AIと私の検討会議
予想外に話が簡単に終わってしまったので
重い荷物をもって全員できた割には、手持無沙汰になってしまった
そろそろ時間もいい時間なので、就寝解散ということにする
そういえばあの子達、自分の部屋とか見てないっていってたな
まあ、見て騒がなきゃいいけど・・・・
担架にレミリアを載せて建物に入っていく彼女達の後ろ姿を眺めながら
私は今からねても寝すぎだよな・・・どうしよう・・・とぼーっとする
帝国の攻撃か・・・読み通りならここを橋頭保にして裏口から王都へか
《グーデリアン、チェニスとの会話バルロイとの会話、聞いてたよね?》
《はい、モニターしておりました》
《プライベートもへったくれもない生活か・・・まあいいけど・・・
それで、水上からの上陸作戦、あると思う?》
《この周辺で揚陸に適した地形がこのアルムの村周辺しか存在しません
この湖はおそらく、大規模な火山活動で形成されたカルデラ湖では
ないかと推論します。地形的特徴がカルデラと一致する部分が多いです
ですので、なだらかに湖に傾斜している箇所が極端に少ないのが特徴です
アルムの村周辺以外で揚陸に適した地形となると
湖から北西にゆるやかに伸びる河川までほぼありません
この河川も水面と周辺地形との高低差が激しく揚陸に適した箇所が
王都周辺にしか存在しません。可能性は高いと思われます》
《陸路は? 東南から迂回して陸路で村を襲撃する可能性は?》
《この村から東に20キロ程の地点に、湖まで険しい岩山が突き出ています
これを走破してこちらに移動するのはトンネルでも掘らない限り不可能です
この岩山はかなり珍しい地形特性がありまして
まるでマダガスカル島の山のように、上部は剣山状になているため
大規模な行軍で尾根を越えることは難易度が高いですが可能ではあります
しかし、軍の維持に必要な物資をもって超えることはほぼ不可能です
また、かなり岩盤が固い地形ですので、この世界の技術レベルでは
トンネルを掘ることは不可能に近いと推論します
よって東南からの陸上ルートでの進行は不可能というのが結論です》
《つまり、水上ルート。そしてここは狙われる可能性がある、と》
なんでそんな戦略的要所が、男爵程度に与えられるんだろ
《まだ周辺の地形把握がそれほど進んでいないので推論になりますが
我々がいるこの場所は、大陸の中央付近ではないかと思われます
そしてこの周辺諸国は、外洋に面した土地を所有していないと考えます
また、国家間の大規模な交易がおこなわれておらず、湖を使った
大規模貿易や物資の輸送等も行われていないのではないかと推論しますと
船舶の必要性少なく、その技術的な発展が遅かったのではないかと考えます》
《でもさ、普通で考えたら、あんな要塞突破失敗して損害出すよりさ
船つくって、帆の技術でたとえば・・・縦帆だっけ? 風上に動けるやつ
あれの技術が手に入らないでも、オールでえっちらおっちら漕いででもさ
ここからじわじわ攻めあがるほうが楽でしょ?》
《それが今までは不可能だったのではないかと考えます
この地域にはドラゴンという謎の存在がいて、地域を制圧していた
という話ですので、その存在により水上で撃破される危険性が高い等の
害獣による脅威が高かったので行えなかったのではないでしょうか?》
《あー・・・なるほどね。いやまてよ、ドラゴンがいるならほかのもさ
たとえば、、、湖にもっとでかい何かがいる可能性もあるわけか
そう考えると、船で大規模兵力を渡すなんて自殺行為だ! ってなって
そもそも考えないという環境も発生し得たわけか》
《その可能性も否定できませんので、湖の調査も何れは必要になるかと》
《でもそれでもやるってことは、その湖の何かがそもそも居ないか
居たけど、無力化もしくは討伐に成功している可能性がありか
討伐に成功したなら、厄介だね。今まで倒せなかった巨大な敵を
倒すだけの力を手に入れたって事だよね》
《その強大な戦力をもつ何かが、寿命で死亡したという可能性もあります》
《なるほどね・・・考えれば考えるほど色々可能性は出てくるね・・・
今後は哨戒飛行ルートで湖上を今までよりは重要視しておいて
それと、アルベルトと余剰演算能力で相談してほしいんだけど
この世界の私が見た人間の服。特に女性用のデザインの共通性を選出して
あの子達の体形に合わせた、この世界で違和感がない服のデザイン
これををいくつか出しといて。必要となる素材もきっちりね》
《残念ながら服飾のセンスに関しては私は自信がありませんので
アルベルトにデザイン等を考えてもらって補助に回ります》
《そこは任せるのでうまい事やって
オリマー、ジール、タイゾウの状況は?》
《オリマーとジールについては負担が大きかったのでメンテナンス中です
タイゾウは以前から変わらずの、マイペースで延々と掘ってますね》
《まあ、タイゾウはそういう成長させたからねー・・・戦闘ダメだけど
もしさ、現状で水上からの強襲揚陸があったら防ぎきれる?》
《発見距離によりますが、自走榴弾砲で水上撃破は可能ですが
M982エクスカリバーの誘導砲弾ならある程度は可能ですが
レーザー目標指示器が現状では、人数分しか操作が出来ません
そのため、相手の数次第といった部分があります》
エクスカリバーは米軍によって開発された、155mm口径の精密誘導砲弾だ
エクスカリバーは元々、GPSを元に固定目標への精密誘導攻撃の為に開発され
その後、改良により、レーザー誘導による移動標的への攻撃と
ミリ波シーカーの搭載による移動目標への攻撃を行えるようになった
しかしミリ波シーカーは、相手が木造船なので効果が薄い可能性があること
