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□白昼夢 約束②

 A組の教室に俺はいた。

 いつかの夢でも見た光景である。そのいつかでは、紫さんが血を流して倒れていたり、その復讐として俺が絞殺されたり、果てには自棄になった俺が彼女を組み伏せてしまったりと――そのどれもが最低なものばかりであった。今となっては忘れてしまいたい場所である。

 もっとも、この時の俺は、これから起きてしまう出来事など知りようもなく、暢気に紫さんとクラス展示の準備を進めようとしていた。


 教室には俺と紫さんだけである。他の連中は放課後になるとすぐ部活に行ってしまった。本来なら俺達も剣道場に向かうのだが、時間の流れる早さに怯えた俺が、今日は学園祭の準備をしようと二人を誘ってしまったのだ。


 学園祭の準備期間においては、申請すれば下校時間を過ぎても活動できる。蓮次郎はその申請書の提出のため、たった今教室を出たところである。


 黒板を見れば『学園祭まであと一日』と書いてある。

 あと一日。

 明日になれば学園祭が始まってしまう。

 あの数字がゼロになれば、紫さんは――。


「貞くん。好きな人っている?」


 教室の中央に広げられた制作途上の展示物を眺めたまま紫さんが尋ねる。いつか見た夢では、それが何かを思い出すことができず、紫さんを悲しませてしまった。


 だが、今なら分かる。

 これは写真帳である。


 発案者は他でもない俺だった。

 入学から現在までの思い出を形にして残そう。制作にも手間が要らず、対外的にもウケが良いだろう――などとそれらしい理屈を()ねて、クラスの皆に提案したのだ。

 無論、最初は高校生にもなってどうしてこんな地味なものを――などとといった反論も浴びたが、蓮次郎と紫さんが賛同しただけで、クラスメイト達はあっさりと納得してくれたのだ。釈然としないのは確かであったが、それが役者の違いというものだったのかもしれない。その時に俺は気づくべきであったのだ。己が特別でも何でもない――寧ろ唾棄されるべき――人間であることに。


「ちょっと。聞いているの?」


 紫さんが俺に振り向く。

 眉根を寄せて抗議するその表情には朱が差しているように見えた。


「悪い、考え事をしていた。何だって?」

「本当? いつものように、はぐらかそうとしてるんでしょ」


 彼女は俺を見つめたまま目を逸らさない。

 正直、図星であった。

 親友が彼女を好いている手前、色恋沙汰の話題は徹底的に避けていたのだ。


「そんなつもりはないよ」

「嘘吐き。それならどういうつもり?」

「どういうつもりって言われても――本当に聞いてなかったんだよ。ごめんって」

「あなたにも事情があるのは何となく察しているし、悪気がないのも分かっているけど」


 紫さんは逡巡したのち「ひどいと思う」と零した。


「私だって勇気を振り絞っているのよ。私の気も知らないで――誠実じゃないわ」

「……悪かった」


 (いきどお)る彼女に対して、何の反論もできなかった。


「貞くん。私はあなたにそんな顔をさせたい訳じゃないの。さっきも言ったけど、あなたにも理由があるくらい分かっているもの。でも、これだけは聞かせて」


 紫さんは、また一呼吸置いて。


「あなたには、好きな人、いるの?」


 と再び尋ねる。

 赤い陽光を浴びながら照れたように微笑む彼女は、舞台女優さながらどこまでも映えて――。

 今、間違いなく彼女は世界を支配していた。ただひとつ瑕疵(かし)を挙げるならば、共演者が俺であることだろう。どんなに頑張ってもエキストラにしかなれない俺に台詞を放るなんて、嗚呼、彼女はなんて人が悪いのだ――。


「好きな人なんていないよ」

「それなら、今付き合っている人もいないの?」

「ああ。残念ながらね」

「良かった」

「その反応ひどくない? 紫さんにはいないの、好きな人」

「いるわ。こう見えても私、恋してるのよ」

「そう。それは――とても素敵なことだね」


 紫さんは質問してほしそうな様子だったが、敢えて俺から掘り下げようとは思わなかった。彼女の想い人が蓮次郎であったらまだ良いが――違う誰かの名前が出てくるような予感がしたのだ。その答えを聞いてしまうことで、俺達の関係が変わってしまうのが怖かったのだ。


