真実の欠片
「ザロス君、飲みが足りないよ君。ほら、もっとぐいっといけぐいっと!」
「そうだザロス。男ならもっとこう一気にジョッキを煽て飲み干せ!」
「は・・・はい・・・いただきます・・・・」
ザロス君のジョッキに並々とウィスキーを注ぐ
ザロス君は匂いを嗅いで顔を顰めた後で
一気に飲み干そうとして「ブゴァァァァァァッ!!」と噴出す
「ザロス君! それモルト12年物で高い酒なんだよ! 気合で飲め!」
「お前ふざけんなよ! こんな美味い酒のどこに文句があんだおい!」
「なんですこの酒精が強い酒は! こんなもの飲めるわけないでしょ!」
おっさんと私が、ジョッキに溢れんばかりに注がれた酒を
んごんごんぐんぐごきゅごきゅ ぶはあああ と一気に飲み干す
「出来んでしょうが!!」「できんだろてめぇ!!」
「貴方達が人間離れしてるだけです! 無理です!」
アルムの村の広場中央のステージのようなところで
私、おっさん、アルベルトの尋問で素直になったザロス君は飲んでいる
ステージを囲むように4メートルの鉄骨を2メートルほど地面に突き刺し
そこに捕虜を立たせて縛り付けている。これを19本建てて人間の盾にしている
指揮官、副指揮官はアルベルトが村人が避難する建物に連れて行って
本格的 な 薬物の使用 を伴う尋問を開始していた
足を撃ちぬいた演出小物Aだった騎兵は、メディパックSを使って回復させている
ザロス君は武装解除をした上で鎧も剥ぎ取り、インベントリからだした
オーストリア・ハンガリー帝国近衛下士官パレード用制服という
ヒストリアル制服シリーズガチャで大量にダブったはずれ服をあげて着せている
ザロス君を尋問した結果、足りていない情報の欠片が手に入ったのだが
バルロイのおっさんが、少し自分に質問させろと途中から言い出して
彼の個人的な不満や境遇について質問を繰り返した結果
こいつはワグナー伯爵に心酔もしてなければ、どちらかといえば不満がある
という結論を出した。真偽眼というスキルでおっさんは嘘が分かるのだ
それならいっそのこと、取り込んでおっさんの下っ端1にしたら?と提案し
じゃあ、圧倒低な技術力を見せ付けて畏怖させようという結論に達し
この世界では存在しない技術を体験させて畏怖させてしまえとなり
ついでに敵の本体が来るまで暇だし、なんかしよう? 飲むか?
蒸留酒ってこの世界ある? 何だそれ? 異世界テクノロジーをお見せしよう
というもうグダグダのノリになり、おっさんが以前噴出した酒の同種を出して
がんがん飲んでいるという流れである
現在、ザロス君に見せ付けられた畏怖すべき事実は
我々が驚異的なザルであるという事実と横暴であるという部分だけである
「それで、ザロス君。ワグナー伯爵は帝国と内通していて
国家転覆を狙っているというのは本当なのね?」
「伯爵は自分がもっとふさわしい地位にいるべきだと以前から仰られていた
そして帝国が伯爵に対して取引を持ちかけてそれを了承された
私は伯爵にお仕えする身だがそれ以前に国王陛下に忠誠を誓っている
だが、私は伯爵の騎士でもある。どうにも出来なかった・・・・・・・・」
「ヴァンガード帝国が絡んでるとはなぁ・・・
でもなんで、帝国は若い女5人を要求してきたんだ?」
ユミア、レミリア、サーラ、パノン、アエルは帝国が要求した
20歳未満の若い女を出せるだけ出せという要求の第一陣として
ワグナー伯爵から帝国に贈られた、支援への対価であるという
税の引き下げを餌にして、ニルン村に伯爵は女を供出させたらしい
その際に帝国からきた、フードをかぶった怪しげな男が同行し
薬で眠らされて並べたれた彼女達に、何らかの魔法をかけた上で
