『短編版』悪徳聖女はオアシスの国へ参ります。そこにモフモフがあるかぎり。
南国の花々、お揃いの色をした屋根と、白い壁が続く街並み。異国情緒あふれるこの国が、乙女ゲームの世界だってこと、たぶん私だけが知っている。
知っているけれど、シナリオに関わるつもりはない。だって、私は聖女なのにヒロインを貶めようと幾多の嫌がらせをする、噛ませ役の悪徳聖女、第三王女シエラなのだから。
それでも宵闇の訪れる直前のようなような、赤から紫へ変わる瞳。美しい銀の髪。シエラの造形は美しいの一言だ。私もシエラのビジュアル好きだった。
「この国を出るチャンスはきっと今しかない」
ヒロインが来るまで、あと一年。私は、ちょうど良いタイミングで来た砂漠の国の王子様からの婚約の打診を受けることに決めた。
砂漠の国なんて、多分気候も厳しくて住みやすくないと思うけど。それでも、乙女ゲームのシナリオが動き出す前に、なんとしても逃げ出したかった。
それに砂漠の国は、意外に大事な秘密を抱えていた記憶がある。それが何かは思い出せないのだけれど。
「婚約の申し出、謹んで受けさせていただきます」
「えっ、婚約を受けていただけるのですか?……本当に?」
緊張のせいかペタンと耳を倒した使者が信じられないという表情をした。驚きと緊張のせいか尻尾がピンと立っている。尊い。
砂漠の国から来た使者には、柴犬みたいな犬耳と尻尾が生えていた。この国では、蔑まれる対象の獣人を使者に立てた砂漠の国。
私の周りの人たちは「獣人を寄越すなど我が国を馬鹿にしている」と怒りを露わにしたけれど、私はそうは思わない。
──第一にモフモフ最高。
──真面目な話をすれば、そういったくだらない差別がない国だと本で読んだから。
──そしてやっぱりモフモフ最高。
「さ、行きましょう?」
「え? 何を言っておられるのですかシエラ姫殿下」
「何って、婚約者様(仮)のおられる砂漠の国に行くのよ?」
「え?」
ここが乙女ゲームの世界で、自分が悪役だと気づいた時から、準備を進めてきた。聖女として生まれたことを、最大限に生かすために、毎日祈りも欠かさなかった。
私は悪徳聖女シエラとは違う。
それに、先日やっと醤油を完成させた私は、もはやどこの国でも生きていける自信があるのだ。
砂漠の王子は、冷酷だという噂もあるけれど、使者に選んだ人材を見る限り、正しい目を持っているのは間違いない。
犬耳と尻尾が最高!
というのは別にしても、礼儀作法は完璧だし、少し話せば頭が切れる人間なのもすぐわかる。そしてその立ち居振る舞い……。
「とても強い……」
聖女として真面目に働くのなら、王宮の奥になんて閉じこもっていられない。戦いによる負傷者も、病人も、怪我人も。たくさんの薬や癒し手がいる王宮の中になんていないのだから。
現場主義で危険をくぐってきたせいなのか、聖女の能力なのか。私は強い人間には敏感になっていた。
砂漠の国は、乙女ゲームの世界で重要な立ち位置にある。それにモフモフに優しい。
少しだけ引っ掛かりを感じながらも、抗えない魅力に引き寄せられて、私は使者の手を取った。
✳︎ ✳︎ ✳︎
それから数日後、砂漠の国からの使者レンさんと幼い頃から仕えてくれている侍女のルリだけ連れた私は砂漠の国を目指していた。
旅の準備は、来るべき断罪回避のため既にしていたから問題ない。でも、こんな状態ではとても受け入れられはしないだろう。
「ごめんなさい。謝って許されることではないけれど……」
「いいえ、我が姫……。でも、良かったのですか?」
「受け入れてもらえないかもしれないわね。こんなふうに追い出されるように来た姫に価値なんてないもの。でも、心配しないで?追い出されても生きていく術は持っているから」
「……我が姫が追い出されることは、決してないと思いますよ」
レンさんいい人。そしていつのまにか呼び名が我が姫になっている。萌える。
それにしてもまさか、周囲からこんなにも反対されるなんて思わなかった。獣人を使者に寄越したことが、ここまで忌避されるなんて。
聖女と言っても、変わり者の私が王族に嫁ぐなんて喜ばしいことだと思ったのに。
危うく「亜人の分際で姫を拐かそうとは!」と貴族人族至上主義の第一騎士団長に、モフモフの使者レンさんが斬られるところだった。
私が全力で庇ったおかげで無傷だったけど、国際問題だよ?!
