少年と私
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ガフと名乗った少年に案内されて歩くこと約20分
アルムの村と教えられた村に私達は到着した
ガフ少年の容姿から日本的な村ではないだろうと
予想はしていたが、正にファンタジーRPG等にある
通過地点の小さな村といった様相だった
それともう一つの予想、ガフ少年の服装から
文明レベルが低いと予想していたが
その当たってほしくない予想も当たってしまった
家屋から漏れる明かりの色は薄暗くちらつきがあり
電気を利用した明かりではない事が伺える
「アルムの村は小さいですが
皆仲が良くって良い村ですよ」
ガフ少年がニコニコしながら私に教えてくれたのだが
初見の私にとっては知らない人だらけで交流もなく
快適性の目安となる上下水道と電気も無いので
良いとは言えないだろうなと内心で思ってしまう
「ところでガフ君。この村で両替は出来るかしら?」
おそらく私はこの村で使える通貨を持っていない
今夜の宿を取るにしても支払える物がない
幸いにしてレアメタルや宝石類等は
クラフト系の資源として腐るほど持っているので
これら資源と村で使える通貨を交換して
宿代を確保しないと野宿する羽目になってしまう
「両替ですか? そういうのは領主様のいる町とか
王都みたいな大きい街でないと無いです・・・」
「それは困った・・・私たぶん、この村で使える
お金を持ってないと思うんだよね・・・
手持ちの何かを売ってお金にしないと
宿代も飲食代も無い状態なのよ
一応聞くけどこれらの紙幣とか通貨って
この村で使える?」
私はインベントリから 地球連邦$ US連合$
アジア連合¥ 中華連邦元等の紙幣と通貨を取り出し
ガフ少年に渡して確認をとる
「この薄いペラペラしたのがお金なんですか??
こんなの初めて見ました・・・
この綺麗な彫刻のあるコインもお金なんですか?
薄いのもコインも凄い綺麗ですこれ!
でも、こんなお金は見たことがないので
うちの村では使えないと思います・・・・」
ガフ少年は興奮半分、申し訳なさ半分のテンションで
これらが使えないと教えてくれた
ペラペラしたの・・・紙を理解していない??
紙がない文明レベルか・・・これは確実に不味い
シャワーとか風呂とか存在しない可能性がある
それ以前に衛生概念すらない可能性が非常に高い
そういえばガフ君、ちょっと汗臭さいかもしれない
「レイラさんが良かったらなんですけど
今晩は僕の家に泊まりませんか?
家は僕一人で住んでいるので部屋も空いてます!
あ、ベッドはちゃんとありますから大丈夫です
掃除も偶にしてるから大丈夫です!」
「え?? 一人???」
明らかに成人もしていないこの少年が
保護者や家族無しで一人で暮らしをしている?
確かにここの文化とか風習とか法律とか条令とか
そこらへんは、さっぱりまだ解らないけど
この子、ぱっとみ11~14歳くらいよね・・・
そんな子供が一人暮らし???
「えーと、あの・・・ご両親とかご兄弟とか
ご祖父母とかいらっしゃらないの??」
「母と妹は3年前に、流行り病で死にました
父は去年、村に盗賊の襲撃があって
村を守るために戦って死にました
お爺ちゃんとお祖母ちゃんは遠くにある
メルキスの町にいるって聞いたことはあるけど
一度も会ったことが無いのでよくわからないです」
・・・・やばい、地雷踏んだ・・・
なんか聞いちゃいけないことさらっと聞いた・・・
てか両親と妹をここ数年で亡くしたとか
悲劇の連鎖すぎて悲惨としか言いようがない・・・
なのに言った本人はそれ程暗い感じで言ってないのに
聞いた私の方がクリティカルヒットクラスのダメージ
気まずい、とんでもなく気まずい・・・
これどうしたらいいんだろ・・・・・
「だから誰かに迷惑かけるとかもないんで
良かったら家に来ませんか?」
ガフ少年、なかなかすごいぞ君は!
この気まずい空気ドン無視スルーで
何事も無かったかのようにそう続けるか!
この少年、きっと将来は大物になることだろう!
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかしら
お礼といっては何だけど、台所をお借りできるなら
今晩の食事は私が用意するから」
「大した食材はないんですけど、大丈夫ですか?」
「いえいえ、お世話になるのに食材は私が出すよ
お口に合うかわからないけど
私の手持ちで何か栄養あるもの作るわ」
「でも、荷物持ってないですよねレイラさん?」
あー、ガフ少年の疑問はもっともかもしれない
そうだよね、インベントリに収納されてるとか
彼らには無い機能なんだろなこれ・・・
ただこれではっきり確定した
ここはCall to Stormの世界じゃない
あの世界であるならポイントで購入したAI兵でも
小容量のインベントリを必ず持っている
なのでAI兵を倒して装備や物資を奪うことも出来た
最初はゲーム世界に取り込まれ
その中の未公開のアップデートの世界か
誰かが作ったMODの世界にでも取り込まれ
今はやりのゲーム内転生かと思った
でも違うっぽい。全く違う世界に飛ばされたみたい
「そこは大丈夫だから、心配しないで」
「分かりました! じゃあ行きましょう!」
「お世話になります」
何故か興奮してスキップで自宅へと私を案内する
ガフ君の後ろ姿を眺めながら
これから私どーなんの?と考えるのであった
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