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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第二部 ワグナーの脅威編
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聖獣

「さてと、それじゃあ聖獣ってのをとりあえず見てみますかね」


 祭壇に続く長い石造りの階段をひょいひょいと上がっていく

 特にトラップだのセンサーらしきものはないが、魔法ってのがわからない

 なのでランダム段数抜かしをして万が一に一応備える

 特に何事もなく階段の最上部に到達して

 12畳ほどの円形の空間に到着する

 祭壇の中央には円形の彫刻を施された石造りの台座があり

 その上に、一般家庭でよく見るサイズの

 冷蔵庫くらいの大きさの結晶が乗って青い耀きを放っている


「あれ、聴覚センサーになんか嫌な音がするな

 グーデリアン、これさ、高周波だしてない?」


「人間の可聴領域外の高周波が低レベルで発信されています」


「可聴領域外聴覚再現カットして

 センサーデータとしてのデータ収集そのまま」


「了解であります!」


 グーデリアン君の意見具申で、レミリア嬢にも少しでも状況を伝えて

 不安を払拭したほうがいいという意見があったので、基本的に

 音声通信でグーデリアン君とやりとりをすることにした


「てかさ、ハラペコ小隊との思考伝達通信のリンク、完全同期取れないの?」


「申し訳ありません、能力不足で・・・」


「いや、責めてるわけじゃないから

 余剰演算回す程度でいいから、検討は続けて」


「鋭意努力します・・・・」


 いや人間だって得意不得意あんだから、なんでも出来なくっていいんだって

 うちのAIは変態の癖に、ちょっとでも仕事できないと落ち込むんだよね・・・

 まあ、それほど落ち込んでないしいいかとほっとっことにして

 視覚モードを赤外線、紫外線に切り替えて青い結晶の中を見る

 光学ではよく理解できなかったが、どうやら結晶の中央に

 ダチョウの卵程の大きさのの卵のような形をした何かがあるようだ


「なんだろこれ・・・振動ならもっと正確に見える?」


「接触して短信調査をするなら、恐らくある程度の材質等も分かるかと」


「んじゃやってみるか」


 結晶の表面に右手を当てて、出力を抑えて長めのピンを打ち込む

 これなら結晶構造にヒビが入って割れることもないだろ


「警告! 結晶から共振を感知! 反復による共振の増幅も感知!」


「やばい、やらかしたか私!?」


 バックステップで祭壇の縁ぎりぎりまで下がってシールドを準備する

 結晶が中央から細かいヒビを発生させて、上の方からぼろぼろと崩れていく


「チェニス悪い、緊急! 聖獣の結晶に触れたら割れてきた

 何かそういう時のための伝承とか聞いてない???」


「結晶にヒビだと!・・・いやそれは・・まさか・・・」


「何、ちょっと割れてきてんの! 急いで!」


「女神様の使徒が聖獣様の聖棺に触れたのだから・・・・

 それはもしかすると、御目覚めになられた可能性がある・・・・」


「私はそんなもん認めてねーってのにこういうトラップもあんの!?」


 愚痴を言っている間にも、ヒビはどんどん広がっている

 全体の30%程はもうくずれて、ごろごろぼろぼろ零れ落ちてくる

 こりゃとんでもないヤバい物でも出てくるのかと不安を覚えていると

 結晶から眩い閃光が迸って辺りを白い世界に塗り替えた


「グーデリアン、光学カット! レーダー映像に切り替えろ!」


「切り替えます・・・だめです、視覚情報が取得できません!」


「全センサー使用自由 現状の情報をとにかく収集して!」


「全センサー反応なし! この光が全てを遮断しています!」


「それじゃあ今無線も駄目ってこと??」


「電波も全て放出されて直ぐにそこで消失しています!」


「パッシブで光そのものの情報から推論で何とかして!」


「パッシブの反応が膨大すぎて安全回路が働いています!」


「打つ手なしなの、マジで!?」


 確かさっきバックステップで祭壇の縁まで下がったはずだ

 ここから一歩でも後ろに下がれば落ちる。だから後ろには動けない

 というか、さっき向いてた方向のまま情報が奪われたならいいんだが

 この白い耀きが発生したとき、体を動かしたか記憶がない

 下手に動けば落ちる。そしてこの状態なら着地と受身は無理だ

 シールドが発生すればいいがしないだろう、機体強度的にはあの高さなら・・

 等と考えていると、こちらの不安を嘲笑うかのように

 白い耀きは一瞬で嘘のように収まり

 目の前に化け物がいるような事はなかった

 その代わり、目の前にあったのは

 パイナップル程の大きさの、不思議な果物のようなものだった


「・・・びっくりした・・・って、いったいなんなのさ・・・」


「現象としては確認しましたが、説明は不可能です・・・

 全センサー機能回復 無線も機能回復しました・・・・」


「んで、この、何これ・・・オレンジ色のとげとげがついた果物??