いや、レンさんの実力なら返り討ちだったかもしれないけど、それでも国際問題だよ……。
そういえば、シナリオ通りならこの事件がきっかけで、砂漠の国と戦争が起こることをその時やっと思い出した。
でも、画面上の使者は獣人ではなかった気がする。
ちなみに、乙女ゲームでは使者を斬るよう命じたのが、悪徳聖女シエラだった。
乙女ゲームの方の私とは仲良くなれそうもない。
「まさか、お父様があんなにもわからずやだなんて」
聖女として活動する中で、私は獣人も分け隔てなく癒していた。そのことに周囲から何度も苦言を呈されていたけれど……。
獣人への差別がここまで強いことを改めて目の当たりにした私は「獣人も私たちと何ら変わらないです。むしろ私たちより優秀です」と、父に詰め寄ってしまい、結果勘当同然で追い出されるように今に至る。
「……そういえば、なぜあなたが使者に選ばれたの?この国では獣人の差別が強いなんて有名だったでしょうに」
「……それは」
「────わざと使者を殺させて、戦争を起こそうとした?」
私はずっと気になっていたことを聞いてみる。
乙女ゲームでは、使者が斬られてしまったことを理由に、私の国と砂漠の国の間で戦争が起こるのだ。
聖女であるヒロインが、悪徳聖女シエラを断罪するまでその戦争は続く。
それにもうひとつ、ヒロインは何か砂漠の国にあった問題を解決したような気がした。
そこ大事!そう思うのに、そこだけ靄がかかったように思い出せない。
レンさんが、私の手を掴んで真剣な瞳で見つめる。ヘーゼルナッツのような澄んだ瞳に見つめられ、何故か私は体温が高まるのを感じた。
「それは違います!我が国にはどうしても、聖女様の力が必要だから。それに……」
「……違うならいいの。あなたみたいな優秀な人を犠牲にできる王子様とは、仲良く出来ないかもしれないって不安になっただけだから」
「優秀……などと」
少しだけレンさんの頬が赤い。
それを見た私も、何故か耳が熱くなる。
二人で見つめ合っていると、急に瞳を厳しくしたレンさんが私を庇うように前に出た。同時に、護衛も兼ねている侍女のルリも、私の背後を守るように立つ。
向こうから砂埃を上げながら集団が近づいてくる。
「あっ、二人とも待って」
私はその集団へ向かって駆け出す。
「アダム隊長!」
向こうから来たのは、獣人たちの集団だ。
先頭にいる虎の獣人のアダム隊長は、卓越した手腕と強さで獣人でありながら、異例の隊長まで昇進した人だ。
たぶん、正当な評価をされていれば、将軍クラスの実力だと私は思っている。
「──どうしてここに?」
「水臭いじゃないか、姫さん。俺たちは姫さんに忠誠を誓って戦ってきたんだ」
「アダム隊長……でも、私は」
「砂漠の国は、獣人を差別しない。そこの使者殿がそれを証明している。……違うか?」
ここにいる人たちは、みんな獣人であるという理由だけで正当な評価をされていない。
「そうだとしても、私が砂漠の国で受け入れられるかなんて分からないのに」
「姫さんなら大丈夫だ。まあ、もしダメなら俺と冒険者になればいい」
それは素敵な提案に思えた。
「──だ、ダメです」
そこに割り込む少し慌てたような声。
振り返ると、私たちの間にレンさんが割り込んでいた。気配が感じられなかった。アダム隊長すら瞠目している。
「我が姫は、砂漠の国で王太子妃になるんです!だから、あなたと冒険者にはなりません」
「んん?あんた、腕が立つな。それにそんな必死になるなんて」
長い尻尾を振りながらニヤリと笑うアダム隊長。
尻尾と耳をピンと立てたレンさん。
桃源郷かここは。
まあ、使者であるレンさんが私を連れて行かなければ、お咎めがあるかもしれない。まずは、砂漠の国で王子様に会ってから決めよう。
それにしても王子様と思っていたら、王太子……?砂漠の国だし第十六王子くらいかと勝手に思ってた。聞いていない。ああ、もしかして八番目の婚約者とかなのかな?