「素敵って、それだけ? 他に何か言うことはないの?」


 案の定、紫さんは不満げな視線を寄越すが、俺の顔をまじまじと見ると、今度は満足そうに頷いた。


「どうしたのさ。人の顔をじろじろ見て」

「あなたも、私のこと、少しは意識してくれるんだなって」

「え?」

「あなたの頬、とても赤いわ。リンゴみたいでかわいい」

「そんなはずは――いや、ほら。夕陽のせいだろ」


 しどろもどろに言い訳をする俺に「そういうことにしてあげる」と紫さんは笑った。

 視線を逸らして窓を見遣れば、紅色の太陽が遠くの山脈に沈もうというところであった。


「ねえ。ひとつ、お願いがあるのだけど」


 何? 俺にできることなら何でもするよ。償わせてくれ。


「どうしたの。学園祭のこと?」

「先客がいなかったらでいいんだけど。学園祭、私と回ってほしいのよ」


 いいよ。俺も蓮次郎と紫さんの三人で回るつもりだったし。


「それは――俺と君のふたりで、ということかな」

「ええ。東君にはちょっと悪いけど、二人きりがいいわ」


 いや、俺は良いんだけど――紫さんこそいいの? 蓮次郎もいた方が。


「別にいいよ。改まって言うから身構えたよ」

「あと、ね。学園祭が終わったらここで待ってて」

「いいけど――どうして?」

「勇気を出して言うわ。私から、あなたにどうしても伝えたいことがあるの」

「伝えたいこと?」

「ここまで言えば、鈍いあなたでも分かるでしょ」


 待ってくれ、俺は。


「お願い。もう、ごまかさないで」


 何度も夢に見た光景であった。

 その度、全てが白い靄になって消えてしまうのだが――今度ばかりは消えなかった。

 紫さんはは二本の脚で立ち、俺を睨んでいる。


「あなたが言い逃れできないように証拠を残してあげる」

「証拠?」


 紫さんはその場に屈むと、床に置いたデジタルカメラを手に取った。

 我らA組の写真撮影に使用するため、緒方先生が自費で購入してくれたものである。


「私と写真を撮ってもらうわ。そうね、タイトルは『私の好きな人』じゃちょっと安直過ぎるから――ここは思わせぶりに『友達以上恋人未満』なんてどうかしら。クラスの皆に、あなたは私のものだってアピールしたいもの。ね、とびっきりの証拠でしょう?」

「そりゃとびきりの証拠だろうけど、ちょっと待ってくれよ」


 そうなったら蓮次郎の気持ちはどうなる?

 きっと彼は俺を許さないだろう。

 紫さんは、何と返答すべきか考えている俺の真横に並ぶと、カメラを自分に向け、すぐさまシャッターを押して――。


 閃光が(またた)いた。

 周囲が薄暗くなり始めているせいか、その白い光はやけに眩しかった。


「……今、フラッシュ必要だった?」

「ごめんなさい。オート設定だったからついちゃったみたい。次はオフにするから」


 紫さんは俺の腕を取り、再度シャッターを切った。

 すぐにカメラを確認して「うん、ブレはないわ」と頷いた。


「……その写真、本当に学園祭で使うの?」

「言ったでしょ。だってそうでもしないと、あなた逃げようとするじゃない」

「学園祭は明日だぜ。この時間じゃ写真館だって閉まってる。現像は間に合わないだろ」

「写真館って。これはデジタルカメラだから大丈夫よ。私の家でプリントアウトできるもの」


 紫さんは悪戯を成功させた子供のように笑った。

 多分、俺達はもう、後戻りできないところに来てしまったのだろう。

 俺の自惚れでなければ、彼女は俺を憎からず思ってくれている。否、玉虫色の表現は止そう。間違いなく彼女は俺を好いている。それなら、俺はその想いに真摯に向き合わなければならない。受けるにせよ、断るにせよ。

 紫さんのことは嫌いじゃない。むしろ、女子の中では最も仲の良い相手である。だが、親友のため、彼女を恋愛対象として意識しないようにしてきた。そうすることで俺達の関係が続くならそれで良いと思っていた。


 では、蓮次郎がいなかったらどうだ?

 同好会の存続を抜きにしたらどうだ? 

 俺は紫さんを好きになれるのか――。


「そんなに難しく考えることないと思うけど」


 俺の葛藤を見透かしたような言い振りに、臆病な心臓が小さく跳ねた。

 紫さんは黒板の前まで歩くと、くるりと振り向く。


「貞くんが私のことをどう思っているのかを聞かせてほしいだけだから。明日までに答えを用意してちょうだい」


 そこまで言うと、流石の紫さんも恥ずかしくなったのか、耳まで赤くして背を向けてしまう。そこで『学園祭まであと一日』という記述に気付くと、「これ、ゼロにしてしまうわね」と黒板消しを手にした。彼女は全ての文字を消して、細い指で白いチョークを上品そうに握ると、『学園祭まで〇(ゼロ)日』と書いた。彼女らしい堂々とした楷書である。


