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アッシュラント法 決闘裁判

完全におまけ回ヌメ。

細かいところが気になる人向けの法文。

こんなものは読まなくても、次からの話はわかるヌメ。

第一、開始前


 誰でも自分の同身分者に決闘を挑もうと欲する者は、相手を裁判官の前に連れ出し、法に則って訴えることができる。

 

 原告はなにゆえに相手を訴えるのかを宣言しなければならない。その際、犯罪がどこで起きたのか、どんな罪があったのかを明確にしなければならない。暴力ならばその傷、またはそれが治癒しているならばその痕跡を示す。決闘に値するような少なからぬ財産を強奪されたなら、それを訴える。原告は以上三点を一時に訴えなければ、決闘の権利を失う。


 原告に対し被告の身分が低い場合、決闘を拒絶することはできない。より高い身分にある場合は、それを拒むことができる。


 原告と被告の双方が親族である場合、被告は決闘を拒絶することができる。ただし、彼等が近しい親族である旨を、保証人とともに聖なるヴェスレの火にかけての宣誓によって立証する限り。


 被告は決闘が確実に遂行されることを保証する第三者の見届け人を求めることができる。


第二、宣誓


 原告は「神聖なる女神の火にかけて誓う。わたしは彼の犯罪を見た。それを彼が認めないならば、わたしは、法によって与えられたすべての権利をもって、それを彼に承服させようと欲する」と宣誓する。

 被告は「自分は無罪である。女神の火はわたしを助け、それを証明するだろう」とみずからの潔白と決闘の受諾を宣誓する。


 両者は決闘において妖術や護符の助け、薬および魔石を含む魔道具を使わないことを宣誓しなければならない。


 獣人は武器を使用する場合、爪と牙を使わないことを宣誓しなければならない。


第三、服装


 裁判官は、そこで戦う者たちが正当な慣習に従った武装をしているか、それを検分する二人の使者を与えるべきである。


 裁判官は決闘をする各人に、各人が求めるならば、一個の楯と一口の剣、または杖をあてがうべきである。


 剣は片手で扱えるものを使用する。双方が剣での戦いを行う場合、両者の剣は等しい長さであるべきである。


 杖は片手で扱えるものを使用する。両者とも杖を持つ場合、素材と長さは等しくあるべきである。素材にはナナカマド、芯には鹿犬オスクの背毛を使用するのが好ましい。


 楯は円形で片方の手にできるものを使用する。素材には木と革を使用する。木には石綿の木アスピンデーを使用し、火を通さぬものが好ましい。それ以外の素材が使われてはならないが、楯の中高部分には鉄を用いてもよい。


 革や亜麻布のものは、決闘者の欲するだけ身に着けてもよい。


 鎧や帷子、サラマンダー素材など防火の施されている衣服の使用は、両者が同じ品質のものを身に着ける場合にのみ許される。


 獣人は武器を使用する場合、口に枷を、手に爪の出ない革の手袋を着用するべきである。


 獣人は武器を使用しないのなら、己の牙と爪で戦うことを許される。


 両者とも、衣服の上に袖なしの上衣を着る。


第四、介添人


 裁判官は各人に、棒を携えた一人または二人の介添人を与えるべきである。


 介添人は決闘を妨げてはならないが、両者のうち一方が倒れるか傷つけられるかした場合、もしくは棒を乞うた場合に、裁判官から許可を得て、棒を間に入れ戦いを止めることができる。

 

 介添人は裁判官の許可を得ないうちは、戦いを止めることはできない。


第五、決闘場


 決闘場は平和であり、いかなる者も決闘を妨げてはならない。これを犯した者は首刑とされる。


 太陽は決闘場の真上にあり、両者に等分にわかたれるべきである。


 決闘場は高低差のない平らな土地に十分な広さを柵で囲わなければならない。


第六、召喚


 決闘場には原告が最初に入来するべきである。


 相手がいつまでも来ない場合、二人の参審員とともに使者が遣わされるべきである。三度の召喚に従わなかった場合、原告の不戦勝となる。その際、裁判官は決闘開始の合図をし、原告は立ち上がって空に二撃する。裁判官は決着の合図をし、被告に裁きを下す。


 原告が闘いで臆して入来しなかった場合、二人の参審員とともに使者が遣わされるべきである。三度の召喚に従わなかった場合、原告は決闘の権利を失い、罰金および贖罪金を支払うとともに、被告を放免しなければならない。また、被告は今後一切同じ罪での告発を受けることはない。


第七、入場


 決闘場に平和が命ぜられた後、決闘者各人は裁判官の許可を得て決闘場に入る。そして両者とも決着がつくまで柵から出てはならない。


 決闘場へ入る際、原告は南側から、被告は北側から入場する。


 裁判官は許可を求められた際は、各人に決闘場に入ることを許すべきである。


 各人は裁判官の前に武装して進み、原告は罪は真実であると宣誓する。被告は自分は無罪であり、それゆえこの決闘を行うのであると宣誓する。


第八、決着

 

 裁判官の開始の合図で闘いを始める。


 被告が死んだとき、またはもう戦えないくらいの傷を負ったとき、原告の勝利となる。


 原告が死んだとき、またはもう戦えないくらいの傷を負ったとき、被告の勝利となる。


 杖を使用する魔法使いと剣士または獣人が戦う場合、魔法使いはその場で動かず、先にひとつの呪文を唱え始めてもよい。その場合、裁判官は三つ数えた後に、剣士に開始の合図を送る。


 獣人が戦う場合は、相手が先に動いてから行動を開始しなければならない。


 夕方になり星が出るときまで決着がつかなかった場合、被告は罪をまぬかれる。原告は、罰金および贖罪金を支払うとともに、被告を放免しなければならない。


 いかなる犯罪であっても、被告が決闘をもって承服させられるならば、それは首刑に及ぶことになる。


 被告が戦い勝つならば、原告は罰金および贖罪金を支払うとともに、彼を放免する。



第九、代理人


 不具の人たちは、同身分者の後見人か、誰でも彼のためにそれを行おうと欲する者、または自らの金銭をもって雇いうる者を決闘人として得ることができる。


 身体能力が非力のゆえに決闘を遂行できない者は、同身分者の後見人か、誰でも彼のためにそれを行おうと欲する者、または誰でも自らの金銭をもって雇いうる者を決闘人として得ることができる。


 決闘人による挑戦を受けた者は、同じく決闘人をもって彼を承服させることができる。


 負けた決闘人は裁きの証人として罰を受け、彼から右手が斬り落とされる。


 

以下、その他の法律により割愛。

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