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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第一部 アルムの村編
30/131

おっさんとラップ

 洞窟の入り口に近い空き部屋に移動すると

 大きな音を立てないように気をつけて3段ベッドを奥にずらす

 数台のベッドをずらしてスペースを確保すると

 手ごろな大きさのテーブルを取り出して光源を設置する

 カセットコンロやら調理器具やら鍋等やらを取り出し

 10人分を目安とした朝食の準備を始める

 

 鎮静剤の効果時間が切れる前に追加投与するつもりだが

 寝る前に何か食べたいと言われる可能性を考えて

 ついでに人数分の夜食の準備も進める


《インプラントAIのシステム再起動がもうすぐ完了します》


 やっとでグーデリアン君がお目覚めらしい。これで夜間の見張りが楽になる


《グーデリアンおはよう。どう、調子は?》


《・・・・・・オハヨウゴザイマスマスター・・・モウシワケアリマセンデシタ》


《なに?? 再起動時にコミュニケーション機能に障害でもでたの!?》


《違います・・・申し訳なさ過ぎて何と申し上げてよいのやら・・・・》


《まあしょうがないよね、私も素で反応返してフリーズ要因作ったし

 特に今回はグーデリアンだけの過失だと思ってないから、責める気ないよ》


《戦闘中だというのにAIとしての義務を果たせず、申し訳ありません》


《まあ、そこはいいんだけどさ、本当にグーデリアンいないと困るんだわ

 今後はこういうことないように、ちょっと加熱気味なとこ抑えてね》


《以後、このような事がないようにAIとし更なる成長を努力します・・・》


 酷く落ち込んでいるグーデリアン君を慰めながら、さてどうしたものかと考える


《じゃあ、申し訳ないと思うなら、とりあえず周辺のスキャン

 やっぱね、私じゃグーデリアン程きっちり周囲見れないんだわ》


《了解であります!》


 仕事あたえて褒めてテンション上げさせるしかないよねこれ

 被害者のケアして、AIのフォローして、異世界2日目でこれか

 私のフォローも誰かしてくれないものだろか・・・・・


《あ、そうそう。グーデリアン、私さ、魔法使ったらしいわ

 付近のスキャンは継続したまま聞いといてね》


《魔法ですか? いつのまにそのような能力を取得されたのですか?

 問題ありません。会話しながらの並列処理程度なら効率は落ちません》


《なんかね、発動条件ってのは心当たりあるんだわ

 英語で 準備良い? みたいなテンション上げ台詞言うじゃん

 あれをいったらなんか、複合強化魔法ってのが発動したんだってさ》


《ああ、それはもしかするとですが、マスターの指揮官補正もあるのでは?》


《でもね、隊は組んでないんだよ、小隊すら組んでないの》


《マスターの指揮官ランクは上限まで成長しているので

 同軍で下の階級者であり、マスターに敵意がない者に対しては

 自分が率いる隊以外にも効果があったはずですよ》


《じゃあ魔法って、戦術支援技能の事なのかね?》


《そもそも彼らが言う魔法がどんなものなのか理解していないので

 こればかりは彼らと我々の違いを比較して検証しない事には何とも》


《何れこれについては検証事項とする。魔法が使えるようになるなら

 この世界での私達の生存率が上がるからね

 

 それと、村に戻ったら急ぎでマイベースを設営する

 助けた女性達のメンタルケアが長期的に必要なんだけどさ

 やっぱり専門の医療スタッフと施設が必要だと思うんだよね

 結構急ぎで医療区画と医療ユニットを要請する必要があるんだよね》


《例の苗床とやらにされている可能性があった人間のことですか?》


《そっか、フリーズしてたから知らんか

 フリーズから再起動までの間の私の記憶を参照とか便利なこと出来るの?》


《可能です。許可さえ頂ければ記憶を拝見することは出来ます》


《こんな機能はCall to Stormじゃなかったはずだからさ

 私達そのものが変質してんのかねこれ。許可するから確認して》


《了解です、拝見させて頂きます》


 グーデリアン君が記憶の確認にはいって静かになったので

 朝食と夜食の準備を進めるために材料を取り出す

 匂いは人の意識を覚醒させる要因になりえる

 鎮静剤で眠っている彼女達を覚醒させる恐れがあるため

 匂いが少ない材料で料理をしていかなければならない

 また、どれだけまともな食事をしていたかも不明な為

 体は回復しているとはいえ胃を驚かせない物を考える

 