「楽しみね、学園祭。きっと、一生忘れられない思い出になるわ」

「……ああ、そうだね。俺もそうなったらいいと思う」


 俺と彼女を取り巻く雰囲気は何とも形容しがたいもので――許されるなら、もう少しだけこのフワフワとした空気に浸っていたかった。蓮次郎が戻らなければいいと思った。紫さんといられるこの時間と、夕暮れに満たされたこの空間が、永遠に続いてほしいとすら思った。


 そんな夢想に取り憑かれていたからだろうか。

 教室前側のドアが乱暴に開け放たれても、すぐに反応することができなかった。

 蓮次郎が戻ってきたんだろうな、とドアを見遣れば――。


 見知らぬ男が立っていた。

 上下ともに黒装束。手には軍手。

 眼鏡とマスクを着用しており、年齢と表情は読み取れない。

 分厚いレンズ越しの(まなこ)は血走っており――男と目が合った瞬間、背筋に悪寒が走った。


「……あ、あの。どちら様でしょうか」


 ぎこちない愛想笑いを浮かべながら紫さんは聞くが、男は答えない。男は、俺と紫さんを舐めるように見たのち、「あァ良かった良かった。最期だけは俺もツイてるんだなァ」と言った。奇妙な(なま)りを(はら)んだ低い声であった。


 男は教室のドアを後ろ手で閉めると、なぜか内側から施錠する。この男に見覚えはない。教員でも用務員でもない。ならば外部からの来客かとも思ったが、入校証や腕章といった類も携帯していない。


 ――まずい。状況が全く掴めないが、とにかくまずい――。


「紫さん。職員室に行って男の先生を連れてきてくれ。早く!」

「え? 待って、どういうこと?」


 青ざめた表情で紫さんは様子を窺うが、男が紫さんへ向かって歩き出す。


「おい、あんた――」


 男の進路に立ち塞がる。

 止まらないと警察を呼ぶぞ、という用意していた言葉は続かなかった。

 いつの間にか俺は仰向けに倒れていた。殴り飛ばされたと分かったのは、左眼が開かず、天井に並ぶLED照明がぐるぐると回っているのを認めてからであった。立ち上がろうにも、脳震盪を起こしたらしく、手足に力が入らない。


「貞くん!」


 紫さんの悲鳴。

 俺のことはいい。君だけでも早く逃げてくれ――。

 歯を食い縛り上体を起こせば、すぐ目の前には紫さんの後ろ姿があった。


「やめて! 貞くんに酷いことしないで!」


 両手を広げて紫さんが叫ぶ。

 どんな時でも彼女は毅然としていた。

 きっと今も、真正面から男を睨んでいるのだろう。

 だが俺には分かった。彼女の脚が震えていたことに。


 ――俺が、護ってやらねばならなかった。

 ――俺が、彼女にこの台詞を言わせてしまったのだ。


 男が下卑た笑みを浮かべたのがマスクの上からでも見て取れた。ズボンのポケットに手を突っ込んだ男が取り出したのは抜き身のナイフであった。刀身が陽光を反射して濡れたように光った。

 果たして息を呑む音は誰のものであったか。

 男が紫さんに向かって走り出し――。


「やめろッ!」


 紫さんを横に突き飛ばし、男の獲物を奪うために飛びかかる。両手で男の手首を掴もうとするが――先に間合いに入ったのは男の方であった。


 ナイフが俺の右頬を貫いていた。

 刃は口腔まで達し、上顎の奥歯が砕かれたのが分かった。


 ――痛い痛い痛い痛いッ!

 

強烈過ぎる異物感と激痛に叫ぶこともできない。血が溢れて息もできない。残った理性を総動員して血を飲み干そうとするも、胃が緊縮して嚥下することができない。また俺は殴り飛ばされ、後頭部を床に叩きつけられる。今度こそ意識が沈みにそうになるが――それでも耐えた。


「貞くん。お願い、しっかりして!」


 何かを叫びながら紫さんは俺に駆け寄る。彼女が何と言ったのかは分からなかったが、彼女が膝を床についた時の、皮膚が擦れる耳障りな音だけはやけにはっきりと聞こえた。


「頼む。逃げろ」


 喋ることができたのはこの一言だけであった。

 だが、それでも彼女は走り出してくれた。


 ――そうだ、それでいい。

 そのまま教室を出て、助けを呼んでくれれば――。


 だが、遅かった。

 次の瞬間、紫さんは男に襟首を掴まれ、引き倒されていた。

 そして男は紫さんの上に跨がり、ナイフを高く振り上げて――。


 ざくり、という音がしたような気がした。男の図体に遮られ、紫さんが貫かれるその瞬間こそ見えなかったが、こちらに伸びる二本の脚が痙攣したことで分かってしまった。


 二度目が振り被られた時――。


「やめろッ!」


 男に跳び蹴りを放ち、今度こそ男を吹き飛ばす。男の手から離れたナイフは床を滑り――広げられた展示品の傍らで止まる。床を這うようにしてナイフを掴むが、その手を男の安全靴に踏みつけられる。