 これが聖獣なわけ?? 獣ってかフルーツだよね・・・

 これあれだよね、東南アジア地域にあるドリアンフルーツだよね?」


 近寄って持ち上げようと手をかけると むにゅり と


「うあ!? なにこれすっご柔らかい、ビーズクッションみたいな!?」


 一度手を離して、もう一度手を伸ばして、今度は両手で掴もうと近づくと

 ぴょん とそれが跳ねた


「何!? 跳ねた!? この果物跳んだよ!?」


 そのまま ぴょん ぴょん ぴょん と跳ねながら、ゆっくり回転してる

 そして30度程回転したところで、それが果物でないことがわかった

 なんか鼻がある! 長めの鼻が前に伸びてる!

 そのまま謎のむにゅりは回転を続けて、私に完全に正面を向けた

 そこにあったのは、なんといえばいいのやら・・・・

 ものすっごい、だらしないぼへーっとした顔をした

 口がでへーっとひらきっぱの

 どう見ても、アニメとかキャラクターグッズの可愛くした動物系の

 ものすっごい下膨れの2足歩行のハリネズミだった・・・・・


「うぃっ!」 「なんか声でた! てか手あげてる! てか手振ってる!」

「レイラ殿どうした! 何があった?? 兎に角落ち着け!」

「ランバートン様ご無事ですか?? どうされたんですか?? 落ち着いて!!」


 突然無線が切れた上に、回復したら私の錯乱した声が入っていた為だろう

 チェニスとレミリアが状況説明を求めてくるがそれどころではない

 下膨れハリネズミは、ぴょんぴょん跳ねて、こちらに向かってくる

 悪意や害意や敵意は一切感じないが、こんな生物いるわけないだろ? という

 元の世界の常識が、その存在を認識することを妨害していた

 ゴブリンだのドラゴンだのは、一応何かで見たことがあるので理解ができる

 ゲームであり映画でありアニメでありと、見たことがあるのだ

 だが、どう見ても、ぬいぐるみにしか見えないそれが、自力で動いていることが

 自分の頭の中で ??????!?!?!?!?!? と認識されるのだ

 混乱して身動きも出来ぬまま突っ立っていると、その下膨れハリネズミは

 ついに私の足元に到達してしまった・・・・・


「うぃうぃ~っ うぃ~」「え・・・何?」


 そのハリネズミは、針が生えてる背中とお腹の間にちょっとした窪みがあるのだが

 そこに手を突っ込むと、何やらごそごそやって、手を引き抜くと何かが握られていた


「うぃ~っ うぃうぃうぃ~っ」

 

 ハリネズミは私に右手に握った、どうみてもバナナらしきものを差し出す

 意味が理解できずに呆然としていると、一度手をひっこめて

 皮をむいて、食べるジェスチャーをしてきた。食べろってことか???

 もう一度差し出してきたので、恐る恐る手を伸ばして受け取る

 受け取った瞬間、私のサイズに合った大きさのバナナに一瞬にして変化した


「なんだこれ・・・なんでサイズがかわるんだこれ・・・・」


 とりあえず、ハリネズミが示した通りに皮を剥いてみる

 とても身がしっかりして、濃厚な香りがする美味しそうな実が現れる

 食べるのを躊躇していると、再びハリネズミが声を出して催促してくる


《グーデリアン、これ毒物とか未知の成分の反応は?》

《振動と赤外線と紫外線反射では・・・バナナですが・・・毒等もありません・・・》

《・・・たぶん、バナナ。されど・・バナナ?》

《あのような全エネルギー吸収現象を引き起こした個体の出した物ですので・・・》


 ハリネズミがなぜか、しょぼーんとした雰囲気で床を見ている

 気分を害したかけてるのかこれ・・・もうしゃーない、運試しだこりゃ

 もう人生でバナナ食うだけでこれだけ緊張したことないわ

 恐る恐る、自分でも手が震えるのが分かるくらい緊張しながら、ゆっくりと

 バナナを口に近づけて、先っぽをちょっとだけかじって咀嚼する

 ・・・・・・・・・・普通に、美味いというか・・・滅茶苦茶美味しいわねこれ

 いけるこれ、てかすっごい美味いわ。バナナそんな好きじゃないけどこれいけるわ

 恐怖心と警戒心を余所に、気がついたらバナナを全部食べてた

 ハリネズミはその光景をみて、目を耀かせてうんうん頷いて喜んでいる

 

「うん、かなり美味しかった。ハリネズミ君、ご馳走様でした」

 

 なんかどうしていいのかわからないので、ハリネズミに礼をいうと

 何故かほっぺたをぽりぽりして頬を赤く染めて照れたような仕草をしている

 なんだこのハリネズミ・・・とりあえずこちらの言語はあちらは理解できるのか?

 しっかしこのハリネズミのぬいぐるみみたいなのは、いったいなんなんだ????


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