特に役割ないなら聖女として活動しながらスローライフできないかな?
そんなことを思いながら勝手に私は納得した。
この時、レンさんを問い詰めて真実を確認しなかったことを後悔するなんて、この時の私は知らなかった。
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暗闇の中、すっかり大所帯になってしまった旅の一行。アダム将軍とレンは姫が眠る天幕を守るように焚き火を囲んでいた。
「それで、あんたどういうつもりだ」
虎の獣人のアダム隊長が、口元から牙を見せレンを威嚇する。
「どういうつもりとは?」
目元を緩ませながらも、全く警戒を解かないまま犬耳の獣人、レンが返答する。
焚き火のオレンジ色の光に照らされた二人は、剣呑な雰囲気だ。すでに二人の大切な姫は、寝息を立てているだろう。
どちらともなく、剣に手をかける。
「姫さんが、あの国で俺たちを守るために良い立場にはいないことは理解していた。だが、あんたの答えによっては俺はこのまま姫さんを連れ去る」
小さなため息と、わずかな笑顔。
「俺が全てをかけて、我が姫はお守りします。それだけの恩がある」
「──まさか、あんたも姫さんに救われたのか」
レンはそれに対する返事はしなかった。
だが、その表情は是としかとれないものだ。
「アダム殿、砂漠の国に来たら活躍の場が山ほどあるでしょう。その力で我が姫をお守りください」
「あんたには人事権がある。そう捉えていいのか?」
「アダム殿には話しておいた方が良さそうですね」
二人の会話を私は知らない。
どこでも眠れるタイプの私は、その夜もぐっすり眠っていた。
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広大な砂漠を抜けると、そこはオアシスだった。
豊富な水源があるのか、噴水からは勢いよく水が噴き出している。
遠くに砂漠が見える中、幻想的にさえ見える不思議な空間。
私の国とは違い、色とりどりな砂漠の国。
道ゆく人々も、髪の色も人種も豊富。
獣人たちも笑顔で通り過ぎていく。
「さ、王城へ参りましょう?」
レンさんに手を引かれて、白亜のお城に向かう。どこかエキゾチックな造りも、私のいた国とは違って胸が高鳴った。
正門を潜ると、何故か大歓迎される。
お城の中から、全員出てきたの?と思わせるほど人がいた。
「王太子殿下おかえりなさいませ。そしてシエラ姫殿下ようこそいらっしゃいました」
「……?」
中から出てきた一番偉そうな、宰相レベルの地位にありそうな人が、跪いてレンさんを王太子殿下と呼んだ。
「──っ?!」
レンさんを振り返ると、にっこり微笑まれる。
アダム隊長を振り返ると、絶対すでに知っていた雰囲気だった。
「──っ。王太子殿下には、ごきげん麗しく」
慌てて体に染み込んでいる、美しい淑女の礼をする。
だけど、砂に汚れているし、髪の毛だって侍女のルリが整えてくれているとはいえ、お風呂にも入っていないし、よく考えればひどい有り様だ。
私の戸惑いを察してくれたのか、レンさん改めレン王太子殿下が、私のことをお城の侍女に託した。
「我が姫は長旅にお疲れだ。丁重におもてなしするように」
そのまま、連れ去られ、ピカピカに磨き上げられ、王族として過ごしてきた私から見ても豪華すぎるのではないかという衣装を着付けられる。
それでも、紫から赤への妖艶な瞳、銀の髪の私に、白を基調にしたドレスはあつらえたかのようにピッタリで。所々に飾られた宝石も、私の瞳や髪を知っていて色を決めたかのようだった。
「……あれ?」
ここまで来て、ようやく私はレン王太子殿下と会ったことがあるのではないかという気がしてきた。
どうして、王太子自らが使者として私の国まで来たのか。そして、時々私を大切なものを慈しむように見てきた瞳が気のせいでないのだとしたら。
その疑問も、もう一度会えばわかるのかな。
そんなことを思いつつ、侍女たちに案内された部屋には、レン王太子殿下がいた。王族の衣装を着た、犬耳の貴公子……。
一生分のご褒美がここに?!
