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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第三部 見えぬ脅威編
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王家との夕食 1

 何とか夕食の御呼びがかかる前に、人員の身支度を終える事が出来

 陛下と宰相に約束した酒の受け渡しも終わったので

 急にやることがなくなって暇になってしまったのと

 このままこの部屋で待っていていいのだろうか? と手順が分からないので

 ダルカスに確認を取ろうとして、あることに気が付いた


「あのさ、ダルカス。ってかもう宰相閣下って御呼びしたほうがいいのかな?

 その恰好でいくの? それあんまりフォーマルな恰好ではないけどいいの?」


「あ、ダルカス結構気に入ったので、そのままでお願いします

 それですな・・・もちろん私はこの恰好のままで行きますぞ!

 陛下にこのカッコいい服と、念願の髪を自慢してやねばならぬのです!」


「・・・動機がまったくもって理解し難い上に

 それ礼儀的にどうなの?と甚だ疑問が出る状態なんだけどいいの?


「先程、女中にワインを渡す時に確認しましたので大丈夫です

 昼と同じで非公式な形での、陛下の個人的な客人として席を設ける

 そう仰られていたそうですが、第一王妃であられるフィレイア様

 それと、フリーデン様とチェニス様も御同席なさるそうです」


「・・・めんどくさそーなんだけど・・・王族ファミリー勢ぞろい?」


「まあ、陛下の個人的な友人を招いた席という形になっておりますし

 フィレイア様はあまり礼儀や格式に五月蠅い方では御座いませんので」


「それならよかった。第一王子のフリーデン様ってのはどういう人?」


 ダルカスは少し考えこむようにして、言葉を選びながら


「フリーデン様は普段は温厚な方で、民にも人気がある方なのですが

 武器をもたれると性格が変わるとでも申しますか・・・まあ、血ですな

 陛下や私と同じで、脳筋なところがあるのが悩みの種ですな」


 ダルカスは自分が脳筋って自覚はあったのか

 でもその中で、王様を止める役割をしてきて

 冷静に判断する術も手に入れたって感じなのかな?


「腕試しで戦わせろとか言われても、私は戦う理由が無いから断るからね?」


「個人的には一回徹底的に負けて考えを改める機会が欲しいとは思いますが

 ランバートン殿にそれを頼むわけにはいかないので、それで宜しいかと・・・」


「今後もそういうこと考える奴とか出てくる可能性あるのか・・・

 ザロス君を鍛え上げて代わりに戦ってもらおうか?」


「自分はそこまで強いという腕ではありませんよ?」


「そこは訓練して自分の能力を引き上げる努力はしてもらわないとね

 まあ、バルロイ先生がいるから、大丈夫じゃない? キツイとは思うけど」


「俺もあまり剣術は得意じゃないぞ。ただまあ、できないことはないが・・・」


「それでしたら、近衛から指導役を一人派遣しましょうか?