水上では、シークラッターという、波によるレーダーの乱反射によって
目標を特定し難いという問題があるので運用が難しい
そもそもが地上攻撃用の砲弾なので、水上攻撃をさして想定していないのだ
そのため、レーザー照射によるレーザー反射を捕捉しての誘導となるが
レーザー照準器で目標を命中まで照射し続けなければならないため
この照準器は自動追尾等はしてくれないので、人数分しか同時誘導が出来ない
自動照射機能つきのUAVや航空機でもあればいいのだが、それらの運用を考えると
コストがとてつもなく高くつくので、あまり効率的ではない
《んー・・・数が分からないしなー・・・なんかいい手ないかな・・・》
《一つ・・・検討した結果陸上兵器で最適なものが・・・
ただ、運用データが存在しないのであくまで推論での話なのですが・・・》
《なに、81式地対艦ミサイルとか、シルクワームとかみたいな
陸上発射型の対艦ミサイルとか配備する?》
《いえ、自走対空砲を用います》
《・・・・・・・はあ??? 自走対空砲?? 40mmの機関砲で対応?》
《違います。艦艇用の76mmOTOメララのコンパクト砲塔を搭載した
オトマティック自走対空砲というものが存在します・・・》
《・・・・・・マジで??・・・護衛艦とかについてるアレを
自走対空砲にしたゲテモノがあるわけ!? 馬鹿なのそれ!?!?》
《現在の艦艇に装備されているOTOの76mm砲の基礎を作った
コンパクト省電力砲塔を搭載した自走対空砲です
対空射撃で有効射程6㎞、有効高度6000mの性能を誇ります
対地、対物射撃においては、弾道射撃を用いるなら射程16㎞
水平射撃を用いるのであれば射程4㎞の高性能なのですが・・・・》
《今のところ、性能的にすごいじゃんとしか言いようがないんだけど・・・》
《搭載シャシーに問題があります。あれだけの大型砲塔を搭載しているのに
車体はレオパルト1なのです・・・・
我が偉大なる祖国の傑作戦車であるレオパルと1は重量40トン弱です
しかしこの自走対空砲は、47トン弱の重量があります・・・
その車体で機動性を確保するために装甲については
榴弾の破片を防げればいい程度しかありません
最高速度は60〰65㎞程度。登攀可能勾配は60度です
また、砲弾の搭載数が少ないのです
発射システムに装弾可能な弾数は25発です
砲の発射速度が毎分80発ですので
これを撃ち切るのに19秒程度しかかかりません》
《すぐ弾切れになるね・・・・》
《撃ち切った場合、砲塔内45発 車体内30発の予備砲弾を
手動で給弾システムに装弾しなければなりませんが・・・
25発装填するのに訓練された兵士で7〰10分の時間を必要とします
またユニットの導入コストが非常に高価な上に、水の補給を必要とします
OTOの砲は水放出型の砲身冷却システムを採用していますので・・・》
《つまり、対空ミサイル数そろえたほうが、楽だし安いし、弾代安いだけで
主力戦車とやりあえる装甲もない、ミサイルより圧倒的な射程もない
短時間なら弾幕はれるけど、持続しないと、今の要求に合わないわけか》
《それと対空6㎞の射程が問題です
現在の対戦車ヘリコプターは物によっては
これを上回る射程のミサイルを装備します
対空機関砲や携SAMよりアウトレンジで敵を迎撃できますが
それなら自走対空ミサイル車両を配備すればいいのではとなり
全世界で採用した国は皆無の兵器となりました・・・・・・》
《採用皆無って、まさかのメーカー自主開発兵器なのこれ・・・・
けど、私達からすれば地上から射程16キロで対艦攻撃ができる
この性能は現状の私達の脅威に対しては有用なわけだ・・・》
《砲はOTOの艦艇用の物ですので、対艦用の弾薬はそのまま使えます
射撃システムが対空用に特化されていますが、艦艇用の砲とシステムが
互換性があるので射撃システムの書き換えはおそらく可能です
また、ドラゴンやグリフォン、ワイバーンといったバルロイ様の話に出てきた
大型の害獣に対して、対空砲弾と徹甲弾の使用で有用であると思われます
戦車の砲は相手が飛ぶと照準ができませんし、相手の移動速度に対して
砲塔旋回速度の上限を超え、追従が出来ない可能性があります
その点、このオトマティックであれば対応が可能ではと考えていました》
《てかそんな珍品、マイベースが完全に機能していないで要請できるの?》
《そこもこの兵器に注目した利点があるのです
この兵器は設計が古いので、最新兵器としては分類されていません
そのため、小規模ベースで開発施設や高度運用施設がなくても要請可能です
また、索敵用、照準用のレーダーと高額照準装置が搭載されていますので
運用のために専用のレーダー車両や指揮管制車両を必要としません》
《・・・とりあえず、3ユニット・・・運用AI兵こみで要請してみるか》
《了解しました! 直ちに支援要請を行います!》
《まった、夜が明けてからにして。戦車のエンジンは夜はね・・・
とりあえず作業してから寝るわ。おやすみ、グーデリアン》
《了解しました! おやすみなさい、マスター》
グーデリアンにおやすみのあいさつをして会話を終了すると
建物前を見渡して、空いているスペースを確認する
無駄に広く土地を借りただけあって、結構スペースが開いているので
このへんならいいかな? という場所を決めて、そこに目的の物を出す
でけーな・・・これ本当は数人で設営するもんなんだろな・・・
まあ、時間はあるし、皆が起きる前にやってしまおう
私はなるべく音を立てないように、作業に取り掛かった
オトマティック自走対空砲については、あまりデータが公表されていない為
各国のサイトで得られた情報を元に性能は平均化して設定しています