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第七章 穢れた花嫁⑤

三話があまりに長すぎて分けてみたのさ。歪な三角関係、どうなりますのやら。

振り返る余裕などない。無我夢中で夜道を駆けずり回った。

 今、自分がどこに居るのか、彩夢は判然としないまま、暗がりに揺れる水面をぼんやりと眺めていた。

 彩夢に残されたのは、絶望だけである。

 これで楽になれる。そう思った次の瞬間、彩夢は自分の身に何が起こったのか、分らなかった。

 彩夢は、呆然と地面を見詰めていた。

 矢張り、祥希から逃げることなど、出来ない。

 悲しみが、胸をギシギシ締め上げる。息苦しかった。

 「あんたさ、こんなところで、何やってんの?」

 恐る恐る、彩夢は虚ろな目を上げる。

 そこにいたのは、晟也だった。

 「違うの。違う」

 「何が違うんだ」

 逃げなくては。彩夢はまだその相手が、晟也だと判然としていなかった。

 「おい、大丈夫か。お前、顔が真っ青だぞ」

 「違うの。ごめんなさい。もう二度としません」

 「おい、しっかりしろよ。俺が誰だか、分るか? 俺だよ。比嘉晟也」

 躰を揺すられ、彩夢は目を大きくして見つめ返す。

 彩夢は晟也の手を振り払い、一目散で手すりへと駆け出していた。

 「あっぶねぇ」

 躰が薙ぎ倒され、晟也の声がすぐ間近から、聞こえて来ていた。

 「放して」

 暴れる彩夢を、晟也が羽交い絞めして、引き止める。

 「あんた、何を考えているんだよ。バカじゃねぇの」

 荒く言うその相手が、初めて晟也だと彩夢は気が付く。

 「本当マジ勘弁してくれ。何でこんなところで、死のうとするんだよ」

 「あなたに……、あなたに、わたくしの何が分かるって仰るの?」

 「前から言っていると思うけど、俺は、あんたが考えていることなんて、さっぱり分からないよ」

 「だったら、放っといて」

 「俺もそうしたいけど、ここで死なれると、胸糞悪いだろ。どうせ死ぬなら、俺の目が届かない、遠いところでしてくれ」

 「あなた、それでも人間? 普通、自殺志願者が目の前に居たら、お止めになるものではありませんの?」

 「面倒くさっ。止めてもらう前提なら、そんなこと、考えなければいいんじゃないの」

 「あなたには、関係なくってよ」

 「ああムカつく。あんたって本当、迷惑女だよな」

 舌打ちをした晟也が、彩夢を軽々と担ぎ上げる。

 「ちょっと何をする気。降ろして」

 「うるせぇ。暴れるな」

 手足をばたつかせ暴れる彩夢の尻を、晟也が一つ二つ叩く。

 「痛い。暴力反対」

 「騒ぐな。近所迷惑だろ。おもてぇな。少し、じっとしてろ」

 「失礼な、だったら降ろしなさいよ」

 晟也の足がピタッと止まり、彩夢をゆっくり地面へ下ろす。

 あまりに自分の言葉を素直に聞かれ、彩夢は泣き笑いしてしまう。

 晟也に何も言わず背を向けられた時、この人にとって、自分はどうでも良い存在なんだと、認めざるを得ならない事実。と悟った綾夢の全身から気力が抜け落ちる。

 しかし、屈められた晟也の背を、彩夢は呆然と見つめる。

 「早くしろよ」

 「でも」

 「裸足で帰る気?」

 言われて初めて、自分の足から血が滲んでいるのに、、彩夢は気付く。

 面倒くさそうに晟也に背負われ、彩夢は何も言えなくなる。

 「助けてくれて、ありがとう」 

 止めどなく涙があふれ出してきていた。

 「鼻水付けるなよ」

 「知らない」

 揺れが心地よかった。

 子供のように泣きじゃくる彩夢に、晟也は何も聞かない。

 この優しささえあれば、彩夢は何もいらない。と心から思う。

 それはきっと……。

 

私的には、晟也、男見せろって、感じですかね~。

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