「返せ返せ返せ返せよ糞ガキがァ!」


 男は狂ったように叫び、何度も俺の右手を踏み潰す。それでも俺が放さないと分かったのか、俺の顔面を蹴ったのち、教室を去って行った。ナイフを握った右手を見れば、手の甲の肉が削がれ、骨が見えている。


「――貞くん。だいじょうぶ?」


 紫さんの声がした。

 振り向けは――彼女は血塗れで倒れていた。

 腹部を両手で押さえながら、俺を見て、何とか起き上がろうとしている。


「ごめんなさい。私のせいで――」


 それからは、いつか見た夢と同じであった。

 スマートフォンを取り出して救急車を呼ぼうとしたが、血に濡れた指では画面が感応せず、電話すらできなかった。俺にできたのは、助けを求めて喚くことだけであった。


 ――動けよ、動いてくれよ! 紫さんを助けないといけねえんだよ――。

 ――誰かいないか! 誰でもいい、助けてくれ――。


 結局、騒ぎを聞きつけた蓮次郎と緒方先生が警察に通報して、救急車も呼んでくれた。

 紫さんの意識はすでに朦朧としていたが、うわごとのように何度も俺を呼んでいた。

それが、救いを請うものではなく、救助にまごついていた俺への呪詛にも聞こえ、彼女の言葉がいつまでも耳にこびりついていた。


 それからのことは断片的にしか覚えていない。

 想像以上に救急隊が早く到着してくれたこと。寝心地の悪い担架(ストレツチヤー)に乗せられたこと。校内のエレベーターが広く、担架が収まることが意外だなと他人事のように思っていたこと。野次馬の視線が痛く、あまりの惨めさに嗚咽が止まらなかったこと――。


 救急車に乗せられたら乗せられたで、母は不倫、父は残業と忙しい両親とは連絡が取れず、結局教頭先生が病院まで付き添ってくれたこと。搬送先の病院が決まらない中、止血のため俺の顔面を圧迫する救急隊員に殺されそうになったこと――。


 俺はそのまま入院することになった。頬の縫合と眼窩底骨折の修復手術、右手の複雑骨折の整復に固定と――二週間程度、総合病院の個室に監禁されていた。


 テレビすらない病室にいる間、刑事や教師から幾度となく事情聴取を受けた。家族が一度たりとも見舞いに来ることもなかったせいか、俺を哀れんだ看護師さんや刑事さんがいつも世話を焼いてくれて――それがありがたくて、いつも涙を堪えていた。


 退院してからは、自室に伏せたまま震えて過ごしていた。何度眠っても紫さんが刺されてしまったことは夢になってくれなかったし、たとえ何事も起こらないような都合のいい夢を見てもすぐに覚めてしまった。次第に寝ることすらも苦痛になっていた。


 紫さんは、俺が退院してからも意識を戻さず、集中治療室にいた。自分だけが生きている事実が何よりも辛くて――死にたくて仕方がなかった。伸びきった毛髪を毟って叫べば少しだけ気分が軽くなったが対症療法にしか過ぎなかった。

 結局、破綻した精神では日常生活に復帰することも叶わず、妹との口論の結果、首吊りを企図(きと)したり、精神科から処方された薬を過剰摂取(オーバードーズ)して閉鎖病棟に叩き込まれたりと、おおよそ世間一般の高校生が過ごすであろう青春とは似ても似つかない鬱屈とした時間の中にいた。


 事件に関して言えば――犯人はすぐに捕まり、殺人未遂と不法侵入で起訴された。特筆すべきことなんて何もない。ただの通り魔である。曰く――己の人生を悲観したため、警察に捕まって死刑になりたかった。ゆえに自宅近くの学校に侵入して、自分より弱い生徒を狙った。子供なら誰でも良かった――とのことである。


 聞くところによれば、犯人がA組に入ったのは全くの偶然だったという。あまりに身勝手でどうしようもない理由であり、それに紫さんが巻き込まれたと思うと怒りで気が狂いそうになったが――否、事実精神病院の世話にもなったが――転校が決まってからは何もかもがどうでもよくなった。紫さんのことも、犯人のことも、学校生活のことも。もう、俺の人生には何の関わりもないのだから。


 だが――。


 あの時、俺が上手く立ち回っていれば、もしかしたら紫さんは逃げることができたかもしれない。そもそも、俺が学園祭の準備など提案しなければ良かったのだ。あれだけ同好会の皆と過ごす時間が好きだったのに――俺は肝心なところで失敗してしまったのだ。


紫さんと交わした約束は、二度と果たすことはないだろう。

 それだけが心残りであった。

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