深夜の怪作業
こそこそと作業をすること数時間
何とか大まかな地形の改善が終わったが、これから建屋の作業になる
暖簾とかあったっけ? ごそごそ・・・あったあった
青と赤いのでいいか、あと立て看板たてとくか
簀子とかもいるよね、ごそごそ・・・よしよしあるね
塀はまあ、長期設営するわけでもないしこんなものでいいか
しかし岩がないんだよな岩が・・・
ちょっとひとっ走りして周囲から集めるか
アルベルト、暇? 何、暇じゃない?
チェニスに絡まれて面倒なことになってる?
ほっときなさい、バルロイを呼び出して押し付けなさい
何? バルロイはもう寝た? 押し付けられないと・・・
主人に呼ばれたので失礼しますと逃げてきなさい
おお、うまいこと逃げられたと。グッド!
お疲れ様、アルベルト。というわけでこういうことをしているのよ
どう? 中々良いと? よしよし、では作業を続けよう
ちょっと竹とかシダ植物とかそれらしい雰囲気の植物を植えて欲しい
あと鹿威しとかはいらない、うるさいから
ああ、それは大事よね。是非設置して
あ、そうだ。そこの岩を加工してほしい
周辺地形情報で探して掘り出したりして持ってきたので
殺菌とかまだ終わってないので、まずは殺菌処理しちゃって
その上でこう加工して・・・そうそう、そういう感じで
朝までには仕上げたいんだけど、いける?
よしよし、二人しかいないけどまあ何とかなるでしょ
寝ろ? いや私は昼過ぎからさっきまで寝てたから眠くないよ?
いやいや、これは私の趣味半分みたいなものだし、私もやるって
アルベルト・・・貴様は本当にサポートロイドの鑑だね・・・
わかった、ではお言葉に甘えて休む事にする
村人が起床しはじめたら起こしてね。あとお願いね、おやすみ
というやりとりをして4時間。村の住民たちが起床して畑仕事を始める
彼らには本当に頭が下がる。何せ朝の4時に起きて食事をする前に畑に行く
そして簡単な見回りや作業をしてから井戸で体を洗って食事にする
それからまた畑に出かけて作業を行い、昼食を食べる
昼食後少し休んでから、また農作業を続ける
そして午後に軽食をとってまた日が暮れるまで仕事を続ける
日が暮れると家に帰り、体を清めてから食事を摂る
それから家の事や裁縫やら縄編みやらまた作業をして
20時から21時には就寝する
なんだこの、勤勉を絵にかいたような生活は・・・
実に健康的だが、娯楽とかそういった要素がさっぱりない・・・
なんかこれはいかん、これは人として食うために働くマシーンになっている
と思ったので、村の公共の利益になる事で、私の為にもなることはないか?
そう考えて、ある設備を思い出したので設営することにしたのである
野外入浴セット2型。そう、幾多の災害で被災者に生活環境を提供した
自衛隊の三種の神器の一つといっても過言ではないのがこの装備だ
ちなみにあとの二つは、野外炊具1号(改)&野外炊具2号(改)
それと各種天幕やテントである。この3種の装備のおかげで
どれほどの人が助かり、人間らしい生活が出来たことか・・・
温かい食事、安心して寝れる場所、そして温かいお湯に入れる事
絶望的状況でこれらの提供は本当に有難い事であった・・・
あ、でも、仮設トイレとか野外支援車のトイレも重要だったな・・・
これじゃあ四種の神器になってしまう。まあ、私的見解なのでいいや
この村では、住居は保証されている。各自に家がある
食事については、栄養バランスと味に多少の問題はあるのだが
私の知識から考えても、量とカロリーは保証されている
では足りない物は何か? そう、快適な環境の一つである風呂だ
西洋では湯舟に浸かるというのはあまり習慣がない
しかし湯舟につかって清潔にするということは
衛生管理の面からいえば非常に効果が高い
まあ、ドイツの大学の実験で、一週間に1回しか風呂に入らない人と
毎日風呂に入る人で一年間にわたり風邪にかかった統計をとった所
毎日入る人のほうが、一週間に1度しか入らない人より風邪になりやすい
といった結果も出ているので一概に良い事ばかりとは言えないのだが・・・
だが彼らは既に高い免疫力をもっている
そのため、いきなり毎日風呂に入ったところで大した問題はない
そもそも数日おきにローテーションではいってもらえばいいだけの話だ
このように考えて風呂を作ろう と思い立ったまではよかった
最初は野外入浴セット2型をそのまま使って簡易な風呂にしようと思っていた
が・・・その時、運悪くタイゾウから定時連絡がきた
ジェネレータールームが完成したので、これからどうするか? という問いに
水上戦闘の可能性があるのでドックを急ぎで作って欲しいと指示を出した
その時に、上で何かしているようだがそちらを支援しなくていいのか? と
タイゾウにしては珍しく、こちらの作業内容を聞いてきたので
「ああ、お風呂作ってるだけよ?」と答えたところ、タイゾウがこう言った
「コマンダー、長年掘ってきた俺の勘だが、この地域には源泉がある
必要なら掘り当てるが、どうする?」
温泉があるだと?? マジでいってんのかタイゾウ!?
