接触 3
「女神様の遣わされた使徒様だというのか!!」
「落ち着けチェニス。それと、レイラはそれを了承していない」
「どういうことだバルロイ!!」「だから落ち着け!」
「私は女神とやらに会った事もない。この世界に来る事を打診されたこともない
勝手に元の世界からこっちに送り込まれて、なんの説明も援助もなしだ
不当に拉致されて放り出されたら、普通怒るでしょ。そういうこと」
「しかし女神様が貴方をお認めに成られてだな「黙れ」」
「いい? 人攫いってこの国の法律でも犯罪者よね?
私は人攫いに攫われて、気がついたら見知らぬ外国に放り出されてた
こういう状況なのよ、貴方達に分かりやすいたとえで言うと
これ、発覚したら、犯罪として処罰されますか? されませんか?」
「そ・・それは、その状況なら確かに罪になる
しかしだ! 女神様は全ての法等超越する偉大な「黙れ」」
「あのね、私のいた世界の私の国ではね、神様はいっぱいいるの
八百万神っていってね、草木や食器にまで神がいるって言われてる国なの
でもね こんな理不尽をする女神なんてもんは、私達の国にはいないの!
私は、私のいた世界の神になら仕方ないから従うけどね
まったく私の日常にも生活にも世界にも貢献をしていない
この違う世界の女神なんて糞に権利を侵害される言われはねーんだよ!
ご理解して頂けましたでしょうか、チェニス・エルスリードさん?」
あれ・・・あれ? 反応がない
周囲を見渡すと、バルロイは顔を手でおさえて苦しげな表情をしている
ザロス君は椅子ごと必死に後ろに下がろうとしながら震えている
レミリアはベッドにこしかけたまま、目と口を大きく見開いて固まっている
そしてチェニスは、真っ青な顔でこちらをみて、首をがくがく上下に振っている
あ・・・また目赤いかもしかして? グーデリアン君にきいたらそうだったので
また機体管制を少し手伝ってもらって、目を普通の色にしてもらった
「レイラ・・・お前のお怒りモードはマジでやばいな
たぶん下の奴ら、何人か気絶してんぞこれ・・・・」
「ああ、うん、なんかごめん。ちょっとね、この事になると私も
自分で自分を抑えられないにじみ出る怒り? みたいのがあってさ」
「滲み出る怒りなんてもんじゃないぞ。襲い来る憤怒の激流だありゃ」
「いやー・・・そこまで酷くないでしょ?」
「まあ、それはいい・・・ってことなんだ、わかったかチェニス?」
「ああ・・・わかった。今はその件については止そう
思い出しただけで寒気が止まらなくなる・・・・」
「それでチェニスさん。現在のアルムの村が置かれている状況と
ワグナー伯爵の企みについてはご理解いただけましたか?」
「残念ながら理解せざるを得ない。それで、貴方はどうするつもりだ?」
PTDにニルン村近郊にて野営をする歩兵の赤外線映像を写す
「現在ニルン村に、アルムの村への侵攻を行うべく敵歩兵が野営をしています
先制奇襲攻撃を考えていましたが、一部作戦を訂正します
この歩兵集団がレイドック領に越境して即座に、殲滅しようと思います
その為、王都から公式な立場にある人間の派遣を要請します
越境の事実が認められた際に、それを確認して頂ける人物
それもその証言力が、一定の影響力をもつ人物の派遣を要請します」
「わかった・・・私が行こう」
「失礼ですが、貴方は恐らく、それなりに高い継承権をもつ王族では?
