只今ハラペコ小隊任務中
アルベルト様に率いられて、私達はアルムの村の村人の避難を誘導していた
ランバートン様の指示で、オリマーさんとジールさんが湖畔の方で作業を
していたのは知っていたけど、半日程度で立派な館が出来ていたのは
ランバートン様の力の一部を知っている私達でも驚いて夢かと思ってしまった
「呆けている暇はありませんぞ。館内に村の皆様を慌てさせずに誘導するのです」
「「「「「はい!!」」」」」
「高齢の方、病気の方、体が不自由な方、年齢が低い方、妊娠している方
こういった支援が必要な方をみつけて、お手伝いを率先してやりなさい
宜しいですね、皆さん?」
「「「「「はい、分かりました!」」」」」
アルベルト様の指示に従って、皆で相談して担当の場所を決めて動きだした
入り口は、サーラとパノンが受け持つことになった。ここで一度に人が入ると
入り口で人の流れが止まって転んだりして危ないと二人が意見を出した
だから慌てずに、でも迅速に人が入れるように、一定の制限をかけて
一度に人が殺到しないようにするべきだといった彼女達の意見は正しいと思う
「皆さん、落ち着いて前の人を押さないように中に入ってください!」
「荷物が多い方は、一旦入り口の横の空間に置いて中に入ってください!
荷物は私達が後から責任をもって運び入れます!」
入り口から中にはいると、真新しい綺麗な木目の床と石の壁が印象的な
派手ではないけどとても丁寧なつくりの室内が目に飛び込む
入り口からまっすぐ伸びた厨房になる予定の前までいくと
反対側に食料倉庫になる予定の大きな部屋がある
その食料倉庫になる予定の部屋の奥に、地下に続く階段がある
「通路と部屋の入り口は狭いですから、一列にならんで進んでください!」
「階段では特に気をつけてください! 転んだら大怪我をしますよ!」
入り口からの通路と、食料倉庫の階段付近はレミリアと私が担当した
大きな人の流れが、玄関で一度狭くなり
中にはいって廊下と食料倉庫の入り口でまた狭くなる
50人の人が食料倉庫にはいってからは、一列で進むことになる
当然、複数で並んで進んでいた外の時より列が進む速度が遅くなる
それで慌てて前の人を押したりぶつかったりして危ないと
アルベルトさんは丁寧に説明してくれた
だから私達が、それらを声に出して注意して
急がないと後ろの人に迷惑がかかるという緊張よりも
急ぐことでこんなに危ないし逆に迷惑もかけることがあるという事実を
皆に再認識させて怪我や事故を防ぐのですよと教えてくれた
階段を下りた先にある通路は広くなっていて、4人で並んでも歩ける幅がある
この通路はアエルが担当して、主に最後の気が抜けたときの注意を喚起していた
「奥の扉までゆっくり進んでください! 絶対に走らないでください!