 真面目に話をさせていただければ、アルムの村には連絡と政治的判断を行える

 王国側からの担当官を派遣したいのです。監視や干渉という意味ではなく

 女神様の加護を受けたガフ・レイドック卿とランバートン殿。その上、聖獣様

 もあの村におられるわけですから、王国にとってアルムの村は重要な地域に

 なってしまったのですよ。ですので、担当官を派遣しておきたいのですが

 ついでと言っては何ですが、剣術の指南役たりえる人物をそれに充てようかと」


「干渉や監視ではないという言葉が真実なら、それは有難い申し出だけど

 まあ、何にせよそれについては、ガフ君が了承しないと私は何ともだね

 バルロイが領主代行として決定権があるなら、バルロイが決めてもいいと思う」


「あくまで俺は補佐だ。戻ってガフと相談してそこは決めさせてもらう」


「そこらへんは任せるって。私はただの防衛担当だから」


「どこの世界に道路作るだ物流独占しようとする防衛担当がいるんだ?」


「そこは村の発展の為と、例の研究のための資金と人員の確保のためもある

 将来的にそれらが充実すれば、アルムの村はエルスリード王国第二の巨大都市も

 夢じゃないんだよ? そうすればさ、大量の雇用も確保できるから、オルムさんが

 目指した引退や挫折した冒険者が再起を図る場所により近づけるんじゃない?」


 私の言葉にバルロイは、静かに溜息を吐くと少し寂し気な表情になってから


「俺達がそれをどうやって実現していくかなんてまだ考えているだけなのに

 レイラはそれをどうやって実現するかの計画が出来上がってるのか

 有難い事ではあるが、自分の無能さを痛感させられるよまったく・・・」


「誰が達成したかなんて大したことじゃないと思うけどね

 その結果に対して喜ぶ人がいて幸せになる人がいるという事実があれば

 それでいいんじゃないのかなって私は思うんだけどね

 別に私は名誉だのは欲しくないので、他の人が達成したことにしてもいい

 ただ権利はあげないよ? お金は人を狂わせるから、こっちで管理するよ」


「そこは任せる。俺はあればあるだけ使うからな・・・

 最もここ最近は金を使わないでいい生活になっちまったがな

 一番の楽しみの酒が、金で買えないでもらうしか方法がない状態だからな」


「じゃあその分働いて。働き悪かったらぴたりと出すの止めるからね」


「わかった、真面目に働く! だからそれだけは勘弁してくれ・・・」


 結局いつものように、バルロイとふざけあって会話が終わる事になる

 なんだかんだいっても、私はこの中年に結構世話になってるんだな

 バルロイが居なかったら、たぶん精神的な安定ははとれてなかっただろうな

 本人がそこを自覚して行動してるとは思えないけど、感謝はしてる

 ただ欲を言えば、自分の立場と権力にはもう少し気を使ってもらいたいかな

 いずれは大貴族の一人として復帰するんだろうから、身だしなみとかも考えて

 もう少しそれらしい振舞いとかも意識してもらわないと今後は困りそうだ

 

 なんて偉そうに考えている私も、今後については考えないと不味いな

 ある程度、相手に畏怖を与えて利用を避ける感じで行動してきたけど

 あまり上手く行っていない気がする・・・というか食べ物があかんか?

 どうもこの世界の人間は、私の世界の食べ物に異常な執着を見せる傾向がある

 確かにこの世界の料理は調味料の問題というより、和食でいう出汁が無いので

 素材の味を生かした素朴ながらも野性味ある味わいとでもいう料理が多い

 おそらくこの文明レベルだと、美食より空腹を満たすことが第一だし

 冷蔵庫や火加減の調節が可能な調理器等が無い分、調理の幅が少ないのかな

 そんなことを考えてまた長考モードに入っている間に連絡があったらしい

 レミリアが私の腰をつんつんしてきたので振り返ると


「ランバートン様、また考え事ですか? 

 ランバートン様って何か考えると周り見えなくなりますよね

 夕食の準備が出来たって連絡きたので、ご飯食べに行きませんか?

 私とアエル以外はもう行っちゃいましたよ。考え事邪魔しちゃ悪いって」


「ごめん、ちょっと色々考える事多くてまったく聞こえてなかったわ

 さてと夕飯か・・・昼の事もあるしどんだけ間者がいるか分からないんだよね

 レミリア、アエル。ちょっと特殊な銃を渡すから帯の間に入れておいて」


 インベントリからアルベルト愛用品の特殊な拳銃を取り出す

 プレッシングピストルという、とても外見からは拳銃に見えないそれは

 折り畳み式のペンチ等のツールかホッチキスのような形状に見える

 手中に納まる程度の大きさで、先端に2つ銃口があり、2発の弾を装填できる

 ボディーの後方に握りしめて激発させるレバー状のトリガーが配置されている

 専用の7,65x15mm弾を使うのだが殺傷能力は高くない。しかし携帯性に優れ

 武器に見えないその見た目は、相手の意表を突く事が出来る優位性がある

 

「これなんですか? これが拳銃??? もの凄いヘンテコですねこれ?」


「私も触ったら何となく分かったけど・・・これが拳銃とは思わなかった」


「これは要人警護の特殊訓練受けた人員の為に開発された特殊な武器だからね

 携帯性と隠匿性を求めた上に、一定の阻止力を持たせようとした代物だよ

 あれだよ、アルベルトがこれ常に携帯してるけど、気付かなかったでしょ?

 袖口に何個か隠してるはずだけど、こういう形状なので隠しやすいんだよ

 アルベルトのやつは極悪だけどね。結構強化してあって+25だったかな?