「えーと・・・泉質とかわかる?・・わけないよね?」
「炭酸水素塩泉ではないかと思うが、掘り当ててみないことには詳細は不明だ」
「ドックが終わったらトライしてもらえる? それまでお湯でごまかすわ」
「了解した、直ちに作業に入る。交信終了」
相変わらず淡々と必要なことしかしゃべらないが、声が喜んでるのがわかる
ほんと、掘るの大好きだよなタイゾウは・・・まあ、そう成長させたんだけど
というか、掘ってないときって寝てるんだよね・・・もう何十時間でも・・・
ということで、将来的に温泉に変更できる可能性があるので野外入浴セット2型
の湯の供給と処理と循環設備とシャワーユニットを活用して
浴槽はもう、つくっちまえ、露天風呂三つでGOだとノリで始めたのである
途中から、アルベルトに丸投げという横着な指揮官っぷりを発揮して・・・
このような相変わらずっぷりの部下にほぼ丸投げでできたのが
妙に和風を意識しすぎて周囲から浮き気味のこの露天風呂である
そして男湯には、私がイメージだけ力作して作業をアルベルトに丸投げした
裸で股間を隠しながらマウントで顔面を殴打される男の石像が飾られている
マウントで男をぶん殴っている筋骨隆々の女の口から浴槽に
マーライオンのようにお湯が出るようにしてある。きっとバルロイが喜ぶ
給湯ユニットを作動させて、さっそくお湯の供給準備を行う
水は湖の水をろ過装置で飲料可能レベルまで浄化してから使用している
高低差が20メートル以上あるので、給水装置を用いても圧力が足りないので
追加のポンプユニットを配置して何とかごまかしているが、効率が悪い
早いところ温泉が出ないと、戦闘車両並みに燃料を食うのが現在の問題だが
石油もドラム缶よりタンカーに満載して数えたほうが楽なレベルで在庫がある
なので私が死ぬまでに燃料問題が発生することはおそらくないだろう・・・
《アルベルト、作業ご苦労さま。今は朝食の準備中?》
《おはよう御座いますレイラお嬢様。朝食の準備にはもう少しかかりますので
朝食前にガフ様と皆様で朝風呂等如何でしょうか?》
できる執事め・・・こいつ湯上り見越して朝食の準備してるな
《バルロイも叩き起してつれてきて。チェニスも他人と一緒の入浴でよければ
どうですかって誘ってみて》
《すでにバルロイ様は、ガフ様の家で臨戦態勢で待機されております
早く朝食をくれと少し煩わしい状態です・・・・》
あいつも食欲大魔神だったな・・・しかも他人の家に早朝から押しかけか・・・
《何発かぶん殴ってもいいからつれてきて。この世界の人間の食欲は異常ね》
しばらくすると、建物から5人がちょっと眠そうに出てくる
レミリアは自力歩行が可能になったようだが・・・顔が脂ギッシュだ・・・
「「「「「お早うございます!」」」」」
「はい、お早う。ちょっと貴方達に手伝ってもらいたいことがあってね
今後、貴方達に村の人への指導をしてもらいたいので
その研修を兼ねて実際に体験してもらおうかなと思ってね」
「指導ですか?? 私達でそんな難しい事出来るでしょうか?」
「出来る出来る。入浴のマナーを覚えて教えるだけだから」
「・・・入浴?? あの、湯舟に浸かる貴族様なんかの風習のことですか?」