私を見て微笑む姿。麗しく可愛くカッコ良い。
「王太子殿下、このように歓迎いただきありがとうございます」
「我が姫……シエラは俺の婚約者になるんだ。レンと呼んでくれないかな?」
「では、レン様と……」
道中、あんなにレンさん、レンさんと呼んでいたのに、妙に気恥ずかしい。
少しだけ困ったように笑ってレン様が私の前に跪いた。
「騙したようになって申し訳ありません。それでも、俺はあなたを護り、幸せにすると誓います。どうか婚約を受け入れてくださいませんか」
「もとからそのつもりでしたのに……。でも、婚約者がレン様なんて夢みたいです……」
「あなたは俺を喜ばせるのが上手い。でも、全てが決まる前に、もう一つだけ話さなければならないことがあるんです」
私は、この国に来てから徐々に乙女ゲームの設定を思い出していた。
水精樹によって、守られしオアシス。そして今、水精樹は、かつての力を失い枯れつつある。
この樹が枯れることで影響を受けるのは、オアシスだけではない。この大陸の水のほとんどはこの樹を源にしているのだから。
「……水精樹」
その単語を呟くと、レン様が目を見開いた。
私はその表情で、水精樹の状態が良くないことを確信する。
それなら、私ができることは一つしかない。
「今すぐ連れて行ってください。水精樹のところに」
「しかしあなたは長旅で」
「砂漠に砂竜の大群が出た時には、一週間ほとんど寝ずにいたこともあります」
「……っ。その時のこと」
レン様がそこで口籠もり、何か言いたそうにこちらを見つめた。
そうだ私はこの声、あの戦いの最中に聞いたことがある。あの時は私の国と砂漠の国が手を取り合ったのだった。
その混乱の最中に、たしかにこの声を聞いた。そして、この耳を見た。あの時、レン様とたしかに出会っていた。
でも、それ以上思い出すことはできないまま、私は水精樹の前に立つ。
青空に浮かぶ雲にまで届きそうな大木、普段なら緑の葉が生い茂るのだろうけれど……。
その大木からは、神聖な力が抜け落ちているように見えた。聖女として過ごす中で何度か見たことのある、精霊が力を失った状況。
「レン様……これから、祈りを捧げます」
「シエラ……」
「祈り終えるまで声をかけたり触れないで下さい。約束です」
「あなたとの約束なら、この命を賭しても」
そんなことに命を賭けないで欲しいけれど。
私は苦笑すると、気持ちを切り替えて水精樹の前に跪く。聖女の魔力を精霊に注ぐため、ただ祈りを捧げる。
ああ、随分と長い間、誰も魔力を注がなかったのね。聖女の魔力を注ぐことが遠い遠い昔、水を与えてくれた精霊との約束だったというのに。
いつしか、人は返すことを忘れてしまった。
そう、それが乙女ゲームの世界観。忘れられた精霊との約束を守るためヒロインは旅をする。
うん?何か引っかかる気もするけれど。
そういえば、水精樹を救うのが砂漠の王子様ルートのフラグじゃなかったかな?
