Aランク冒険者 無駄飯ぐらいのバルロイ
翌朝、全員を起こしてユミアさんから残りの4人に現状を説明させる
最初は混乱し、怯え、悲しみに暮れていた4人も
ユミアさんが淡々と説明をし、慰め、励まし、叱咤し、抱きしめ
何とか落ち着いて話せる状態までもっていってくれた
ユミアさんだって辛いだろうに、村長の娘という立場で我慢してんなこれ
ガフ君といいユミアさんといい、この世界の少年少女は
村長の血縁になると苦労する運命になることが決まってるのだろうか?
「ランバートン様、皆話せるようになりました
宜しければあの子達を紹介しても宜しいでしょうか?」
完全に貴族と私を思い込んでいるユミアさんは、今朝からこの調子だ
というか、平民で貴族じゃないといっても、命の恩人だからといって
さっぱりこちらの言うことを聞かない
ただ、目上の人に従う、また無礼に当たらない態度をするということに
意識を集中して今の辛さを忘れるための逃避行動だというのも分かるので
無理に態度の改善を求めずにしばらくはこのままでいく事にした
「お願いします。説明終わったら皆をテーブルに集めて下さいな」
一番小柄で年下と思われる綺麗な金髪をした人がレミリアさん 14歳
少し赤毛かかったブラウンヘアーの発育がいい人がサーラさん 17歳
濃いダークブラウンの髪を後ろで一本に束ねた人がパノンさん 15歳
この国では珍しいという黒髪をお下げにしている人がアエルさん 14歳
一番年長で長い金髪を腰まで伸ばした村長の娘のユミアさん 18歳
ユミアさんとレミリアさんは、姉妹とのことだ
「各人の名前については理解しました。まずは食事にしましょう
しばらくまともな食事を摂っていないと思うので、胃に優しい物にしました
貴方達の郷土料理とは違うのでお口に合うかわかりませんが
今は少しでも体力をつけてもらう必要があるので、何とか食べて下さい」
テーブルの上に皿を出し、おかゆをよそっていく
まずはただの塩粥で、少しずつ具を出していく予定だ
いきなり味がきっちりしたのを出すとたぶんびっくりすると予想した
そしてまっさきにテーブルについて、きりっとした表情を浮かべ
はよう! といった雰囲気を丸出しでおっさんが私を見ていた
「お前が真っ先に食うモードにはいってどーすんだこのアホ!」
「・・・・オナカヘッタヨー・・・・ハヤクー・・・ゴハーン」
「私はお前の飯炊き女じゃねーぞこん畜生!」
「レイラサーン ボクオナカヘリマシタ ゴハンホシイデス」
「お前がガフ君の真似しても至極気持ち悪いだけだ止めんか!」
おっさんは私の怒声を無視して、スプーンを握って不動の体勢だ
せめて盛り付け手伝うとかしねーのかよ・・・・・
ただ、私とこのおっさんの馬鹿なやりとりの所為か
5人の緊張が少し解れた気がする
レミリアにいたっては少し笑っている
おっさんが意図してしたなら良い機転だが、確実にただ食いたいだけだ
「ユミアさん、悪い。そこの糞中年がまったく役に立たないので
盛り付けるから配膳頼むわ・・・・・」
「はい、お手伝いさせて頂きます」
全員に朝食が行き届いたので、最初はそのまま3口程食べて
おなかが痛いとかがないか様子を見て欲しいと言ってから食事を始める
ただの塩粥なので特に美味しいというものではないので
見たことがない異国の料理を試すように食べていく
匂いや味や食感は悪くないようで、食べられないという人はいなかった
「次これ。胃は大丈夫みたいなので、これで味とか風味かえられる
いくつか用意したので少しのせて一緒に食べて、好みのを使って頂戴」
おかか、塩昆布、崩した焼き鮭、大根の煮物、甘酢餡、いりゴマ、ザーサイ
これらを皿に盛ったものをテーブルの中央にならべていく
おっさんに 「手本見せろや」 と不機嫌にいうと
おっさんは待ってましたとばかりに、崩した焼き鮭をスプーンでがばっと取り
自分のおかゆにふりかけて、皿をかかえて猛烈な勢いで食べ始める
誰が一つの味にしてかきこめっていった! 少しずつ試す手本にならんこれ!
仕方ないので私が手本を示すことにする
「こういう風に、上にぽとんと落として
味が広がった部分を一緒に掬って食べるの
一度に沢山いれないで、ちょっとずついろんな具を試して
気に入る味をみつけて選べられのがおかゆの良い所なのよ」
塩昆布を落として一口食べて、次におかかを落として一口食べる
やり方がわかったところで、彼女達にやってみてと薦める
どうやら一回の食事で味を変えながら食べるというのが珍しいらしい
彼女達は色々な味を試しつつ、少しずつ会話をしながら食べ進める
おっさんは 「お替りだ」 と何故かドヤ顔で言ってきたが無視した
そしたらまた、ガフ君の声真似をしてお替りを要求してきたので
無言でM40-A1を抜くと脱兎の如く皿をもって自分でよそいにいった
「食事が終わったら、現状と今後についてお話があります
あと、その時に一つ提案をさせてもらって、もし皆さんがそれを承知するなら
ここを出て、アルムの村に向かうことになるので、結構歩きます
なのでまあ、了承されることを前提にここからは話しますが
村に日が暮れる前に到着したいので、動きが鈍くならない程度で
食べられるだけ食べて、体力をつけてください
お替りはまだいっぱいあるので、遠慮しないでいいからね」
「遠慮なんかせずに、食えるだけ頂きます!」
「無駄飯ぐらいの糞冒険者、てめーは遠慮しろ!」
いいかげん頭にきたのでスプーンを投げつける
おっさんは頭部にヒットして、ぐあああ といいながらも
おかゆのはいった皿を落とさずに、痛みを無視して食い続けた
その光景に5人の女性は自然にくすくすと笑い声をあげる
まあ、ムカツくし、このあと犠牲になってもらうのは決定だが
おっさんの食い意地が彼女達の気持ちを切り替えるのに役立ったのは事実だった




