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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第二部 ワグナーの脅威編
67/131

当てが外れて当たり引く

「ということで、データを元に推論をすると

 門の外にいるあの兵の隊列は、何らかの欺瞞装置か魔法による

 実在しない存在ではないかという結論に達したわけです・・・・」


 グーデリアン君と先程した会話の内容を簡単にまとめ

 PTDでデータを表示しながら皆に説明したところ

 全員が呆れたような表情で私の話を聞く事となった


「いや・・・なんていうか・・・突拍子も無い話なんだがな

 確かに映像みりゃ、どの方向からも前が見えるわ

 よく見りゃ足跡も土煙もないわ・・・レイラの言うとおりなんだよ」


「じゃあなんで、私はこんな、哀れむような目で見られてんだ?」


「ランバートン様をじゃないんですよ・・・これ考えた人って

 どんだけ神経質で入念な計画たてて、んでもって頑張っただろうけど

 この、前からしか見えないとか、足跡ないとか、土煙ないとか

 なんかこう・・・どっか抜けててしょっぼいなー・・・みたいな?」


「でもあんたら、それに疑問もたないで、どーしよどーしよ

 お城に避難、でもお城に既に敵がいるかも

 じゃあどっか安全な場所、教会か? 信頼できる貴族の屋敷か?

 んな話して、結局はこの情報なきゃ乗せられてたじゃん」


「うっ・・・それを言われると反論できないです・・・・」


「つまりランバートン殿は、この敵の目的は

 王国臣民を混乱に陥れて、城に殺到させることで

 城門と跳ね橋のを開放すること。と考えられているのですね?」


「んー・・・そこは正直、勘というか

 この都市の非常時の対処マニュアルみたいのを読んでいないので

 市民がそういうとき、どこにどう逃げるのかが読めないので

 あんまり自信もって言えないんだよね・・・・」


 なんて話をしていると、鐘の鳴る音がする

 それも慌しく鳴るその音は、数箇所から発生している


「門が開け放たれているぞ! 門の外に大量の兵隊がいるぞ!」

「敵兵が攻めてきてるぞ! 大変だ、王都が襲われるぞ!」


 ・・・・なんだあの すんごいわざとらしい 警告は?

 全員の顔が、なんか物凄く疲れた表情に見える


「まあ・・・今までのところ予想当たってるみたいね・・・

 何あの、小学生の演劇みたいな臨場感ない台詞は・・・・」


「まあ・・・なんだ・・そこまで訓練してなかったんだろ・・・」


 小学生の意味たぶん誰も理解できてないだろうけど

 もう突っ込む人すらいないよ・・・皆疲れてるなこれ・・・


「あのさ、バルロイ、ちょっと悪いんだけどさ・・・

 すんごいいろいろな意味で疲れちゃっててさ・・・

 あのわざとらしーの言ってるやつ、2~3人攫ってきてくれない?」


「ああ・・・任された。お前ら、[輝きのランプ亭]に行っててくれ」


「私はお城の門だの橋だの見える位置に待機してるわ

 どうせそこに殺到する集団の先頭にいるのが、今回の敵でしょ

 そこいくついでに、さっき倒した敵の死体の回収もしとくわ」


「そっちは頼んだ。それじゃあ後で・・・」

 

 バルロイがだるそうに立ち上がって走り出す


「レミリア、ザロス君。チェニスさんの護衛を頼む

 二人とも、他人がいるときはチェニスさんではなく

 チェイマンさんと言うのを徹底するように

 チェニスさん、デノスさんに言って、さっきの部屋を借りて

 中で静かにしていてください。それと、お酒はなしです」


「了解しました!」「お任せ下さい!」


「酒はなしか・・・わかった、こういう事態だし我慢しよう」


「レミリア、無力化しようなんて思わんでいいからね

 殺すつもりで撃っていい。無理に殺さないように撃たないでいい

 こういう時に欲をかくと迷いが出てトリガーが遅くなる

 なんかあった時は殺すつもりで撃て。いいわね?

