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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第二部 ワグナーの脅威編
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アルムの村への帰還 2

「凄いぞ、空を本当に飛んでいる! これが失われし空を飛ぶ「違う」」


 興奮がMAXのチェニスの言葉をさえぎって否定する


「あの戦車と同じ時代にこのタイプの航空機は殆ど存在しない

 試験運用レベルで数機種が存在したけど、実用性がほぼなかった

 おそらく貴方達の国に過去にあった空飛ぶ船ってのは

 飛行船か固定翼機という別の種類の航空機。これじゃない」


「しかし現にこれは空を飛んでいるではないか!」


「空を飛ぶ方法は一つだけじゃないのよ。そのいくつかある形態の一つ

 鳥は羽ばたきと滑空で飛ぶ。でもこれは羽なんてないでしょ?

 まあ、上にあるローターを羽って言い表す事もあるけどさ

 理解しろといっても難しいだろうけど、これはその伝説の何かではない

 それだけは事実なのよ。なので王様に失われたなんとかがー とか

 変な報告して面倒に巻き込むのだけは止めといてね」


「ランバートン殿の言うことは難しすぎてよく分からないのだが

 エルスリード王国に過去にあった遺物とは違うというのだな?」


「そういうこと。あとね、あんまり騒いでると、すぐ後ろのみたいになるよ?」


 バルロイとザロス君を指差す。二人は既に顔が青い


「忘れてた・・・こいつのことを忘れてた・・・地下で飲み食いしたものが・・」


「女神様「死ね」デングリ様「うぃっ!」お助けください・・・きもちわるい」


 デングリ様のところでハリネズミ君が反応したが、ザロス君は気付きもしない


「彼らはどうしたというのだ?」「乗り物酔いよ。チェニスは大丈夫なの?」


「私はよく馬車に乗るし、中で書類や本を読むから比較的強い方だな」


「それは良かった。回転翼は振動が常に襲うので、慣れてないとあんなもんよ」


「しかし、レミリア嬢は何ともないではないか?」


「操縦してる人間が乗り物酔いしたらどうにもならないでしょうが」


「これはレミリア嬢が制御しているのか?」「そうでーす! 頑張ってます!」


「本当にレミリア嬢は凄いな・・・

 私を守ったときの動きも年齢からは想像もできなかった

 その上、このような驚くべき乗り物も動かせるのか・・・」


「ランバートン様の指揮下にいるからですけどね

 私がなんか努力とか勉強して自力で覚えたわけじゃないので、ズルっこですけどね」


「どういうことだ?」


「えーっと、なんていうか。ランバートン様の指揮下に入ると

 ランバートン様から支給される装備とか武器とかそういうのの使い方が

 頭の中に本を読んで勉強したみたいに、手にとったらすらすらーって入ってくるんです

 あと、どういう風にご飯つくればいいとか、どういう風に銃を撃てば良いとか

 なんとなーくこう、そういうのが入ってくるんです。なので自力じゃないんです」


「たぶんだけど、私の指揮下に入ると、私の部下として必要な情報が

 必要に応じて記憶に追加される仕組みがあるみたい。私もよく理解してないけどね

 本来の私の部下は、意志をもった人間じゃない。ゴーレムみたいな物なのよ」


「過去の女神様の使徒とは随分違うのだな

 記録にある歴史上の使徒様は2名いる。お名前については失われているが・・・

 その二人の使徒様に共通していたのは、人々の中から共に戦う戦士を指名して

 使徒の従者という加護を与えて共に戦い強くなっていったという事だ」


「過去の女神の使徒とやらは、何から世界を救ったの?」


「その二名に関してなら、1名は我が王国の建国に関わる

 魔の奔流と呼ばれる魔物の大発生に関わったと言われているのだが

 情けない事に王国の歴史の中で幾度か内乱もあったものでね

 記録の多くは失われていて、地域によって差異がある伝承しかない

 私が父上や神官どもから聞かされた話では、聖獣様と共に戦い

 魔を操った名を記す事すら忌まわしい男と相打ちされたという話だな」


「もう一人の使徒は?」


「こちらについては、わが国に降臨されたのではないので詳細が不明だ

 遥か北にある永遠の凍土と呼ばれる地に降臨されたそうだ

 我が王国とその地域の国々とは交流がなくてな、話が伝わってこない」


「そっちは情報なしか・・・そういえば、今回ワグナーと裏取引してた

 帝国ってのはどんな国なの?」


「ヴァンガード帝国・・・わが王国にとっては宿敵みたいな隣国だよ

 元々この辺りは、我々エルスリード王国が納めていたのだがね

 テリス湖の北方に、蛮族が納めている複数の地域があった

 今から800年程前に、その蛮族どもを纏めて国を築き上げた男がいた

 その男がヴァンガード帝国の初代皇帝、ヴァンガードその人だよ

 ヴァンガード帝国では皇帝の権力が絶対で、一族で統治されている

 中央に皇帝とその一族が納める地域があり、周辺に部族ごとの地域がある

 部族は世襲制で、皇帝への絶対的な忠誠の見返りに安全を保障される

 農作物は全て一度は皇帝に納められ、そこから部族に再配分されるらしい

 実際に皇帝領まで収穫物を運ぶわけではないらしいがね」


「なんでその方式で中央がそれだけ絶対的な力もつんだろ?

