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無能テイマーと追放されたが、無生物をテイムしたら擬人化した世界最強のヒロインたちに愛されてるので幸せです  作者: 青空あかな


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第20話:おもてなし

「ソンレイを助けてくれて本当にありがとうね。さ、村の特産品で作った料理だよ。たんと食べておくれ」

「ありがとうございます。す、すごい量ですね」

〔右を見ても左を見ても食べ物ばかりです〕

〔どれもおいしそう~〕


 俺たちはマーヨー村長の家で、食事をごちそうになっていた。

 分厚いお肉、キレイなフルーツ、大きな魚の丸焼きなど、色んな料理がところ狭しと置かれている。

 見たこともないくらい豪華な料理で気後れするほどだ。

 みんなで食事をしていたら、村の入り口までで警備していたあの二人組みが来た。


「……なぁ、あの時は失礼な態度をとって悪かったな」

「まさか、こんなにすごい冒険者たちとは思わなかったんだよ」


 とても申し訳なさそうな顔でしきりに謝る。

 俺たちがソンレイさんを助けたことは、すでに村中の人が知っていた。


「いえ、そんなに謝らないでください」

〔もう気にしていませんから〕

〔別になんとも思ってないよ〕


 素直な気持ちを伝えると、二人組みの顔に笑顔が戻った。


「「……ありがとう。そう言ってくれると、俺たちも救われるよ」」


 やっぱり平和が一番だな、と実感する。

 幸せな生活は安定の上にあるのだ。

 気がついたらソンレイさんが真横にいて、飲み物をついでくれた。


「さ、アイト様。村の特産品の桃ジュースでございますよ。たくさんありますからね。好きなだけ飲んでください」


 ソンレイさんは注ぎながら、俺に近寄ってくる。

 さりげなく……。

 腕と腕がそっと触れ、エイメスの目から光が消える。


「あの、ソンレイさん……ちょっと近いような……」

〔アイトは私の……〕

「エイメス! はい、これも美味しいよ!」


 俺は大慌てで離れる。

 急いで、エイメスに果物を取り分けてあげた。

 ソンレイさんは少ししょんぼりするものの、目に光が戻ってホッとする自分もいた。

 額の汗を拭きつつ、ソンレイさんに尋ねる。


「ところで、グリズリーの棲み処はどの辺りにあるかわかりますか? まだ何匹かいると思いますので」

「グリズリーの群れはさらに山奥にいます。私を助けてくださった場所より、さらに奥です。ちょうど山のふもとの辺りでしょうか」

〔私の稲妻に乗っかればすぐ着くね〕

〔今度はこちらから攻めていきましょう〕


 放っておくと、また被害が出るかもしれない。

 明日にでも本格的な討伐に行った方がいいだろうな。

 俺はケビンさんが言っていたことも、村人たちに聞いてみた。

 ゴールデンドラゴンの話だ。


「ケビンさんから聞いたんですけど、グリズリーの巣の近くに、ゴールデンドラゴンがいるらしいです。そのせいで、彼らは棲み処を追われて人里に出てきているとか」


 そう伝えると、何人かの村人が思い出したように言った。


「……俺、ゴールデンドラゴンが飛んでいるのを見ましたよ。まさか、この近くに住んでいるとは思わなかったです」

「オイラも見たよ。その時は2匹で飛んでいた。たぶん、あれは番いだな。もしかしたら、ゴールデンドラゴンの赤ん坊がいるかもしれんぞ」

「なるほど……赤ちゃんですか……」


 ゴールデンドラゴンは、子どもの方が全身を覆う金の純度が高い。

 闇オークションで高く取引されているため、密猟が後を絶たないくらいだ。

 魔石や素材でさえ、とんでもない高値で売れるのだ。

 生きている赤ちゃんなんて、それこそ一生分稼げてしまうかもしれない。

 俺に話した村人たちは酔っているのか、わいわいと盛り上がる。


「おい、お前。間違っても赤ん坊を狙おうなんて思うなよ。親ドラゴンがどこまでも追ってきて、八つ裂きにされるからな」

「わかってるって。さすがに、オイラもそこまでバカじゃないよ……アイト様、ついでと言っちゃあなんですが、金が落ちてないか見てきていただけませんか?」

「こいつ! 調子に乗りやがって!」


 村人たちが騒ぎ始めると、マーヨー村長が怒った。


「バカ者ども! アイト殿に失礼だろ! ……どうか、気を悪くしないでくれ。あいつらも悪気はなくてね」

「ええ、特に気にしていませんよ」

「念を押すようだけど、ゴールデンドラゴンには気を付けるんだよ。アイト殿なら、問題ないとは思うがね。今日はゆっくり休んで、また明日行ってはどうだい?」


 マーヨーさんに言われると、コシーとエイメスもこくりとうなずいた。


「そうですね。それではお言葉に甘え、俺たちはそろそろ寝ます。みなさん、今日は本当にありがとうございました。お料理おいしかったです」

〔ふわああ。眠くなってきた〕

〔私も眠いです〕


 立ち上がろうとしたら、くいっと誰かに袖を引かれた。

 ソンレイさんだ。


「もう、お休みになられてしまうのですか……」


 彼女が名残惜しそうに呟くと、マーヨーさんが諭すように屋らしく言った。


「アイト殿たちはお疲れなんだよ。寝てもらいな」

「たしかにそうですね……。おやすみなさい、アイトさん。また明日お会いしましょう」

「おやすみなさい、ソンレイさん。お食事とても美味しかったです」


 村人たちが寝室へ案内してくれる。

 歩きながら考えた。


 ――ゴールデンドラゴンか……なるべく、遭遇しないように立ち回ろう。

 

 エイメスに万力のように抱き締められながら寝て、翌日、俺たちはさっそくグリズリー討伐へと向かった。

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