 あとこれ渡すので、落ち着いたら二人に渡して使い方教えて」


 インベントリからヘッドセット2個とPTD2個を取り出して渡す


「分かりました! でもさっき、ちゃんとできたでしょ?」


「あれについては、私でも驚く働きだったよ。ほんと、あんたは凄いわ」


「もっと褒め「では行動開始」」


 私は偽装ネットを仕舞うと、上に飛び上がって手近な建物の屋根に上る

 えーと、お城があそこと・・・狙撃に最適なポイントはと・・・・

 ベタだけど教会の尖塔が使えるな。よしあそこにしよう

 狙撃ポイントを目視で確認すると、先程の戦闘地域に移動し

 死体をインベントリに回収しながら教会を目指す

 数分で教会の尖塔に最も近い建物に到達した

 近いといってもかなりの距離があるので

 屋根に上って助走をつけて思いっきりジャンプして空中に躍り出る

 空中で脚部に内臓されたブラストスラスターを作動させて加速する

 尖塔の鐘が釣ってある開放された空間への軌道をイメージして

 肩と腰にあるブラストスラスターで微調整して安定させ

 開放空間の四隅にある柱のような構造物に

 左腕をひっかけて勢いを殺してそのまま縁に足を下ろす

 城へと続く道、橋、門が見える面に移動して、そのまま腰を下ろす

 しっかしこの教会デカいな・・・まあ、王都にあるんだから

 なんちゃら教の総本山とかそういった類のものか?


《アルベルト、戦術リンクはモニターしてる?》

《はい、レイラお嬢様。ずっとモニターしておりますが

 中々大変な状況ですなそちらは》

《もうね、予定大狂いよ。んで、お願いがあるんだわ、機密で》

《機密ですか・・・伺います》

《レミリアのバースデーケーキを飛び切り美味しいの焼いといて

 他のハラペコどもと、ガフ君と村人にもバレないように

 それと、私も戻ったらアップルパイ焼いてあげたいからさ

 準備だけ進めといて欲しいんだわ》

《成る程、それは機密ですな確かに。畏まりました》

《あとさ、そっちに敵兵が来る前に戻れるか分からないからさ

 間に合わなかったら、ハラペコどもは最終防衛線に配置して

 悪いけど、アルベルトに敵の処理してもらってもいいかな?》

《もちろんで御座います。最高の御持て成しで黄泉へと御送り致します》

《ごめんね、なんかアルベルトばっかに仕事おしつけちゃって》

《それが執事としての私の喜びで御座います!

 どうかお気遣いなさらないで下さいレイラお嬢様》

《いざってときは、オリマーとジールとタイゾウ、彼らも使ってね》

《心得ております》


 アルベルトとの通信をきって、少し疲労を感じた

 ここきて何日目だっけ? 4日目かな? 

