貨幣価値
無線の音声チャンネルをONにして、一応問いかけてみる
「バルロイ聞こえる? 聞こえたら返事して」
「ん? なんか用か?」
「あ、ヘッドセットつけててくれたのね
ちと移住について問題が発生したので、時間あるなら相談したい」
「まだ表で飲んでるから良いぞ」
「じゃあ、そっち行くわ」
全員、無線は聞ける状態なので今の会話は聞こえている
デ・・・レミリアが自力移動が難しそうなので
担架をインベントリから取り出して、レミリアをごろんと乗せる
4人に この重いの持って行って と指示すると
おもくない おもくないから おもくないですから と
レミリアが半泣きの抗議をしてきたが無視して運ぶ
このままバルロイのところまで運んだら、臍だの下着の一部だのが
見られちゃうわけか・・・と気付いたので
外套を脱いでエミリアに掛ける
あついよ・・・おもいよ・・・わたしはおもくないよ・・・
等と文句が増えたが、連続無視でそのまま運ぶ
バルロイは相変わらず、サンドキャットのボンネットを机替わりに
残していった日本酒をぐびぐびとやっていた
「バルロイ。3人、他所に移住しそうな感じなんだけどさ
私、この国のお金もってないからさ、移住に必要なお金渡せないのよ
あと、服もこの国の水準からするとおかしいのしか持ってないでしょ?
そこらへんどうしたらいいか相談したいんだけど、いいかな?」
「ああ、そういやそうだったな。あれだけ物だなんだ持ってるので
金がないとか忘れてたわ。あと服か・・・服は難題だな・・・」
「どういうこと?」
「この村は貧困って程じゃないが、豊ってわけでもない
服は各人が季節ごとのを2着も持っていればいいほうだ
春秋用で2 夏用が3 冬用が2 あとは作業用が2
これだけもってれば、贅沢な方なんで
分け与えられるものが直ぐにあるかどうかだな」
「布とか手に入る? 手に入るなら作っちゃうほうが良さそうな感じね」
「買うことはできるが金だよな。まあ、酒代として俺が払うか」
「今まで飲んだ分、鑑定してその額はらったらどうなる?」
「まず間違いなく、俺の手持ちは全部すっ飛ぶな
この酒鑑定してみたがな、あまりの値段に笑うしかねーわ
この酒一本で、一家4人が2か月暮らせる額だぞ、美味いわけだ」
この暮らせる額ってたぶん、この世界だと食費だよね価値感
携帯電話とかないし、保険とかないし、年金とかもないだろうから
えーと、たしか子供2人の4人家族で、1か月の食費が・・・
8万円くらいだったっけか平均が・・・
つまり16万として、8000円くらいだっけあの日本酒?
20倍か、希少性とこの世界では作れないって付加価値かね?
「そういえばさ、通貨ってどういうのがあるの?」
「ああ、それすら説明してなかったか。悪いな
まず大まかに、銅貨、銀貨、金貨、白王金貨ってのがある
銅貨は銅貨、大銅貨の2種類がある。銅貨10枚で大銅貨1枚だな
銀貨も同じで、銀貨、大銀貨の2種類だ。大銅貨10枚で銀貨1枚だ
金貨は少し変わる。大銀貨100枚で金貨になる。金貨10枚で王金貨になる
白王金貨はまずお目にかかることもないと思うが
王金貨10枚で、白王金貨1枚になる」
貨幣の種類こそわかったが、価値がわからん・・・
現実なら、世界的な炭酸飲料の価格か、ファーストフードの価格
これを目安に代替の換算が出来るんだが・・・・
あ、まてよ、さっき8万・・・いや、そうか、農業だ
この国だと作物の価格が違う・・・共通の指標がわからん・・・
とりあえず、いくつか質問してみて考察してみるか・・・
「パン一枚の価格は? エール一杯の価格は? ワイン一杯の価格は?」
「なんだ急に?? パンはそうだな、大銅貨1枚から2枚だな
エールはそうだな、大銅貨2枚から3枚だな
ワインは物によるが、大銅貨2枚から5枚ってとこだな」