男の指示で彼ら騎士団が例の洞窟の前まで運んだとの事だ
「帝国との密約で、ワグナー伯爵が王国の支配を達成した暁には
王国と帝国の接続地域であるこのアルムの村は帝国に譲渡される
ワグナー伯爵は完全には帝国を信頼していないので
その際には、ニルン村を取り潰して城砦として再整備する
だからニルン村の税の引き下げなんて、意味がない約束だったんだ」
ちなみにこれらの会話は全て避難施設にも届いている
ステージの上に、軍用の双方向無線機を設置して、垂れ流している
どうせ何れ話すことになる。そして彼女達には知る権利がある
ただしこの事実をザロス君は知らない
そしてこの騎兵隊は、彼女達が助けられている事実も知らない
「俺は、ずっと後悔していた。命令だから仕方なかったとはいえ
俺が運んだうら若き彼女達が、あんな姿にされるのを見て
守るべき領民を他国に差し出した上に、その未来を刈り取った
俺は自分が騎士になったときに、領民を守ると誓ったはずなのに!」
「じゃあなんでこの任務に参加したの?」
「・・・・もし彼女達がいたら、俺は・・・
彼女達を逃がす事が出来ないかと考えていた
いるわけがないのに、そう考えていた
あの洞窟は崩落して跡形もなくなっていた
たぶん、中で行っていたおぞましい魔物を呼ぶ邪法が失敗したんだろ
ただ、伯爵は帝国の担当者が同時に姿を見せなくなったので
帝国との密約の証拠となるもの、それを知ったかも知れない者
帝国に贈った彼女達の身柄。これら全ての抹消を命じた
既に死んだ証拠か、それらが誰かに漏れない、知られない確証
何かが残っているならそれら全てを完全に破壊、処分すること
そういって俺達に出撃を命じた。伯爵は必死だ」
「ちなみに、アーミーゴブリンがいたのは知ってるの?」
「知っている。あいつらは帝国が用意した、王国転覆のための駒だ
あのフードを被った帝国の担当者とやらが用意した
まずはアーミーゴブリンが王都に向かう、それを伯爵が迎撃する
そして迎撃に失敗した事にして王都に救援を要請して
王国軍の主力を戦場に引きずり出して戦場を形成する
避難民に偽装した伯爵の手勢は王国軍後方に回りこんで展開し
アーミーゴブリンと王国軍主力が戦闘している背後を突く予定だった」
「戦術としてはそれ、結構よくできてるじゃない。65点
問題点。偽装兵は大した物資をもてない、食料どうするつもりだったの?」
「もう一人、賛同者がいる・・・・リンツ伯爵もこの計画に参加している
リンツ伯爵は過去の戦場でも、後方からの魔法支援が主体だった
そのため、王国軍の最後部に展開することがほぼ確定だ
魔法兵の継続使用には大量の物資がいる。魔素ポーションが
だからワグナー伯爵の迂回部隊の数日分の食料を用意しても
その大量の物資に紛れ込ませて、周囲には誤魔化せるはずだった」
「なんだと! リンツの糞野郎もか・・・こりゃ大事になるな」
「まあ、王国とか帝国とか私にはさっぱりわからないんだけどさ
話を聞いて情報を整理した上での感想として言うなら
王国の不穏分子と帝国の思惑の主要な駒はもう無くなった
じゃあ王国の不穏分子はこれからどうするのか?と考えると
また機会を狙うために大人しくなるか
バレたら終わりじゃ、ならば我らだけで国王を
このどっちかになるよねたぶん
まあ、まだ帝国が隠し種を持ってる可能性もあるけどね」
PiPi
《マイベースコアが設置されました。起動まで後360秒です》
《コマンダー、こちらホリイ。コアルームの建設が完了した
予想外に岩盤が固くて手間取った。遅くなって済まない
続けてリアクタールームの建設に掛かる。交信終了》
きたあああああああ! タイゾウ・ホリイよくやったあああああああ!




