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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第一部 アルムの村編
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AIと私

 浅い眠りからすっと目が覚める

 就寝前にLEDランタンのスイッチは切ったので室内は薄暗い

 表示モードを暗視モードに切り替えて緑に塗りたくられた世界に変える

 ガフ君が点けた魔法の灯りと暖炉の灯りが予想以上に濃く映ったため

 表示モードをAI補正暗視イメージモードに切り替える

 室内は就寝前と変わらない状態を示していた

 足元でフガフガいっている村人Aは、軽く顎を蹴り上げて意識を刈り取る

 レイラはポッドに水を入れると、暖炉の火にかけて

 何をするとでもなくぼーっと暖炉の火を眺めた

 原色に近い補正がかかった揺れる炎は、アニメのような不思議な色合いだった


《マスター、おはようございます。少しお話があるのですが宜しいでしょうか?》

《あ、グーデリアンおはよう。何か緊急案件?》

《いえ、緊急性は全くありません。お話というよりお願いがあるのです》

《お願い? なんかゲーム時代だと絶対なかった反応だよねそれ。なになに?》


 レイラはゲーム時代と今のAIの反応の差に軽い衝撃を覚えながら

 好奇心が優先してグーデリアン君の話を聞くことにした


《私がAIとして生み出され、意識をもってかれこれ8年になります》

《あー、、そうだね、あんたとの付き合いはAIの中で一番長いね確かに》

《マスターと共に過ごしたこの8年は、私にとって掛け替えのない誇りです》

《なんだそりゃ、、、あんた自爆でもするから最後の挨拶でもしたいわけ?》

《いえいえ、これからもマスターの為にお役に立ちたいと思っております》

《なんか気持ち悪いな・・・・本題にいって本題に》


 ポッドが湯気を上げ始めたので、近づいて蓋をあけて様子をみる

 完全に沸騰まではしていないが、コーヒーはこれくらいの温度のほうが良い

 ポッドを火からおろし、洗わずに放置したカップに湯を少し入れて

 軽くカップをゆらして汚れを溶かしてから、暖炉の端に中身を捨てる


《現在、我々はCall to Stormの世界ではない異なる世界にいると考えます》

《それについては同意する。私もここは現実でもゲームの中でもないと思う》

《この環境の変化に伴い、AIとしての私も自分の存在が変化したと感じます》

《どういうこと? 進化して魂をもった電子知性体になったとかってこと?》

《魂をもったかどうかについてはわかりませんが・・・・・何と言いますか》

《なになに?? あんたが言いよどむとかほんと驚きなんだけど・・・・・》

《マスターをより身近に感じ、その温かさを感じられる気がするのです》

《はあああああああ?????》


 瓶からカップに直接そそいでいたインスタントコーヒーをこぼしかけながら

 レイラはグーデリアン君の発言について考えた

 私の存在をより近く感じる? 温かさを感じる?

 距離・・・温度・・・たぶんそういう物理的な事じゃないよねこれ?

 というか・・・確かに雑に扱ってるけど私はグーデリアン君が嫌いではない

 むしろ弄って遊んでお気に入りで使ってるところはある。本人に言わないけど

 あ・・・本人・・・そっか、、私AIのグーデリアン君を、人として扱ってる?


《私はAIとしての本来の機能に、何かしらの変化が起きた可能性があります》

《まあ、私も現実の肉体からゲームのアバターの肉体に完全に変化してるしね》

《そこでお願いがあります。私がマスターの望まない行動をしたら

 私を即座に破棄して下さい。私は以前とは違う私が予測出来ないのです

 万が一この変化でマスターを窮地に陥れる可能性があるかと思うと

 私は怖くて怖くて今直ぐ自己消去プログラムを起動させたい衝動に駆られます

 しかしマスターとずっと一緒に居たいという気持ちも強く、分からないのです》

《おま・・・・・何勝手なことほざいてるおい! お前は私を一人にするのか?》

《しかし・・・・》

「五月蠅い黙れ! 勝手に消える事は許さない! 絶対に許可しない!

 お前は私が死ぬまで私の支援AIであることを全うし続けろ!

 誰も知り合いもいない何処だかも分からない世界で私を独りぼっちにするな!

 これは絶対命令だ! お前は勝手に死ぬことも消える権利もない!分ったか!」


 レイラは本人も気づいていなかったが

 最後は意識通話ではなく声にだして大声で喋っていた

 大声で意識を取り戻した村人Aの顎を腹いせ交じりにまた蹴り上げ意識を奪い

 コーヒーカップに乱雑にお湯を注ぐと零す勢いでかき混ぜて

 熱さも確かめずに一気に飲み干し、姿が見えないグーデリアン君を睨むように

 暖炉の火を睨みながらこう続けた


「お前は私のAIでありお前は私が存在する限り支援し続ける事が最大の義務だ

 その義務を果たせ!私を助け続けろ!私と共にあり続けろ! 話は終わり!」

《分かりました・・・不愉快な発言をして申し訳ありませんでした》


 レイラは乱暴にカップをテーブルの上に放り投げると

 机に突っ伏して嗚咽を漏らした


「私、、どうなるのよこれから、、、ここって何処なのよ、、、、

 戻れるの? 戻れたとしても無断欠勤で会社は解雇なの???

 なんで私こんなことになってんのよ・・・誰か助けてよ・・・・」


 一頻り不安と愚痴を言うと、レイラはその姿勢のまま再び眠りに就いた


 



 

 

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