 そういえば私、この世界きて、一度もベッドで寝てないね・・・

 初日はガフ君の家の食堂の椅子だったでしょ・・・・

 洞窟でも自分とバルロイの分出したのに、結局寝てないでしょ・・・

 村戻ってからは外に出した折り畳み椅子で仮眠でしょ・・・

 フルボーグだから老廃物もナノサイバーで自己処理するからさ

 臭いとか汚いとかはないけどさ、やっぱお風呂入りたいよね・・・

 てか服はそろそろ洗いたいな・・・予備あるから着替えればいいけど

 これじゃあ社畜より過酷だな・・・はあ・・・ちょっと休みたい

 ・・・・ちょっとだけ寝よう。そうだ、寝れば少し楽に・・・


《マスター、一般家屋からではなく

 各所の倉庫と思われる場所から集まった集団が

 王城正面の主要道路に集結して移動を開始しています》


 ぐーでりあん君・・・仕事熱心でありがう・・・・


《脅威としてマークして。動きから訓練されたと思われる者も同じ処置で》

《了解しました》


「レイラいいか? 2人とっつかまえて尋問した

 金もらってこう言って走り回れと言われただけの使い捨てだ

 かなり脅したがそれ以上は知らんただの酒好きの市民だな」


「こっちは教会の鐘のとこで城の前見張ってるんだけどね

 各所にある倉庫から、五月雨式に人が出てきてさ

 それが跳ね橋がある城の前目指して集まってきてる感じ

 どうもそれなりの指揮命令系統があるらしくてさ

 ブロックごとに合流して自然な動きで集まってるように見える

 何かあったときに全滅を避ける為の集合行動パターンに似てる

 それと、市民もかなりが城に向かい始めてて

 それら市民に紛れ込むようにして5集団が移動してる状態 

 大体、1集団が15人で構成されてるね」


「計画的ってことだな。事前の仕込みありか・・・・

 レイラがゴブリンを潰したから、後がなくなって起こした行動

 とはちょっと思えなくなってきたな」


「そうなんだよ、そこなんだよそこ

 これは相当前から準備されてるはず。それに本来の計画のさ

 主力引きずり出して王都から兵力ない状態でやるなら

 かなり効果的だろうけどさ。兵力が直ぐに駆けつけるわ

 防壁の中にいるわって現状だと、最大で80人程度だとさ

 城の中に強襲かけたとしてもさ、王の下まで辿り着けないでしょ?

 てかそもそも、門が開いて敵がきてますよー じゃさ

 王様安全なとこ逃げて、守りかためんでしょ? 何が目的だろ?」


「完全に勘なんだがな

 あんな兵隊の幻影が歩いてくるように見せる魔法なんてのは

 長く冒険者をやってた俺でも知らん。かなり珍しい

 あれはたぶん、古代文明の魔道具か何かだと思う

 あいつらの目的は意外に、国ではなく物かもしれないな」


「王が襲われるかも、人あつまれ ってなったら

 宝物庫とか警備手薄になるの?」


「いや、そうはならんが、そこが襲撃されても

 増援を出せが鈍るかもしれない

 増援が出したら陛下の警備が手薄になるか

 場内の経路の警備が手薄になるので

 思い切って増援の投入を行う判断は鈍る可能性がある」 


「チェニスが実は黒幕で、王を狙うフリをして第一王子が目標で

 叛徒がこういう手段で侵入している間に既にいる手勢が暗殺を

 これならすっごいしっくり来るんだけど、その可能性はある?」


「ないな。あいつはぶっちゃけるとな、王族をやめたくてしょうがない

 平民の酒場で酒を飲むのが何より好きでな。あと興味があるのが

 町の開発とか街道の開発なんだよ。平民の暮らしを豊かにして

 経済を活性化させて暮らしを拡充させたいって変わりもんだ」


「んー・・・なんか見えてこないなー・・・ま、しょうがない

 その集団が跳ね橋渡ろうとしたら、狙撃して仕留めるわ」


「了解だ。なんかあったら呼んでくれ、俺はもうちっとうろつく」


「あ、じゃあついでにちょっと見てきて、気になることあんだわ」


「なんだ?」


「門が開いてるのに、衛兵なり王都駐留の兵隊なりが

 なんであの門の奪還にいかないのか? それがわからん

 有事の際にあの門の担当の部隊とか衛兵の居る場所見てきてくれない?」


「お話中申し訳ありません

 敵の行動パターンから目標地点の予測がつきました」


 グーデリアン君が音声通信で会話に割り込んでくる

 つまりこれは、バルロイとレミリアにも聞かせたいってことか?


「良くやった。報告して」


「敵の5つの集団はこの混乱を利用して

 市民に紛れながら一定の方向を目指しております

 5つの集団の移動方向の先にある重要な建物は一つだけ

 マスターが今おられる、教会です」



 




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