 バルロイのおっさんには悪いが、おかゆを朝食として選ぶ

 2日続けて朝食がおかゆとは、おっさんも不運だ

 無洗米と水と電子炊飯器とバッテリーを取り出して

 おかゆ炊きモードにして無洗米と水をいれてタイマー予約する

 今から8時間後の出来上がりでいいだろう

 あとは食パンとハムとバターとレタスをとりだし

 超手抜きのハムサンドをつくってラップで包んで小分けにする

 本来ならマヨネーズと粒マスタードも使いたいのだが

 どちらもそれなりに匂いが強いので、これで我慢してもらおう


 電子炊飯器とバッテリーを残してインベントリに回収し

 被害者の女性達が眠る部屋に戻る

 おっさんは入り口付近の壁にもたれかかったまま目を閉じていたが

 私が室内にはいると目を閉じたまま口を開いた


「特に問題はなかった。これといって報告することはないな」


「器用なことするわね。立ったまま半睡眠状態とか面白いわね」


「冒険者として過ごした時間が長かったんでね

 警戒しながらでも少しは休息を取る癖がついてんだよ」


「流石に、そういうとこはプロなのね。ほい、これ夜食」


 先ほど作ったハムサンドの包みを渡す

 

「パンになんかを挟んであるのか。さっそく食べさせてもらう」


 そしておっさんは、ラップごとハムサンドをたべて

 困ったような驚いたような表情を浮かべた

 予想外の行動に笑い転げそうになるが何とか堪えて

 おっさんの口からハムサンドをひっぱりだしラップを剥がす

 手がおっさんのよだれでベトベトになったので

 水を取り出して通路で洗う


「やばかった・・・もう少しで笑い転げて皆を起こすとこだった」


「なんだあの透明なのは、、、あんなので包まれてるとは思わなかった」


「あれは私の世界では当たり前の食品なんかを包む使い捨ての皮膜よ」


「そういうのは分からんから先に教えてくれ」


 おっさんは少し機嫌を害しながらハムサンドを口に運ぶ

 目を見開いてもぐもぐと味わって食べ始める

 水分摂取を控える発言をしていたが、水なしの食事は辛いと思い

 利尿作用が少ないなんの変哲もないミネラルウォーターを渡す


「本当にあんたの料理は不思議すぎて驚きの連続だな

 ふわふわのパンに、濃厚なバターかこれは?

 それに塩気が少なくてしょっぱくない美味いハム

 あと何か野菜らしいのは食べたことがないからわからんな」


「レタスって野菜よ。水分が多いのと繊維質が多い

 まあ、ハムとバターの油分をさっぱりさせるために入ってる」


「水のほうは普通だな。こっちは普通すぎて安心した」


「おっさんが叫ぶような水もあるから、そのうちあげるわ」


「それはあまり飲みたくないな・・・・・」


 おっさんのラップ食いのお陰で少し気分がましになり

 私も空腹を覚えていることを自覚した

 インベントリから自分の分を取り出してラップを剥がそうとしたところで

 部屋の奥からベッドの上で体を動かす微かな音が聞こえた

 そろそろ追加投与が必要な時間であることを思い出し

 物音がしたベッドの方へ歩いていく

 おっさんは部屋の入り口の壁に戻り、また壁にもたれて目をつぶる

 衝立の脇から区切られた空間に入ると、最初に処置をした被害者の女性が

 ベッドから足を下ろし、立ち上がろうとしていた

 あわてて駆け寄って声をかけようとしたが、先に口を開いたのは彼女だった


「あの・・・少し、お話を・・・皆に聞かれないようにしたい・・・」


 一瞬悩んだ後で、首を縦に振って了承の意思を示し

 残り4人の被害者に鎮静剤パックを追加使用して二人で部屋の入り口に移動する


「バルロイ、こちらの女性が少し話しがあるって。部屋変えよう」


「俺は居ないほうが良いんじゃないのか?」


「私はこの世界に詳しくない。あんたがいないと話が進まない可能性もある」


「それは確かにそうだな・・・わかった」

 



 

 



 






 



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