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人で有る

作者: 天入空

もし


もし自分が一番だったら


もし自分が他の誰よりも何かが優れていたら


この世を見る目が変わったかな?


何かで他の人に褒められていたなら


この世に充実感を感じて


頑張ろうという気がおきるのかな


でも


結局そんな夢のようなことは一つもおきず


私は他の誰とも変わらない


平凡人へいぼんじん


他の人とは違うなんて


所詮ただの幻想


それでも 私は幻想を心の奥底で信じてるの


だから“もし”を使うんだ




人で有る


人で有りたい


心を持たない殺戮兵器じゃなくて


何事にも動じない鋼の心も持たず


感情をひたむきに表に出して笑う


理屈じゃない


頭では分かっていることに

心がついていかない


だからこそ



私は人で有りたい



笑って


あなたに届かなくていい


何も無かったと笑っていられるから


あなたに知られなくていい


知ってしまったら もとのままじゃいられなくなるから


このどうしようも無いモヤモヤ感


クシャクシャに丸めて どこか遠いところに捨ててきたい


何でも口に出して笑って話せるあなたみたいに


_____私は強くないから_____



だからあなたは何も知らないで笑っていて


あなたに知られたら


私はワタシじゃなくなるから……




雪が 降っている

しんしんと

薄暗く

たくさん

降り積もっている


町全体が 白くなる

いつもは赤いポストも

白く白く 染まっていく

僕の心も

雪が 降り

白く白く 染まっていく



君が僕の前から

いなくなる時

僕は言葉じゃ言い表せないほど

怖くなる


いつしか君が

僕の前から消えて

居なくなってしまうような

衝動に駆られる


そう

雪に 隠されて消えていくような――――



雪は 嫌いだ

僕の心に

ぬぐいきれないほどの不安を

見せ付ける



あの日のように――――


あの日 君が消えた日のように――


僕は 君の事に気づいてあげられなかった

ごめんね



雪が降っている

あの日のように

たくさん たくさん

降っている

白く白く―――

降り積もっていく――――

どうでしたか?

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