表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第一部 アルムの村編
18/131

村長と後継人

「こいつは性格は最悪だしすぐ手も出るし言葉遣いも女と思えないがな

 言ってることは間違ってない。俺も幾つかは同じ心配をしていた」

「よく言った、お前後で表出ろ。10日はベッドから出られなくしてやる」

 

 荒い息のままバルロイのおっさんが私をディスりながらそういった

 とりあえずこのおっさんは、後で足つぼマッサージ機に放り込もう


「この場所は元々、ドラゴンが水場にしていた地域だった

 そのお陰で土地は肥えているし周辺の魔物も少ない

 俺達はドラゴンを討伐してその素材を全て国に納めた

 ガフの父親のオルムは褒章としてこの土地を望んだ

 そして仲間と共に開拓したのがこのアルムの村だ

 ガフの母親であるミレイヌは、オルムと結婚が決まっていた

 だから村の開拓資金を褒章として望んだ

 精霊射手のゲイルは故郷の村の税率を下げる事を望んだ

 俺は冤罪で処刑された親父の事件の再調査と名誉回復を望んだ」


 バルロイのおっさんの説明で、いくつかの疑問が解けた

 なんでこんな、景観もいいわ、湖が近くて森もあって

 開拓と農耕に向いてそうな土地に小さな村しかないのか?

 これらの疑問が大体解消される。でも残る疑問もある

 ドラゴン討伐とかすごい恩賞で、爵位とやらももらえるのでは?


「質問なんだけど、ドラゴン?の討伐とやらで褒章をもらったと

 そういう場合は下っ端でも貴族を拝命されて土地を貰う

 そういう名誉とか栄誉ある褒章になるんじゃないの?」

「その通りだ。オルムは男爵を陛下から与えられた

 ただ、この国では貴族として認められるのは成人からになる

 だから未成年のガフはまだ、貴族としては名乗りは出来ない」


 あー・・・だから最初に名前を言ったときに

 「ぼ、僕はガフっていいます。苗字は・・ないです(省略)」

 少し言いよどんだのか。なるほどねー


「出発点がそういう背景だったのもあって、この村は猛者が多かった

 オルム ミレイヌ ゲイル そして俺の4人はAランクだ

 Bランク以下の奴もそれなりにいた。オルムはここを

 故障したり引退した冒険者の村にしたくて人を集めたんだ

 冒険者ってのはな、成功するのはほんの一握りだ

 大抵の奴は低ランクで死ぬか諦めるんだ

 そこを乗り越えても年食っても高ランクになれないやつは

 仕事が満足に出来なくなって、物乞いか犯罪者になる

 だからオルムは、ここを冒険者の第二の人生の里にしたかったのさ」


「だが、3年前に疫病で多くの女が死んだ。ミレイヌも死んだ

 ゲイルは故郷で大事があったので一昨年に村を出た」


 急に、バルロイのおっさんの雰囲気が変わった

 この雰囲気は感じた事がある。あの時はみんなこんな空気だった

 

「疫病で多くの女が死んで皆のやる気が落ちていた中で行商人がきた

 そいつらは格安で酒や嗜好品を提供してくれた。久々に村が賑わった

 でもな、そいつらは行商人に偽装した盗賊団だったんだよ

 酒がはいって、おそらく食事に薬も混ぜられていたんだろ

 オルムや村の者は必死に戦ったが、全力は出し切れなかった

 何とか盗賊の撃退には成功したが、ひどい死傷者の数だった」


 私は無言でインベントリからウィスキーの瓶とグラスを取り出す

 グラスにアイラモルトを半分くらい注いで、おっさんの前に置く

 ガフ君には酒は飲んでいいのかこの国の法律がよくわからないので

 インベントリからブドウジュースを取り出して、グラスに注いで渡す


「俺はその日、村にいなかった。冬に備えて干し肉を作ろうと思って

 山に狩に出ていたんだ。俺が村に戻ったのは襲撃から3日後だ

 俺が戻った時は、オルムも何人かの男達もまだ生きていた

 だが、盗賊の糞野郎共は、武器に毒をぬってやがった

 治療魔法を使えるミレイヌはもう居なかった。そして皆死んだ

 今、この村に残っているまともな戦力は俺と数人の男だけだ」


 淡々と説明を続けるバルロイのおっさんの口調は、感情が感じられない

 説明じゃない、これは懺悔だ。いや、悲鳴だ・・・自責の悲鳴だ


「戦士達の魂とその輝きと名誉に 乾杯」

 

