その名は村人A(違)
レイラの料理を食べて驚きの連続の中で
癒し系ワンコから絶叫バード系に進化した末に
墜落ドラゴン系から号泣系男子へと退化したガフ君
そのガフ君の歓喜の叫びと悲しみの嗚咽を聞きつけ駆け付けた
名前不明の村人A
村人Aはレイラがガフ君を泣かせたものと勘違いし既にお怒りモード!
レイラはこのピンチをどう殺・・・いや、切り抜けるのであろうか!
「お前、夕刻頃にガフと一緒に村にはいってきたよそ者だな!
畜生、あんときガフによそ者なんて放っておけって言っておけば!!
おいガフ! 大丈夫か! お前こいつに何されたんだ!」
村人Aはガフ君の元に走り寄ると私を突き飛ばしてガフ君の両肩をがっしり掴む
そしてガフ君の体をガタガタと激しく揺らしながら、問いかけを続ける
「ちが・・・バルロ・・さ・・ゲホゲホッ・・・なに・・れて・・ウェッ・・」
先程まで号泣していた上に、いきなりの乱入者で驚いたこともあるのだろう
ガフ君は軽い過呼吸状態に陥っていることと、いまだに嗚咽が止まらない為
まともに喋ることもできない。まあ知らないで見れば何かされたと思うわな
村人Aはガフ君とテーブルの上を見回した上で何かの結論を出したようだ
それはおそらく、ものすごい勘違いな結論だとは分かっているのだが
ガフ君が説明できるようになるまではその証明は出来ないだろう
私は最悪のケースを考えて意識を操作系に切り替えてAIを呼び出した
《グーデリアンいる? いるなら返事して!》
《イエス マイマスタァァァアッ! パンツァー フゥォォォォオッ!!!》
《この変態AIやっぱ生きてやがった! 初期化されてたら良かったのに!!》
サポートAIとして二次大戦のドイツ陸軍の将軍をモチーフにして作成した
グーデリアン君。何をどう育て間違えたのかはよくわからないのだけど
完全に高級変態系AIとして成長してしまった・・・どうしてこうなった・・
《あんたの初期化については後!! ライトアームブラストナックル起動》
《イエェェェッス! ブラストナッコォォオ! セッタァァァァップ!》
《想定目標、正面の仮称村人A スタンモードに必要な振動と衝撃演算して》
《了解でありますマイマスタァァァァァァアッ!》
グーデリアン君がセンサーを使って村人Aの体内スキャンを瞬時に終える
肉体の強度が数値で各所ごとにオーバーライド表示され
気絶するのに適した箇所が赤くハイライトされる
その部位にどれだけの衝撃を与えてどれだけの振動を与えると
対象が気絶するかという予想数値も赤くハイライトされた箇所に表示される
《ついでにレフトアームマルチサーフェースシールド待機状態に》
《マルチサーフェースシールドスタンバァァァァアイッッッツ!》
《話し方普通にしないとマジで初期化すっからね!》
《了解であります、マイマスター! 警告! 目標が戦闘機動を開始!》
《あ? え???》
次の瞬間、村人Aの猛烈なタックルを受けて吹き飛ばされる
吹き飛ばされながら受け身と姿勢制御のスキルを駆使して転倒を避ける
入り口側の壁付近まで吹き飛ばされたが、ダメージやケガはない
「お前がガフに毒を盛ったんだなあああああ! 絶対許さない!!!」
「毒!? あんた何いってんの?? 私は夕食を用意しただけだよ!」
「その夕食に毒を入れたからガフがこんな状態になってんだろ!!!」
「ちが、それはガフく・・・・・・」
ここで真実を言えばガフ君の名誉とプライドはどうなるんだろう?
私は女だから男の人の本当の気持ちは分からない
でも、いままで誰にも頼らず、一人で耐えてきたガフ君
それは知られたくない、見せたくない、見せてはいけない
まだ大人になりきれていないガフ君が、そう考えて耐えてきた事
それを私が今ここで話していいのか、、、いいわけがない、、、
ガフ君が回復して説明できるようになるまで、凌ぐしかない
「でもさ・・・私いきなりタックルされて頭きてんだよね
これに対しては反撃しても、正当防衛だよね・・・・・」
「ごちゃごちゃ何いってんだこの屑が! 殺してやる!」
村人Aは左腰に吊り下げた鞘からダガーナイフらしきものを引き抜く
「一度だけ警告する。武器を捨ててこちらの指示に従え
従わない場合は実力をもって無力化する」
「何いってんだお前こそ毒を捨ててこっちの命令に従うんだよ!」
「警告はした、勝手に後悔して」
私は戦闘モードに切り替えると、一瞬で相手との距離をつめて懐に入る
村人Aはダガーを構えようとしていた最中に一瞬で距離をつめられ
「え??」
という驚愕の表情でこちらをみて、慌ててダガーを突き刺そうとする
「それ、遅すぎだから」
ブラストナックルの目標を鳩尾に定める
グーデリアンが鳩尾にどれだけの衝撃を与えたら相手が気絶するか
即座にそれを計算して必要なエネルギーをブラストナックルにチャージ
私はただ 軽くあてる ことだけを考えて鳩尾を殴りつける
私の右拳が繰り出されて鳩尾に ぽんっ と軽くあたった瞬間
ドムッ という鈍い衝撃音がして村人Aの体が後退する
村人Aは白目をむいて口から泡をふいて、後ろに倒れるように崩れる
転倒時に頭でもうって死なれたら困るので、倒れる村人Aの服をつかみ
こちらに引き寄せて転倒を防ぎ、そのまま床にちょっと乱暴に放置する
「そりゃこっちの世界じゃ魔法とかあるみたいだけどさー・・・・・・
Call to Stormの世界で最高級パーツ組み合わせたフルボーグの私にさ
生身の兵隊でもない素人が粗悪なナイフで勝てるとおもってんの??」
返事をしない気絶した村人Aの体を見下ろしてそう言い放つと
呼吸が正常に行えず苦しんでいるガフ君の元にいって抱きしめる
ぽん、ぽんと、優しく背中を優しくたたいて落ち着かせる
しばらくするとガフ君は、呼吸が正常になり少しずつ回復していった
しかし、今日あった色々な精神的な衝撃や呼吸不全による疲労
また、村人Aと私の戦闘を目撃したことによるショック等を考えて
私はガフ君を寝室と思われる場所につれていって、寝かしつけた
それから食事をした部屋に戻ると、村人Aを縛り上げてから
冷めきった私の分の食事を一人でぼそぼそと食べ
食器と調理器具を洗ってかたずけてから
玄関のドアに内側からワイヤーで開閉を不能にし
暖炉にかけっぱなしだったポッドを取って中を確認すると
一人分にはなんとか足りそうな沸騰したお湯が残っていた
インベントリからカップとインスタントコーヒーを出して作ると
3口で飲み干して深いため息をつく。そのままカップを机に放置し
机についたベンチの様な椅子に身を横たえて浅い眠りに就いた