まあ、はじめてしまったからには完遂する。
私はそのまま祈りを捧げる。ごっそりと魔力が抜けてグングン吸い取られていく。
それから数時間経っただろうか。まだ、水精樹の魔力は満たされない。
「今日は、ここまでです」
ああ、少し魔力を使いすぎたみたい。
そのまま私は、気を失ってしまった。
「シエラ!」
あの時と同じように、意識が遠のいていく。
そう、あの時、魔力切れで気を失った私を誰かが助けてくれたんだった。
あの時聞いた声が聞こえる。
そのまま私の意識は、闇に沈んだ。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「シエラ……」
朝日とともに目が覚めるのは、聖女としての修行の日々が影響していると思う。
個人的にはもう少し寝ていたい。
……あと5分。
頬に触れる、少しゴツゴツした温かい大きな手。
「あ……レン様」
「良かった!なかなか目が覚めないから」
私は体を起こす。
「──行かないと」
「な、何を言って」
「完全に精霊が満足する前に祈りをやめると、魔力は抜け落ちてしまいます。今ならそれほどの減少はないはず」
「そんなのダメだ!」
レン様が心配してくれて嬉しい。
でも、やらなくては。長期戦になればなるほど、成功の確率は減ってしまう。
私は立ち上がると、ふらつく足を叱咤して水精樹へと向かおうとする。
フワリ……。
「ヒェ?!」
「それならせめて、体力は温存してください」
「あ、歩けますから?!」
私は何故かお姫様抱っこされていた。
私の抗議が聞こえないように、レン様は大股歩きで水精樹の元へ向かう。
次の日も、また次の日も同じことを繰り返す。
そして10日目の朝、ついに水精樹は魔力で満たされた。
「良かった……」
そのまま私は、今度こそ完全に意識を失ってしまった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
魔力切れになった私に、大きな砂竜が襲いかかる。誰もその迫力に動くことが出来ず、死を覚悟した。
目が覚めると、隣に暖かい感触があった。手を回すと、モフモフの尻尾に触れる。
「……夢」
「シエラ!!」
パタパタと、温かい雫が私の頬に落ちては流れていく。
「レン様……泣いているんですか?」
「どうして、あなたはいつも」
「──やっぱりあの時助けてくれたの、レン様だったんですよね?」
「それは、あなたが獣人なんて助けることないと言う周囲を振り切って、俺のことを救ったりするから」
あの後、獣人も含め周りの人全てを助けて完全に魔力切れになった私に、一際大きな砂竜が襲い掛かった。それを、癒したばかりの犬耳の獣人が倒してくれたのだ。
その時、彼は確かに「この恩は必ず返します。我が姫」と言った。恩を返さなくてはいけないのは、助けてもらった私の方なのに。
「あれから、3日間眠り続けていたんですよ?」
「レン様と初めて出会った時の夢を見ていました」
「──っ。シエラ」
レン様の手を借りて、窓の近くへ行く。
遠くに見えていた砂漠は今はなく、どこまでも緑豊かな大地が広がっていた。
「すごい」
「シエラの力です」
「いいえ、私は少し魔力を注いだだけ」
「シエラ、ずっとそばにいてくれますか?」
少しだけ不安そうにそう言う、まだ涙で頬を濡らしたままのレン様に私は寄り添った。
王太子を支える立場になるなんて、想定の範囲を大きく外れてしまった。
スローライフの夢は諦めなくてはならないけれど迷いはなかった。
「喜んで」
私たちの周りを、水の精霊たちが取り囲んで祝福してくれた。煌めく水しぶきと、大きな虹。
精霊たちが祝福に力を入れすぎたせいか、私たちはびしょ濡れになって……そして笑い合った。
最後までご覧いただきありがとうございました。
誤字報告ありがとうございます。
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