大銅貨を100円ともう仮定してみよう。そう考えると
銅貨=10円 大銅貨=100円
銀貨=1000円 大銀貨=1万円
金貨=100万円 王金貨=1000万円
白王金貨=1億円
という感じなんだろうか? つまり最低価格が10円か
消費税がないから一桁単位のお金っていらないのかもしれないな確かに
「大体理解した、有難う
となると、3人分とあと色々かいたいから
王金貨数枚くらい欲しいわね。この前の金塊っていくらで売れる?」
「あの化け物みたいな金塊か・・・底値でも王金貨5枚だな
あれだけ純度が高くてまじりっけがない金なら
そうだな・・・俺がうまい事捌けば、王金貨7枚か8枚になるな」
現実だとたしか、10キロだと4000万〰5000万くらいか
大体お金の換算はあってるな・・・銅貨10円で正しいっぽい
「バルロイ、あれ何個か捌けない? 手数料とって良いから」
「さすがにあれだけの代物となると、捌くのに少し時間がかかるな
わかった、俺が買おう。その代わり少し安くしてもらうぞ
1個だけだな、俺が買えるのは。王金貨5枚でいいか?」
「そんなお金もってんの??」
「ほかの奴には言うなよ。全財産はたけば、6個は買えるな」
何!? バルロイの個人資産、3億円あるってこと!?
その年齢で個人資産3億って勝ち組じゃんか!?!?!?
「なんでそんなにお金もってんの????」
「冒険者時代の稼ぎだよ。各地に分散して使い切らないように貯めてる
あるとあるだけ使っちまうからな俺は。すぐ手が届く範囲に無ければ
使いたくても使えないってわけだ。ただ、村の事があるからな
一応、何かあったときに食料を買い付けできるくらいは手元に置いてる」
「なるほどね。バルロイっていい加減に見えてそういうとこ考えてるのね
じゃあ、1個買取お願いします。ついでにオマケつけるので」
「お、オマケ付きはいいな。何がついてくるんだ?」
「ほい、これつけてあげる」
インベントリから、金塊1個をまず取り出して、ボンネットの上に置く
さっきからハラペコガールズ・・・いま満腹ガールズか?
話の内容がおそらく、額が大きすぎて現実味がないのか
呆けたた顔で聞いてるんだか聞いてないんだか分からない状態だったが
目の前にごとんと金塊をだされたことで、一瞬で現実味が出たのか
ちょっと引き気味でボンネットの上の金塊をガン見している
次にS&W M649というステンレス製のリボルバー拳銃を取り出す
一緒に5個、クイックローダーという専用の再装填補助具を取り出し
弾を紙箱で取り出し25発の357マグナム弾を取り出して
クイックローダーに弾を込める。一つのローダーに5発が込められる
バルロイの上着の下に隠すのに良さそうなショルダーホルスターを取り出し
M649を収めて具合を確かめる。まあ、上着からの抜き打ちはきつそうだが
慣れてもらうほうがいいだろう。いいベルトがないのでこの世界は
ベルトホルスターはごとりと落とす可能性がありそうなので仕方がない
M649は少し変わった形をしていて、ハンマーと呼ばれる銃の後ろにある部品
これがフレームに挟まれて、先っぽの一部しか見えないようになっている
ハンマーは抜き撃ちをするときに服等にひっかかりやすい部品なので
隠して持ち運びながら、いざという時に抜いて撃ちやすい物を選んだ
オートチックにしなかったのは、整備の問題と信頼性の問題からだ
最近の銃はかなり改善されたとはいえ、オートマチックは作動不良
という問題がどうしても付きまとう。その点、リボルバーは
構造が単純で発射エネルギーのロスも多いが、信頼性は高い
銃に知識がなく、銃を扱える技術レベルではないこの世界でも
リボルバーであるならば、使い方さえ分れば問題なく使えるであろう