 普通に周辺の部族が結託して食べ物と武力で手組めば、反乱おこせそうじゃん?」


「皇帝の軍には、どんな鎧も貫き射程が長い弓がある

 その上、皇帝領にいる男達は全て戦士だ。皇帝領では農作は行わない

 圧倒的な軍備に圧倒的な装備で、歯向かえないらしい

 それと皇帝の一族に生まれた者は、魔法に秀でた者が多い上に

 ヴァンガード帝国では一定以上の魔法の素質がある者は中央に召喚される

 中央の軍にしか戦闘で魔法が使えるような存在がいないという事だ

 たとえそれが、部族の長子であっても、魔法が使えれば中央行きだ」


「鎧を貫き射程が長い弓?・・・・これか??」


 襲撃者がもっていたクロスボウを思い出し、インベントリから取り出す


「ああ、正にそれだ。それがヴァンガード帝国の機硬弓とよばれる物だ

 ランバートン殿は何処でそれを手に入れた?」


「何いってんの、チェニス襲おうと上から降ってきたの

 レミリアが倒したじゃない。あの3人がこれ持ってたんだよ」


「あの襲撃がワグナーの指示であったなら、言い逃れが出来ない証拠だな

 その機硬弓については私に預けてもらえないだろうか?」


「後で引き渡すけど。村の事片付いて、王都にまた行くときでいい?」


「私はランバートン殿の不思議な収納みたいな力は無いからな

 そのほうが私にも都合がいい。その方向で頼む」


「了解。ちょっとそろそろ仕事にかかるわ。レミリア、残りどんなもん?」


「アルムの村まで30km.を切りました。燃料問題ありませーん」


「アルベルト、あと30分程度でそちらに着く

 そちらの10km.圏内にはいったらまた通信するから、誘導宜しく

 それとゲストが一人増えてる。しばらく村に滞在することになる

 上の施設の部屋、一つ大急ぎで用意して。王族の方だからそのつもりで」


「畏まりました。オリマーとジールに部屋の方は準備させておきます」


「ランバートン殿、それとバルロイが言っていた酒「交信終了」」


 チェニスが恨めしそうにこちらを見てくるが完全スルーする

 レミリアの様子を確認するが、眠気と戦っている様子はない

 緊張した様子もなく、操縦を楽しんでいるのがよくわかる

 まだ二度目の上に、王族乗せて操縦楽しめるとは、どういう神経なんだか


「レミリア、着陸地点は前回と違って湖と山に近い

 現在の時間と気温から考えると

 太陽で熱せられた湖からの上昇気流が発生し始めるのと

 地形特有の霧が発生している可能性がある

 更に山岳からの吹き降ろしもまだ少しある時間で

 気流と視界が不安定な可能性があるので、結構ハードモードねこれ

 不安なら着陸はこちらでやるけど、どうする?」


「やります」「いい根性だ。ただし不安を感じたら操縦系はこちらで貰う」


 いつものお調子モードではなく、真剣モードになったっぽいな

 まあ、ちょっと脅したけど、4割くらいはありえる状況だからいいだろ


《グーデリアン、過保護にならない程度で必要なら助言してあげて》

《了解です。しかし、あまり必要ないと思います》

《どういうこと?》

《レミリア嬢の腕は結構なものです。帰途の乗り心地は如何でしたか?》

《言われてみれば、そこそこベテランのプレイヤーとさして変わらないわね》

《後ろのお二人も、行きの行程よりは状態が安定していますし、大丈夫かと》

《まったく末恐ろしい15歳ね。鍛え上げたら良い兵隊になりそうだわ》

《まったくです。実に楽しみです》

《この件が片付いたら除隊させるのが惜しいわ》

《除隊させるのですか!?》

《当然でしょ。ワグナーが正式に処罰されれば彼女達の人生に枷はないでしょ

 兵隊である理由がない。もっと自由に自分の人生を楽しんで貰いたいもの》

《確かにそうですが・・・そうですね・・・人とはそうあるべきです。残念です》

《生まれ持っての兵器であるあんたと、私みたいな生態兵器である元人間

 戦争を人生として扱うのはこういった存在だけでいいのよ》










修正履歴 

2019年9月15日


テリス南の北方に、蛮族が = テリス湖の北方に、蛮族が

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