていった。