窓ぎわの東戸さん~みんなでお勉強会!~
『助けてください!』
そんなりほちゃんのSOSがきたのは、私がお風呂から上がったころだった。びっくりして、誘拐か!?と思ったら、
『今度の期末テストの勉強が全然わかりません!』
ということだった。確かに、私たち3年生にとっては慣れっこだけれど、りほちゃんにとっては初めてのテスト。不安になるのも仕方ない。
『じゃあ一緒に勉強しよっか!東戸さんにも聞いてみるね!』
『ありがとうございます!』
ということで、東戸さんに聞いたところ二つ返事でOK。場所を聞くと、
『ウチでしようよ!広いし、さわいでも大丈夫だよ!』
とのこと。別に騒ぎはしないだろうけれど、確かに東戸さんのおうちなら広いし、妹ちゃんもいるし、困らないかも!というわけで、週末の土曜日、テスト対策勉強会を東戸さんちで行うことになった。勉強会とはいえ、みんなと会えるのは楽しみすぎる!どうやらりほちゃんのクラスメイトも一緒に来るみたい。どんな子かなあ。りほちゃんの私服はどんなかなあ、と、前日は楽しみすぎてなかなか寝られなかった。
当日。待ち合わせは学校近くの公園にした。りほちゃんと私がわかる共通の場所といったらそこになる。
「あ、りほちゃん、おはよー」
「おはようございます!今日はありがとうございます!」
そう言ってぺこりとお辞儀するりほちゃん。いつもはおろしているショートヘアの前髪を、今日はピンで留めている。私服はりほちゃんっぽさがあって、水色の半そでシャツに、ひざ下丈のクリーム色のスカート、スニーカーを履いていた。見たところ、靴下が見えないみたいだけれど、もしかして…。そして後ろにはりほちゃんのクラスメイトが。
「あ、この子はわたしのクラスメイトの…」
「初めまして、りほの友達の、後藤レナといいます。今日はよろしくお願いします!」
「レナちゃん、ね!私、西野っています。よろしくね!」
レナちゃんはブランドのロゴが入った半そでパーカーに、7分丈のパンツ、素足に、つっかけるタイプのサンダルを履いていた。二人とも夏っぽい恰好でとてもかわいい。レナちゃんの方がちょっと大人っぽい恰好かな。二人と一緒に東戸さんのマンションを目指す。オートロックの前に立って部屋番号を押すと、いつものおっとりとした東戸さんの声が聞こえてきた。
「はーい、東戸でーす」
「西野でーす。みんなきたよー」
「わあ、ようこそ!今開けるねー」
東戸さんの声が途切れると、オートロックの扉が開く。エレベーターにのって東戸さんの部屋の前へ。もう一度呼び鈴を鳴らすと、裸足のままの東戸さんがドアを開けてくれた。サンダル、履きなよ…。
「いらっしゃい!ささ、どうぞー」
「おじゃまします!」
「こんにちは、失礼します…」
私は履いていたサンダルの留め具を外して素足をそのまま部屋に入れる。そのあとにレナちゃんがサンダルをささっと脱ぎ、最後にりほちゃんがスニーカーを脱いだ。横目でちらっと見ていると、りほちゃんは期待通り、素足のままスニーカーを履いていたようで、赤くほてった素足が床の上に置かれた。
「わー、みんな素足だね、うれしいなー」
部屋に入ってきたみんなを見て、東戸さんが私に耳打ちする。表情もとてもうれしそうだ。
「ヘンなことしちゃだめだよー」
「し、しないよー、たぶん…」
冗談めかして言うと、東戸さんはほっぺたをぷくー。かわいい。
リビングへ行くと、あれ、妹ちゃんがいない…。
「あ、妹はお友達と遊びに行ってるんだー。だから私たちだけ!」
「そうなんだー、ちょっと残念…」
というわけで、冷房が効いているリビングのテーブルで、真ん中に置かれたおかしをつまみながら、しばしの間おしゃべりをする。4人はそれぞれ、私と東戸さん、りほちゃんとレナちゃんで隣同士に座った。主に私たちが、中学校である行事とか先生の情報とかを提供していた。そして30分くらい経った頃、ようやくそれぞれ学校の問題集を開いて、勉強を始めることに。りほちゃんがわからない問題は主に数学のようで、習ったばかりの正負の数でかなり手こずっているようだった。
「ここはマイナスをプラスにして、あ、そこのかけざんは、マイナスが3つあるから答えはマイナスだよ」
意外なことに、東戸さんがテキパキとりほちゃんの課題を見てあげているではないか。そういえば、小テストでは東戸さんが引っ掛かっているとこ見たことがないような…。あまり、というかほとんど成績の話は今までしてこなかったものだから気にならなかったけれど、東戸さん、勉強できたんだ…。その意外が表情に出ていたのか、東戸さんは私の方を向くと、
「意外と私、勉強教えるのとくいなんだよー、ふっふー」
そう言って鼻をのばしていた。
勉強を始めて30分、テーブルの下に伸ばしていた私の足に何か温かいものが触れる。ピト。
「あ、すみません…!」
小さく謝ってくれたのは、私の向かい側に座っているレナちゃん。彼女はいまのところ順調そうで、英語の問題集をさくさくと進めているようだった。あたったのは、レナちゃんの足先、かな…?
「あ、いいよいいよ…!どう、わからないとことか、ない?」
「あ、はい、今のところ大丈夫です!」
「そっか!」
1時間が経つとさすがに集中力も切れてきて、場所をソファの前に置かれたローテーブルに移して、一旦飲み物を飲んだりお菓子を再登場させたりしてしばしの休憩をとることに。
「はい、どうぞー、オレンジジュースだけどいいかな?」
半そでのTシャツにショートパンツというラフな家着の東戸さんが4人分のジュースを持ってきてくれた。氷も入っていて、疲れた脳にキーンと効く。女の子座りをしているりほちゃんとレナちゃん。体操座りをしている東戸さんの目はそんな彼女たちの足にそそがれている。今までテーブルの下に隠れていた足がようやく見られて、とても嬉しそう。
「…りほちゃんの足、やっぱり、きれいだねー」
「え、そ、そうですか…?」
「ですよね!レナもそう思ってて!」
意外なことに、東戸さんのつぶやきにレナちゃんが食いついた。東戸さんと同じような目をしているような…。
「りほ、もうちょっとリラックスしていいんだよー、ほら、そんな小さくなってないで足を伸ばしてー」
「そうだよー、もっとりらっくすー」
「え、えええー…」
りほちゃんは二人に言われるがまま、足を前に伸ばす格好に。真っ白な素足を見て、東戸さんの目がキラキラしてきた。りほちゃんのほうはというと、まんざらでもない様子で、少し頬は赤いけれど、素足をほめられて嬉しそうだ。
「じゃ、そろそろ再開しようか!」
「えー、もう?」
「いやいや!もう1時間経ってるから!」
というわけで、お勉強再開。しばらくは黙々とみんな問題集を解いていたけれど、30分ほど経ったとき、斜め前のりほちゃんがぴくっとした。
「あ、すみません!」
「あ、やったなー、えいっ」
「ひゃっ」
私の隣の方で小さく何か競い合う声が聞こえてきた。ちらっと見てみると、東戸さんは楽しげな様子で、りほちゃんはなにか慌てた様子。テーブルの下に目を移すと、りほちゃんの右足と東戸さんの左足がちょうど握手(握足?)しているところだった。東戸さんの足がりほちゃんの足をつかんでもにもに…。
「ひゃわわわわ…、と、東戸先輩、そこは…」
にぎにぎ。
「んー?」
「あ、あわわ…」
「んーーー??」
「だ、ダメ、です、センパイ…!」
りほちゃんが体をもじもじさせて、顔が真っ赤になっていく。レナちゃんも気になったみたいで、テーブルの下にかがんでみていた。
「あー、いいなあ、先輩、あたしにもさせてください!」
「おー、レナちゃんもやるー?はい!」
東戸さんはそう言って、りほちゃんのにぎにぎをいったん解放させた。するとフリーになったりほちゃんの素足を、今度はレナちゃんが即座にぎゅっとする。
「わ、りほ、足、小さいんだね!」
「れ、レナちゃん…ふわあああ」
そして、東戸さんと同じように、にぎにぎ、もにもにを始めた。さっきと同じように、体をもじもじ、顔を真っ赤にさせていくりほちゃん。なんだかかわいそうに思ってきたけれど、見ているととてもかわいくて、もうちょっと見ていたい気持ちになる。東戸さんも同じ気持ちのようで、ほほえましくそんな2人のあしプレイを見守っているようだった。
「はあ、はあ、も、もう、レナちゃん、激しいよ…」
「ふう、あはは、ごめんね、なんだか気持ちよくなっちゃって!」
約10分後、ようやくにぎにぎから解放されたりほちゃんは、すっかり疲れているようだった。足の裏も顔も、真っ赤になっている。
「じゃあまたちょっと休憩しようか!」
「え、また!?」
「私、ジュース入れてくるねー」
2人のプレイを堪能しておなか一杯になったのか、東戸さんはまた4人分の飲み物を入れてくれた。お菓子を囲んで、再びの休憩。話題はもちろん、りほちゃんの足のお話。
「りほ、足の裏、くすぐったかった?」
「う、うん、あんなのされたの初めてで、びっくりしたよー…」
「やー、レナちゃん、上手かったよねー。もしかしてどこかでやってたり?」
「いえいえ!初めてですよ!先輩のみてたら、あたしもやってみたくなっちゃって…」
「うまかったよ!私も、たまに妹にやっちゃうんだー。…まあ、たいてい負けちゃうんだけど…」
うん、足の裏が弱い東戸さんのことだから、それは十分想像できる。それでも勝負を挑んじゃうんだ…。
「りほちゃん、どう?くすぐったいけど、気持ちよくなかった?」
「はい!?そ、そう、ですね、気持ちいい…。思い返せば…、そうかも?」
「もっかいやったげよっか??」
「い、いい!いい!もう大丈夫!」
レナちゃんがいたずらっ子っぽい顔でりほちゃんに迫るけれど、正座をして足の裏をしっかりかくしていて、もうにぎにぎ攻撃はできなさそう。
「あ、あの、トイレ、お借りしてもいいですか?」
「いいよー、廊下でて、左ね!」
レナちゃんの攻撃をかわしていたりほちゃんが、トイレに立った。そろそろお勉強を再開したいところだけれど、東戸さんもレナちゃんもお話が止まらなくて、なかなか再開できなさそう…。まあ、一日は長いし、いいかな!
「お待たせしました!…ひゃう!」
「ど、どうしたの、りほちゃん?」
トイレからもどってきたりほちゃんが、テーブルのそばで急に声を上げた。
「あ、すみません、何かふんじゃったみたいで…」
「なになに?」
「みせてみせてー」
すぐにわらわらと、りほちゃんの足に駆け寄る二人。立ったまま、膝を曲げて足の裏を確認するりほちゃん。その足の裏には粉々になったクッキーがこびりついていた。テーブルからいつの間にか落ちていたらしい。
「あちゃー、クッキー踏んじゃってるよ」
「とってあげるねー」
「え、いえ、自分で…ひゃう!」
自分でやるというりほちゃんの手を遮って、東戸さんが脚に手をぎゅっと添えて、レナちゃんがティッシュで丁寧にとっていく。
「う、くふっ…くひゅうううう」
片足立ちで、体を震わせながら、ガマンしているりほちゃん。すごくくすぐったそう…。たっぷり時間をかけて、足の裏のクッキーは綺麗になくなった。2人も、流石にそれを食べたりはしないらしい。
「はい!きれいになったよー!」
「あ、ありがとうございます…」
りほちゃんはようやく解放されて、ふううー、と床に座り込んだ。足の裏をこちらに向けて…。
「いまだ!」
「えいっ」
「ひゃん!」
その一瞬のスキを見逃さない東戸さんの指令で、レナちゃんが再び、りほちゃんの素足を自らの素足でホールドした。りほちゃんの足より少しだけ大きいのか、ぎゅっとされたりほちゃんは抜け出せないらしい。にぎにぎ、もにもに、にぎにぎ、されるがまま、くすぐったそうに体をくねらせている。大変だな、りほちゃん…。
「今日はありがとうございました!」
「いえいえ、こちらこそ!」
「…すみません、途中、大きな声、だしちゃって…」
結局、あまり勉強は進まなかったものの、初めての勉強会は楽しく過ぎて、解散の時間。あれから何度か足の裏を狙われたりほちゃんはすっかり疲れているようだった。真っ赤っかになった素足を、スニーカーに入れて、かかとまでしっかりと履く。レナちゃんはそのまま、サンダルをつっかける。
「いやいや!騒いでもだいじょうぶって言ったでしょ!りほちゃんかわいかったから、満足だよ」
「ま、満足、ですか…?」
「楽しかった、ってこと、だと思うよ!ごめんね、ウチの東戸さんが…」
「あ、いえいえ!私も、楽しかったし、お勉強も見てもらえたので、よかったです!」
ああ、あんなことされたのに、りほちゃんはいい子だなあ。私と東戸さんはそのまま部屋に残って、りほちゃんとレナちゃんを見送る。テスト前はまたこうして、集まってもいいかもしれないな。今度は、しっかり勉強の時間を確保したいところだけれど…。
「ふう、…というか、西野さん、帰らないの…?」
2人を見送って、またリビングに戻ってくる。荷物を片付けながら、東戸さんの様子をうかがう。床に座って、足をこちらに伸ばす東戸さん。
「うん、帰るよー。…でもその前に!」
えいっ!
「ふえ…ひゃわわ!」
「あれだけりほちゃんの足にマッサージしてあげたから、きっと疲れてるだろうなって思って!私もしてあげるよ!」
「ちょ、まって、まちまち、わわあああ」
私は油断していた東戸さんの足をがちっとつかむと、手でマッサージを始めた。と言っても専門のお勉強をしたわけではないから、何となく、モミモミ、にぎにぎ、するくらい。けれど足の裏が弱い東戸さんにはこうかてきめんだ!
「うー、くふ、ひゃわあああ、に、西野さん、ぎぶ、ぎぶ!」
「まだまだ!疲れはしっかりとらないとね!」
りほちゃんの足が責められている間我慢していたぶん、ここでしっかり取り戻す!私は妹ちゃんが帰ってくるまで、東戸さんの足を交互にもみもみ、にぎにぎ、し続けるのだった…。テストの結果は、どういうわけか、東戸さんの方がよかったりする…。
つづく