「そうそうそれ。私の国ではたいていの人が、ほぼ毎日入るのよ
人によってまあ入浴の間隔は違うんだけどね。1週間に1度は最低でも入るよ」
「それって、すごいお金がかかることなのでは・・・」
「てか施設はもうそこに出来てる」「え???」「ほらそこ」「外ですよねここ?」
露天風呂をかこっている塀の方を指さす。周囲には竹が植えられ植物も配置され
ぱっとみても、あれが風呂ですと彼女達の常識では理解できないだろう
「論より証拠というので、まあ中を見てみてよ」
彼女達を率いて女湯に入る。入り口で靴を脱いでげた箱にいれるように指示する
まず脱衣所があり、そこの使い方を説明する
脱いだものはこの、小さな戸を開けて中にいれる
んで、戸をしめたらこの、この金属の板をとる。これがカギになってる
なので誰かが間違えて荷物を持って行ったり、盗むとかは出来ない
この金属の板は、こういう風に手首にでもつけとく。これで邪魔にならない
言われた事を彼女達も一斉にやってみて、妙に感心をしている
「んでこっちが浴場。一応定員は10人を考えて作ってある
まあ、余裕もって作ったので20人くらいは入れるとは思うけどね
んで、まず、そのまま湯舟にダイブとかしたらいけない
まずはここで、体にお湯をかけて汚れを浮かす」
水道だのカランだのは理解できないであろうから、ここは丁寧に説明する
このレバーを下に倒すとそこの口からお湯がだばーって出る
レバーを上にあげると、上のこのホースがついたノズルからお湯が出る
まずは上にあげて、このホースの先にノズルがついてるのはシャワーって
言うんだけど、これで体とか髪とかをざーっと洗う
んで、入り口付近にあるこの洗面器ってのを入るときもってきて
この口の下においてレバーを下げてお湯をためとくと
で、洗面器と一緒に配置してあるこのタオルをお湯に浸して
カランがついてる台の上にある石鹸やシャンプーの使い方等を説明する
「まあ、簡単に説明したけど、あとは実際やってみて
脱衣所で全部脱いで入りなおしてきて。では行動開始」
5人は妙に興奮して脱衣所に走っていき
キャアキャア? いやギャアギャア?言いながら服を脱いでいるらしい
私も遅れて脱衣所に入ってぱっぱと服を脱ぐのだが・・・・
外套がかさばりすぎてロッカーにはいらない・・・仕方ないインベントリに収納
浴場の入り口で洗面器とタオルをとってから中に入り、積まれている木椅子を取る
それをもってカランの前に行き、シャワーにしてざーっと体に水をかける
「あ、最初は頭は水かけないで。タオルの予備入り口にあるから
髪アップにして、タオルで覆うようにまとめたほうがいいよ
湯舟に髪の毛浮いてると気持ち悪がる人もいるからね」
《レイラお嬢様、ガフ様、バルロイ様、チェニス様をお連れしました》
《有難う。こっちは女湯で彼女達に入浴の仕方を教えているので
アルベルト、悪いけど二人に入浴のマナーと施設の使い方教えてあげてね》
《畏まりました》
まさか男湯に乱入するわけにもいかないので、あちらはアルベルトに丸投げする
そしてしばらくすると男湯の方からものすごい怒声が聞こえてきた
「レイラてめぇ! なんだこの石像は!! ふざけんな!!!!」
もちろん無視して、朝風呂を楽しむ事にした