「おいなんだそりゃ・・・まさかレイラがいつもつかってるやつか?」
「それの違う形式の銃だね。これは回転式っていって弾が入る量が少ない
でもその分、信頼性が高い。あと整備も楽なので入門にはいいと思うよ
バルロイのシーカーって職業を考えて、脇の下に吊るして目立たない
小型のタイプを選んだ。でも弾丸はかなり強力なのを使うので反動はある
射程はそれほどないんだけどね、命中精度もそれほど高くはないけど
隠して持ち運びができて、咄嗟に引き抜いて撃つのに適した形状してて
小型で隠蔽しやすくて、一発のパンチは高いってのを選んだので
まあ、気に入ったら使ってやって。そこの紙箱の弾とローダーの弾
使い切ったら私かアルベルトに言って。補充分渡すから」
バルロイはステンレスが鈍く銀色の輝きを放つM649を見て生唾を飲み込む
おそるおそるといった感じで手を近づけていき、そっと持ち上げる
「大きさの割に重いんだな・・・何か恐ろしい気がするよ」
「まあ、武器の本質を知ってる人間だけあって、そういうのは分かるか
それは遠距離射撃には向かないけど、近距離なら弓と比較にならないよ
強力な弾丸を使うので、プレートメールでも正面から貫通するよ
ただ、熊とかはどうだろね? 全部頭に叩き込めばいけるかもって程度
射撃の練習は、レミリアとアエルが射撃練習するときに一緒にして
アルベルトも弾薬や備品を渡せるから、必要な時は私かアルベルトに言って
あと、わかってると思うけど、音が非常に五月蠅いので注意すること
そこらで適当に撃って練習とか絶対しないこと。これは徹底して
弾が跳ねて周囲に被害が出ることがあるので、遊び感覚では撃たないで
明日にでも、アルベルトに付き添ってもらって練習してみるといいよ
使い方だけなら、グーデリアンも教えられるから聞いてみるのもいいかも」
「ああ・・・大事に使わせてもらう・・・」
「はっきり言えば、信頼したから渡した
それを裏切らないでね。この世界の誰にでも武器を渡すつもりはないから」
「理解している。最初に俺のダガーを改造したときは、まあ、ありゃ運だ
だが、その後、一緒に行動するのに銃とよばれるこれらの道具だけは
渡さなかった。恐らくこれは、この世界にあっちゃいけない代物なんだろうな」
「あのダガーよりはショボいけどね。あれはたしかにおかしな性能になった
あ、使わないときはこういう風にして弾ぬいといてね。暴発って危険があるから」
「おっかねえぞおい!? 大丈夫なのか!?」
「高温に晒したり、直射日光に長時間晒したり、
あと強い衝撃を与えたり、静電気を与えなければ問題ないよ
専用の保管用の箱も今から出して渡すから、使わないときはそこに入れといて」
ハンドガン用のガンケースを取り出して、バルロイに渡す
「しばらくは、ショルダーホルスターに弾抜いて入れて、体に馴染ませるといいよ
自分の体の一部のようになるまで、兎に角持ち歩いて慣れることが第一
それからとにかく撃って、癖と反動を覚えて撃てるようにすることだね」
「ああ、今日からでもそうさせてもらう
底値で買った上にとんでもないオマケまでもらっちまって
なんか悪い事しちまったな・・・・・・」
「じゃあ、そう思うならそっちもオマケして
この前、あの洞窟から持って帰った物資の鑑定と
あと、ちょっと気になるので、ゴブリンどもが着ていた鎧
こいつらの鑑定を明日の昼にでもしてくれない?」
「ああ、そういえばそんなものもあったな!
それくらいでオマケになるなら喜んでやろう
ただ数が数だったよな・・・寝とかないとこりゃまずそうだ
チェニスのとこに顔だしてから、寝させてもらうよ」
「顔だしついでに朝まで飲まないように、おやすみ、バルロイ」
修正履歴
2019年9月27日
大銀貨=10000円 = 大銀貨=1万円 単位を漢字に修正