ナイフを持った少年
小さな村に住む少年は
王様の支配に疑問を抱いていました。
生まれたときから、毎日毎日、危険な爆薬をヘトヘトになるまで運ばされ食料は水と一切れのパンのみ
母親は、そのせいで
まともに栄養が取れず死んでしまい
父親は争いに連れていかれ行方不明。
少年は、一人ぼっちなのです。
前に少年は、王様の支配について村の人々にきいたことがあります。
村の人は皆、苦い顔をするだけで
誰も王様に歯向かうことなどしませんでした。
歯向かったらどうなるか、猛獣の餌になった青年を見てしまったからでしょう。
その日もいつものように爆薬を運ばされていました。その途中、倒れている友人を棍棒で叩く兵士を見ました。
その瞬間、憎しみで前が見えなくなりました。
次に理性を取り戻した時には、爆薬によって粉々になった兵士を見たときでした。
他の兵士の声が迫ってきます。
少年は、森の中へ走りました。
足が枝や石で小さな傷だらけになりました。
それでも追ってくる大勢の兵士から逃げ続けました。
逃げて逃げて逃げて転んで
もうダメだと思ったその時
手にナイフが握られていました。
それもただのナイフではありません。
光のオーラを放つナイフです。
その日、王様に恐ろしい報告が入りました。
たった一人の少年を追っていた兵士15人が
全滅したということです。
恐れた王様は、
国を上げて少年を警戒しました。
一方、少年は村に戻って見張りの兵士を切り刻み皆にこう言いました。
「もう、大丈夫さ!!」
村の人々はそんな血に濡れた少年の姿を
見て怯えました。
「もう怯えることはないんだ!!一緒に王と戦ってくれよ!!」
少年は決死で訴えます。
しかし、村の人々は誰もが知らんぷりです。
少年は失望し一人で戦うことに決めました。
村の人々は、少年が殺されてしまうと
必死で止めましたがナイフの力の前に為す術なく少年は王都へ走り去って行きました。
王都までの道に30人近くの兵士がいましたが
少年は次々と斬り倒しすぐに王都に着きました。
都では子供も大人も
少年を恐怖の目で見ています。
兵士何百人と倒して城の門の前にたった時
一人の王都の少年が泣きながら少年に立ち向かってきました。
「お父さんを返せ!!」
きっと切った兵士の中に
父親がいたのでしょう。
少年はそれを無視して城の中に入ろうとしましたが、王都の少年はあまりにしつこく腕を斬ってしまいました。
あまりの痛さに王都の少年は泣き叫びますが、その目はしっかりと少年を憎んでいます。
少年は城の中に入り、玉座を目指します。
玉座がある王の間の扉を開けたとき
床が抜けました。
少年の身体は、暗闇に落ちていきます。
下には、竹槍が敷き詰められています。
「ざまぁ、見ろ!!汚ならしい小僧が!!」
上では王様が高らかに笑っています。
少年は、落下しながら竹槍をナイフで全て斬り刻み、着地する瞬間に地面にナイフを突き刺し落下の衝撃を相殺しました。
そして、ナイフを王様の目の玉を目掛けて投げ
驚くべき跳躍で落とし穴から抜け出しました。
間一髪で側にいた兵士を盾にして貫かれることを阻止した王様は、玉座をまで逃げました。
しかし、あっという間に少年に追い付かれ
首にナイフを当てられました。
「きさま!!こんなことをしてタダで済むと思っておるのか!!」
王様は、ピーピー喚いてます。
少年は、ゆっくり口を開きました。
「さっきの兵士やこれまで私欲で殺した人をどう思う?」
王様は、恐怖で震えていました。
「お前は、悪魔だ!!」
「そう、分かった」
王様の眼に最後に映ったのは
恐ろしい悪魔でした。
首を切り落とすと同時に
光のナイフは壊れました。
白い美しかった柄は
血で黒く染まっていました。
その日、王都の奴隷たちは、喜び
少年を英雄と祭り上げ
一夜中飲み明かしました。
同時刻、誰もいない街の中を一人歩く片腕の少年にはしっかりと白いナイフが握られていました。
憎しみを瞳の奥に静かに燃やしながら……
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