表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある管理者の独り言

作者: あくあ

私の仕事は現世で肉体と魂の接続に異常が発生した(端的にいえば原因はともかく死に)魂の存在とのみとなったものを導くことだ。


今日もまた一人条件をある条件を満たしている魂がやってくるようです。


「さて、貴女は交通事故が原因で若くして亡くなりました。


 あなたには三つの選択肢があります。


 一つ目はこのままもう一度現世でやり直すこと。

 ああ、これはもう一度生まれ変わるということですね。


 二つ目は資格が足りませんので選べませんが上位世界に上るということ。

 簡単にいうと今より昇華された世界です。


 そして三つ目は下位世界に降り一からやり直すという事で――」


「それってもしかして異世界転生の事!?

 それが良い!剣と魔法の世界で魔物が居たりするんだろ?

 

 俺、そういうの憧れてたんだよ!!」


正直にいうと3つ目の選択肢は地獄――昔は国や宗教でそう扱われていた――に自ら降りるということなのだが魂の資質を積み、現段階の世界に昇華した存在なのだがなぜか最近の肉体を失いし存在達は地獄行き(異世界転生)を積極的に選ぶ者が多い。


しかも若くは10代から天寿を全うした者までの老若男女のほぼ全てがだ。


疑問に対して軽く調べたところ現世ではそういった異世界転生や異世界転移に憧れていう者が多いということは分かっている。




しかし理解できない。


現世とは下位世界は現在界とは異なり剣と魔法がある。

魔物と下位世界の者たちが呼ぶ試練的な存在が居る為に戦う力が必要。

生活するだけでも命の危険を含む世界だというのに。


下位世界で多大な実力を身に付けたり功績を残したものは昇華する選択を得て上位世界――現世へ生まれ変わる権利を得る。


現世で昇華するほどの魂の経験を積むということは一筋縄ではいかないようにこの世界は出来ている。


現世で平々凡々と生きているよりは下位世界で死と隣り合わせの世界で生きている方が良いのかもしれない。

しかしそれは本人の考え方次第なので私としては過剰に干渉するわけにはいかない。


私もあえて地獄行きという言葉は出さず下位世界へ降りるという言い方をしていることも関係しているのかもしれない。


「なあなあ、それでチートスキルみたいなのは貰えるのか?」


(チートスキル…現世に昇華してきたあなた方は下位世界に降りるとき大体聞いてくることですね…)


しかしこれは私から与える事は出来ません。

なので私はこういうしかありません。


「貴方がこれから生まれ変わる世界はいま記憶が無くとも生前暮らしていた世界でもあります。

 資質は現世で生きていた時得意だったことがスキルといった形で顕現する可能性は極めて高いです。

 それが何かはご自分で確かめてください。」


「ええ?ヒントとかもないの?

 もうちょっとサービスしてくれても罰は当たらないだろ?」


「残念ですが私にはそこまでの権限はありません。

 私が分かるのは現世で生きていた貴方の生き方くらいです。

 ・・・それにもう時間のようです。


 あなたの次の生が幸福で満たされますように祈っております。」


「えっ、ちょっとチートスキルなんもないのかよ!?

 次の人生どうやって生きればいい―――」



私達管理者との対談は無限ではなく限られた時間の中で行われている。

一つの魂に対しても時間は決められている。


「はぁ……なんでもかんでも要望が通るわけが在るわけじゃないでしょうに……」


「なんだ、姉さん。お疲れかい?」


「現世の魂が挙って下位世界へ降りようとする意味がわからなくで頭痛がしていたところよ……」


「ふぅん…………現世の書物ではそういう異世界転生や転移の物語が流行してるみたい。

 それが原因かどうかは分からないけど現世での生活が嫌になってるとかじゃないの?」


「生と死の隣り合わせの下位世界と、人同士の戦争はあれど魔物も居ない比較的平和な現位世界。

 

 下位世界から上がってきた人達の思考はよくわからないわ。」


「あはは、姉さんのいまの状況『中間管理職の板挟み』言うんじゃないの」


「……たぶん違うと思うわ……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