そのような方が安全ではない地域に出向かれるのは問題があるのでは?」
チェニスは床を見つめ、深い溜息の後に
「私が行かねば成らぬ理由がいくつも出来てしまったのだよ
まず、レイドック男爵の女神の加護の刻印を確認しなければならない」
成るほど、それもこの国にとっては大事ということか・・・・
「次に、貴殿が捕虜にしているワグナー伯爵の騎兵隊の責任者の確認
それとだ、貴殿がどう戦うか。そしてどのような結果になるか
これの確認をして陛下にお伝えせねばならない」
正直、戦闘についてこれ以上見られたくない部分はあるのだけど
まあ・・・どうせバレる。私の性格から考えて
必要なら出し惜しみはしない。何れ確実にバレるからいいか・・・
「その全てを行い、報告の信憑性に疑問がない人物となれば
第二王子である私以外の適任者は、第一王子か宰相しかおらん
私は王位継承権は放棄している。その代わり、国土開発権を拝命している
私は王位などに興味はない、兄のほうが政には適任だし国を豊かにしてくれる
兄が万が一死亡した際に国が荒れるのも好まん。それに兄には既に子供がいる
だから私が死んだとしても、王家にはさほどの損失はないのだよ。適任だろ?」
「確かに適任ですね。では直ぐにでも出発できますか?」
「すまないが少し待ってくれ、陛下と宰相に文を届けさせる
このまま私が死ねば城の誰も知らぬまま事が進む。それは不味いのだ」
そう言うと、チェニスは上着の内懐から紙とペンらしきものを取り出した
「すまないがバルロイ以外は少し遠慮してもらおう
下で好きに飲ってくれていい。支払いは気にしないでくれ」
「ではお言葉に甘えさせて頂きます。失礼します」
レミリアとザロス君をつれて部屋を出て、一階を目指す
「あのー・・・・ランバートン様。少しお話してもいいですか?」
「ん? 構わないけど、飲みながらじゃ駄目なの?」
「出来たら、ちょっとだけでいいので、二人きりで」
「ザロス君先いってて」「分かりました、席を確保しておきます」
ザロス君に先に下にいってもらって、階段を降りる足音がきえてから
「どうしたの? 二人きりで話したいって・・・ごめん、さっきのちびった?」
「違います、ちびりそうだったけどギリギリで耐えました!
あの・・・・ランバートン様、これが終わったら・・・
私を助けてくださいませんか?」
「ん?? なんか困ってるの??
体重が増えてるとか、胸囲が伸び悩んでるとか???」
「それも助けてもらえるならすっごい助けてもらいたいですけど!
いやいやいや、そうじゃないんです、そこじゃないんです!
あのですね・・・私、どうしても倒したい相手がいるんです
ランバートン様の御力をお貸し下さい。お願いします!」
「相手誰よ? どんな酷い事されたのよ?」
「・・・・・・・・悪女の嫉妬です・・・」
「ああ、なるほどね。それは私も考えてた
ただ倒すのにサンプルがいるから、それが手に入ってからになる
まあ、倒すというより、予防と治療法の確立だけどね
基地が完成したらラボで研究はさせるつもりだから、それでいい?」
「あ・・・へ?」
「えーと、これで伝わらないか・・・どう説明すればいいか・・・」
「いや、そうじゃなくって、え、ランバートン様も
悪女の嫉妬を倒そうとしてるんですか???」
「そりゃそうよ。ガフ君のお母さんと妹さんの話聞いて
ふざけんなんな伝染病如きであんなこと起きていいわけねーだろって
かなりぶちきれそうだったからねー・・・・・」
「ガフ様のお母様と妹さん? 悪女の嫉妬で亡くなられたんですか?」
「正式には違う。村の感染者を廃家に集めて周囲を薪で覆って
ガフ君のお父さんが火を放って次の段階に行く前に焼却処理した
そんな状況で火が回った家で、残された者の事を考えてさ
歌いながら死んでいった勇気ある人々の志は無駄にしたくない」
「・・・そんな・・・アルムの村ではそんなことが・・・・・」
「ゴブリンは来るわ、変態貴族がめんどくさいことするわで進んでないけど
この一連の面倒が片付いたら、まずは村の衛生を向上させる
排水と排泄物と生ゴミの処理経路の確保による病原菌の蔓延予防
清潔な水とその供給経路の確保による水質汚染とそれによる感染の防止
最後に、風呂と手洗いの習慣化による人の衛生改善
この3段階をとりあえずは考えている。これでかなり防げるはずよ」
「えーっと・・・ランバートン様って、違う世界から来たんですよね?」
「そうね。さっき言ったの聞いてたからもう隠さないでいいわね
ただ、他の皆には、まだ内緒よ? いいわね」
「はい。それは秘密にします。どれくらい前に来たんですかここに?」
「えーと、3日目? 4日目? まだ一週間たってないわよ
てか下いこ下。喉渇いたわ・・・飲みながら話そう」
「あ、はい。わかりました」
修正履歴
2019年9月26日
使途 を 使徒 に修正。 ご指摘有難う御座いますm(_ _)m