そこの君! 走らない! 珍しい建築だからってはしゃいで走らない!」
地下の通路は、見たこともない材質で出来ていて
まばゆい光が天井から降り注いでいた
それに外と違って、寒くない。むしろ空気が暖かいくらいの温度だった
通路の奥にある扉の先には、大きな広間のような部屋があって
そこではオリマーさんとジールさんが一生懸命、家具を配置していた
見たこともない豪華なソファーやテーブルや絵画。それに鉢植え
壁についた見慣れない箱のような物からは音楽が聞こえてくる
「ミナサン、スキナセキニスワッテクダサーイ!」
「ノミモノモ、タベモノモ、タクサンアリマース!」
髭ブラザーズのオリマーとジールは、家具を配置しながら
カウンターの上に置かれた飲食物の山を指差し
室内に入ってきた村人が入り口で足を止めないように
席に誘導しては作業をするという、過酷な作業を繰り返した
「なあ・・・おらたち・・・天国にきたのけ?」
「あんたぁ・・・・こりゃ夢だべ・・」
あまり豪華にするなといわれて、オリマーとジールは
ペンション程度の家具で統一性をもたせて配置していたのだが
それでもこの世界においては、最上級家具に匹敵する出来栄えである
バイキング方式で並べられた料理を見た村人達は
山積みにされた皿を一枚とって、見たこともない料理を好奇心でよそい
席に戻って一口食べて、美味さのあまりに絶叫したり呆けたりした
その声に、何だ何だと早足で部屋に入っていた後続者達は
先人と同じ結果に至るのであった
「村人全員、57名の収容を確認しました
地上施設を閉鎖します。皆さん、地下に移動して下さい。駆け足!」
「まって下さいアルベルト様。まだ施設入り口におかれた荷物が
村の人の荷物を全部運びきれていません」
「それは私が行いますので、皆さんは先に入って待っていて下さい」
「「「「了解です!」」」」
地上配置だった、ユミア、レミリア、パノン、サーラは
全速力で地下入へと走ったはずだったのだが・・・
その横をすり抜けるように、山のような荷物を背負った
アルベルトが、足音も立てずに追い抜いて階段を下りていった
「・・・・アルベルト様って、すごいね・・・・・・」
「うん・・・・凄いっていうか、非常識だよね・・・」
アルベルトは村人がいる部屋の奥までいって荷物を戻すと
また足音も立てずに猛速で階段に至る通路まで戻る
「全員揃っていますね。では、地上施設を閉鎖しましょう」
アルベルトがパチンと指を鳴らすと
地上施設の玄関や部屋の入り口の床から
分厚い装甲シャッターがせり上がって閉鎖が始まる
「この装甲閉鎖板は、レイラ様の指揮下にある者しか開閉が出来ません
貴方達にも開閉する権限がありますが、指示されない限り
絶対に開けないように気をつけてくださいね」
「「「「「はい、わかりました!」」」」」
「ではこれより、村人の皆様が避難されている部屋の警備にあたります」
もう一度アルベルトが指を鳴らすと、床から装甲シャッターが上がってくる
装甲シャッターは1メートルほど上がると、そこで動きを止める
アルベルトは指で、ついてこいと示すと、シャッターを飛び越えて
村人が避難する部屋の扉の前で停まる
5人はその後を必死で追うが、アルベルトと自分の動きのあまりの違いに
自分達は本当に、ランバートン様のお役に立てるのか? と疑問を抱く
「貴方達は、ここで警戒防衛体制で待機してください
2人 2人 2人 の3チームで交代で警戒防衛にあたります
ユミア、レミリアのチーム パノン、サーラのチーム
アエル、私で交代で任務にあたります。よろしいですね?」
「「「「「了解です!!」」」」」
「では、パノン、サーラ、アエルは中にはいって、食事と休養を
きちんと仮眠もとって、任務交代に備えて下さい」
「「「はい!!」」」
「ユミア、レミリアの両名は、さっそく任務にあたってください
軽食を後でお持ちしますので、それまでは我慢ですぞ
食事の方は交代後に摂れるように、確保しておくのでご安心下さい」
「「はい!!」」
「ん?・・・・・皆様、申し訳ありませんが
レイラお嬢様から新しい任務が私に下されました
私はレイラお嬢様の元に参りますので、お任せして宜しいですかな?」
5人は不安げに顔を見合す。が、そこでレミリアが
「大丈夫です! 私達でここは絶対に守ります!
アルベルト様、ランバートン様の下へ早く行ってください!」
「わかりました。なるべく早く戻りますが、後は宜しくお願いしますぞ」
アルベルトはシャッターを開けて地上へと出て行った
アルベルトが視界から消えると、再びシャッターがせり上がる
「皆、頑張ろう! ランバート様もアルベルト様もお仕事してる
私達も自分の仕事きっちりやって、少しでも役に立たないとね!」
レミリアの言葉に、残りの4人が頷いて、各自は行動を開始した




