交戦終了
山越え催涙グレネード弾による姿無き攻撃を受け混乱し
進路を誘導され背後から襲撃されたアーミーゴブリンの群れ
しかし直接射撃が開始されたことで攻撃者の位置が判明し
アーミーゴブリンの群れは隊列を組みなおしレイラに向かう
レイラはそろそろ残弾が心もとないマガジンを交換して
伏せ撃ち姿勢から身を起こし、膝撃ち姿勢で迎え撃つ
ダダダッ ダダダッ ダダダッ と連続した音が発せられる度に
アーミーゴブリンが一匹ずつ倒れていく
レイラは突撃してくるソルジャーゴブリンではなく
後方からレイラを攻撃しようとして射程が足りずに走り出した
弓をもつ個体と魔法を使いそうな格好をしている固体を優先で射撃した
「これで弓と魔法使いそうなのはおしまい
あとは硬そうな鎧着て剣とか斧とか槍とかもってるやつらか」
まだ残弾はあるのだが、念のためとおもってマガジンを交換する
既に200発近くを撃っているので
M27 IARの銃身は加熱されて赤みを帯び始めている
「ヘビーブルバレルでもさすがにそろそろ熱がやばいかな
まあ、駄目なら新しいなんか取り出すか」
数千発持続射撃しても問題ない改造済みの銃が本来のレイラの武器だ
必要であれば高コストだが、実弾でなく光学兵器も投入は可能だ
だが、この世界において最初に相対した、バルロイへの攻撃
無力化のために最低限の威力でブラストナックルを放ったのだが
その必要エネルギー0.8%という低数値が疑念をもたせた
《この世界だと、私の攻撃って、元の世界より威力が高い?》
この疑念について検証を行う時間的余裕がなかったため
レイラは無強化の死蔵品武器を選んで装備している
そのため、現実的な運用制限が発生している
「うわー・・・予想着弾範囲、かなり広がってるね
無強化武器だとこんなに熱で精度落ちるんだ」
距離によっては散布予想範囲外側ぎりぎりだと
ゴブリンを捉えられずにすり抜けていきそうな範囲まで
照準のクロスヘアの大きさは広がっている
まずは近いのからと、胴体の中央を狙って射撃を行う
「グアアアアアッ・・・オノレ・・オノレ・・・」
「マジで! あの鎧防いだよ5.56x45mm NATO弾を!?」
北大西洋条約機構において、共通弾薬として使用される
第二世代弾薬 5.56x45mm NATO弾
この弾薬は現実世界において
自由、資本主義陣営の多くの軍で正式弾薬として採用されている
非装甲の標的であれば十分な威力を発揮する
防弾チョッキ、標準的なボディーアーマーやプレートキャリア
軽装甲の一部車両等にも、ある程度の威力を発揮する弾薬である
いままで射撃を行った相手は、背面の鎧がない、もしくは薄いところ
または、鎧を着ていない相手でこれらには有効であったが
鎧をきたソルジャーゴブリンの正面には、効果が薄いことが確認された
「こりゃ、武器かえないとまずいな
薄そうなところ狙えばいいけど、熱で精度がもうあっぷあっぷだわ」
M27 IARをインベントリにしまいながら、後方にジャンプして距離をとる
数度のバックジャンプを繰り返して200メートル程の距離を確保すると
インベントリからMk48機関銃とIronMan弾薬供給パックを取り出す
Mk48の上面フィードカバーを跳ね上げIronManのフィードベルトを取り付け
IronManを背負うとMk48を持ち上げチャージングレバーを2度操作する
IronMan弾薬供給パックは、7.62x51mm NATO弾を500発給弾可能な
機関銃等のSAWの運用を支援する目的で開発された装備である
7.62x51mm NATO弾は5.56x45mm NATO弾よりも威力が高いものの
一発あたりの弾薬が重い為、携行できる弾薬数に問題がある
また容積も大きいため、1マガジンあたりの収納量も少なくなる
これらを解決するために、大型のバックパック形式で
弾薬を多量に収納して継続して供給可能なこの装備が開発された
ちなみに重量問題については解決どころか悪化している
現実においては米陸軍によって試験開発中で正式装備化されていないが
Call to Stormの世界では現実より少し未来なので正式配備されている
「結構速いなー・・・弾込めしてる間に100メートル切ってるわ」
ソルジャーゴブリンの突撃速度が予想より速かった事に少し驚きながら
Mk48機関銃を立ち上がって構える
Mk48は元々は1サイズ下の5.56x45mmを使う機関銃として開発された
M249機関銃の拡大再設計モデルである
5.56x45mmでは先のゴブリンのように、弾が通らない 効果的ではない
この現象は現実においても少なからず発生している
そのため、射程と威力に勝る7.62x51mm弾も併用して使われている
特に米軍では射程と威力を重視するため、M249では威力が足りないとして
拡大再設計モデルのMk48を採用してM249と共に併用運用している
「こっちで効かないなら強化した武器出すしかないから怖いなー」
狙いを定めるとトリガーを引く
先ほどとはちがって、射撃を途中で止めたりはしない
Mk48は射撃を継続して相手の陣地を制圧するような目的で使われる
そのため、連続射撃時の放熱効率も非常に効率的な設計が成されている
M27 IARの射撃音と違い、擬音にするとシュトトトトトトという感じの
鋭く重い射撃音が周囲に響き渡る
「ギャアアアアアッ」
「グエブシッ!」
「オレノウデガ ウデガ!」
「ハラガ ナカノモノガ タスケテ・・・」
先ほどとは違い、あっさりと鎧や盾を貫通されて倒れていくゴブリン達
連射により、放水で砂地に立てた棒を押し倒していくかのように
周囲で仲間がバタバタと倒れていく様をみて、ゴブリンは恐怖する
半数が倒れたところで、ゴブリン達はレイラに背を見せて逃げ出した
「馬鹿かね彼らは・・・最初の射撃は背中からしたでしょうに・・・
背を見せて逃げても撃たれると、先に事例があるから分かるでしょ普通」
装甲が薄い背面を見せてくれたことで、レイラにとっては楽になった
一応、一番装甲が厚そうな胸部は狙わないで射撃をしていたのだが
これでその必要が一切なくなった
圧倒的な連射に物を言わせて、気楽に照準して射撃を浴びせて倒していく
それから2分も経たずに、アーミーゴブリンの1個中隊はほぼ全滅した
数匹のソルジャーゴブリンをわざと見逃してレイラは歩き出す
催涙ガス弾を最初に打ち込んだエリアに近づき
催涙ガスの効果から回復しつつあるゴブリンの頭を打ち抜いていく
全てが終わったのは、最初のグレネード発射から14分弱後の事だった