 私はそう言うと、アイラモルトを一息に煽った

 ガフ君も私に習ってグラスを一息で煽った

 酒が強い方ではないが、どうもこの体だと問題はなさそうだ

 アルコールの影響は受けたのが分かるが、酔っ払うという気はしない

 バルロイのおっさんはグラスをみてから、私に習って煽る


「ブフーーッ!?」

 

 バルロイのおっさんは激しく咽て、盛大に酒を噴霧する

 咳き込み息を乱し、雰囲気を台無しにしながら立ち上がる


「ゲフッ・・ガハッ・・なんだこの恐ろしく酒精の強い酒は!?」

「それについては、暇なときにでも説明する。話を続けて欲しい」

「あ・・・すまん。そうだったな」

「ついでに注文。暗い雰囲気で続けるのは止めてね。嫌いなの」

「あ、ああ・・・・済まなかった」


 バルロイのおっさんは息を整えてから頭を下げると

 席に座りなおして話を続けた


「つまり、今の村には有事の際に、まともに戦える人間が少ない

 俺は普段は、狩をしながら周囲の警戒をするのであまり村に居ない

 あんたが村に居てくれて、ガフに助言を与えてくれるなら

 俺は安心して狩の範囲を広げて村の警戒線を押し上げられる

 それにだ・・・・・」

 

 かろうじてグラスの底に残っていたアイラモルトを試すように口に運び

 梅干でも食べたかのようなしかめっ面をしてから続ける


「俺一人じゃ何かあったときに守れない

 でもあんたなら、一人でも恐らく・・・帝国軍が来ても村を守れる

 頼む。アルムの村を・・・・いや、亡き親友の息子を支えて守ってくれ」

「あら、それ元からするつもりよ。ただまあ、そのための条件

 雇ったことにしてほしい、金はそっちで管理して村の為に使って欲しい

 かなりの面積の土地の権利を資源交換で譲って欲しい

 これに同意してもらえるなら、全く問題ないわよ」


「雇用と給金については問題ないな

 問題は土地だ。売る事が出来ない。貸与することは出来る」

「それはどうして?」

「この国で土地を与える権限をもっているのは、国王陛下だけだ

 ガフは国王陛下の土地を、御預かりして管理している立場だ

 ガフの権限で、陛下から御預かりしている土地を貸すことは

 これは許されている。だから貸与しか出来ない」

 

 なるほど、この国の土地はあくまで王家が全てを所有し

 何かしらの貢献を上げた人物に貸し与えるわけか

 貴族はたぶん、王国創設期に貢献した一族の末裔か


「じゃあ、私が村にいる間の貸与契約でいいわよ」

「それなら問題ない。大きさはどの程度必要なんだ?」

「村の東側にある湖に面した崖。そこから東に3キロ

 南の山岳側に5キロ このエリアを私の土地として売って欲しい」

「村の総面積よりでかいぞそれ! どうやって開墾するんだ??

 畑の手入れや伐採、漁業に村の整備。その他の作業にも人手はいる

 これだけ広大な土地の開墾に多くの村人は割けないぞ?」

「開墾については勝手にやるから大丈夫。あと地上はそれほど使わない

 使うのはもっぱら地下なので、上は畑と牧場にでもするわ」


 どうせマイベース設営キットの地形改善モジュールで弄れると思うし

 それでも駄目なら、工兵と工作車両を呼んで作業させるし

 それでも困難なら、私が対装甲刀で木とか岩とかなぎ払えば良いしね


「まあ、あんたなら・・・たしかに一人で城を作るとかしそうだな

 分かった。村長の後継人としてはあんたの提案に賛成する

 ガフ、村長としての決断を示してくれ。お前の素直な考えでいい」

「僕もレイラさんの提案に賛成します。ただ、土地の代価については

 正直に、僕ではよくわかりません。そこはバルロイさんにお願いします」

「さっきの金塊一つでどう?」

「貰いすぎだ!」

「じゃあ、なんにするの?」

「ダガーの鞘の製造費と交換でどうだ?。鞘の費用については明言していない」

「あ、これは一本とられた。そこは穴になりえる箇所ね。よし、その提案乗った」

 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