 オスミウム弾芯のテフロンコーティング弾に限界まで火薬つめたの使って

 銃の強化段階もかなりいってるので、ボディーアーマー抜くんだよね

 挙句にオスミウムって酸化したり加熱すると、有毒性物質になるんだよ

 体内に入ると酷い事になるらしいけど、幸いにして今のとこ検証されてない

 アルベルトが防衛戦に出張るような基地の中枢まで侵攻されなかったからね」


「なんですそれ?? この大きさで達成できる火力じゃないですよね??」


「これはCall to Stormってゲームの仕様なので非常識なのは仕方がないのだけど

 あの世界だとね、強化って項目があって、+9まではそこまで非常識じゃない

 +10を超えるとだんだん威力がおかしくなっていって、+20を超えたら

 元の武器が何であろうが、強化段階に応じた威力に変わっていくのよ

 まあ、好きな銃とか武器で遊びたいってユーザーの意見を反映したらしいよ

 ただ、+20を超えると成功率が低いのと、物凄く資材とお金がかかるんだよ

 私はそこらへんが一切困ってなかったのよ。人から沢山もらっていたから

 ゲームを辞めるから引退するって友達がね、今まで貯めてきた物資だお金だ

 全部くれてやめていったのが多かったのよ。まあ、みんな結婚とか生活でさ

 ゲームなんて続けられないってなっていって、その予定もなかった私や一部

 のフレだけが取り残されて、もらった遺産でどんどん強くなっていったわけだ

 まあ、万が一戻ってきた時の事を考えて、極力使わないようにしてたので

 自力でもセコケチとかゴミ拾いと言われるレベルで御金貯めてたけどね・・・」


「聞くのが怖いんですけど・・・アルベルトさんのそれって、幾ら掛かってます?」


「50億円ちょいかかったかな? なので白王金貨50枚くらい?」


「はい?」「白王金貨50枚くらい」「冗談ですよね?」「いやマジです」


「レミリア、あんたが楽しんで乗ってたUH-60Mとかでも12億円ちょいだから

 白王金貨で12枚は超えるわよ? 兵器ってお金かかるし、過剰な強化って

 コストにさっぱり見合わないのよ。あれに50億かけるなら、対戦車ヘリ買う

 ほうがよほど使い道があるわけよ。ただそれでも、最後は個人武装が頼みでしょ

 だから性能に見合わないお金をかけてでも、装備は少しでも強化してたわけよ

 んでさ、そろそろ行かないと王様待たせてるから不味いよね? ご飯いこっか」


 二人が帯の内側にプレッシングピストルを収納したのを確かめて

 外見上や触ってみても分からないことを確認してから部屋から出る

 表に女中がそわそわした様子で待っていて、皆様がお待ちですと案内してくれる

 昼に訪れた際に、振動センサーと目視によるマッピングは自動でされているので

 案内が無くても到達可能なのだが、普通の人はこの同じような作りでやたらと角

 を曲がる侵入者対策が設計に盛り込まれたこの場内は、迷うってことなんだろう

 しかもこの女中、わざと遠回りをしたりしている。おそらく最短ルートを避ける

 のは、城内の安全対策もあるのだろうが、途中にある部屋の前を通られたくない

 というのもあるのだろう。王族のプライベートエリアの領域に入ってから

 2度ほど、遠回りルートを案内されているので5分程移動に時間がかかった

 昼にカレーパニックが起きた部屋に到着して、女中が扉を開けてくれたので入る

 と、何やらやたらと騒々しい。理由はすぐにわかった、もう飲んでた・・・


「おお、やっとランバートン殿がおいでになったぞ! この酒は美味いですな!」


「ランバートン殿申し訳ありませぬ・・・待っている間に頂戴した酒でもと・・・

 陛下がそう言いだしまして飲み始めましたところ、既にこのような状態に・・・」


「・・・ダルカス、あのさ・・・ポートワインって意外にアルコール強いんだよ

 一般的なワインの1.5〰2倍のアルコール度数で20度近いのもあるんだけど

 どんなペースで陛下飲んでたの? 場合によっては医療行為が必要だよ?」


「えーとその・・・既に2本、陛下とフリーデン様とチェニス様で・・・」


「750mlを3人で2本。待たせた時間考えても最大で30分か・・・

 まあ、普段から水替わりに10度くいの酒は飲んでるから大丈夫だとは

 思うけどね。ただ、ペース落とさないと体によくないから取り上げといて」


 ダルカスが執事に命令を下して、うまいこと執事がボトルを遠ざけていく

 その間に女中が我々3人を席に案内してくれたので

 何事もなかったかのように素知らぬ顔で着席して対処をダルカスに任せる

 既に出来上がりつつある赤ら顔の陛下や王子達は手の届く範囲から酒が消えた

 事に不満を漏らし始めたが、ダルカスが王様に何やら耳打ちすると

 王様はわざとらしく咳払いをして姿勢を正す。それを見た王子二人も姿勢を正す


「陛下、遅くなりまして申し訳御座いません

 部下に私の国の民族衣装を選んだのですが、この国の衣装と勝手が違うので

 着付けと説明に手間取ってしまいました。お待たせして申し訳ございません」

 

 陛下が何かを言うまえに、先に口を開いてウソを混ぜた謝罪をしておく

 さすがに、考え事した挙句に隠し武器渡してて遅れましたとは言えない


「儂のほうこそ、あらかじめ時間を告げずに急かしてしまって済まなかった

 それに、何やら外では面白い事になって大変だったそうだのう?

 そのへんの話も食事をしながら聞きたいのだが、その前に一つ

 儂の家族を紹介しておきたいのだが、宜しいだろうか?」


 私が了承の意思を示すと、王様の近くにいた3人が立ち上がった

 第二王子のチェニスは既に知っているが、あとの二人が知らない人間だ

 まあ、第一王妃と第一王子なんだろうなと事前情報から考える

 

 王妃と思われる人物は、この世界で見てきた女性にしては肉付きが良い

 太っているというわけではなく、健康的で肉付きが良い印象を受ける

 が、一つだけ違和感を覚えるものがあった。髪型がなんというか・・・

 なんで腰まであるロングツインテールなんだ? 年齢的にそれは・・・

 5年程時間を遡れるのであれば、素直にお似合いですと思えたであろう

 しかし現状なんというか・・・ギリギリ・・・いやアウト? 微妙・・・

 という状態なのだが、本人はにこにこして実に楽しそうに見えるのが謎だ

 

 第一王子の方は、チェニスとまったく違う印象の短髪のがっしりした若者だ

 本当にチェニスと兄弟なのか? と思うくらい印象が違うのだが、じっくり

 顔の作りを見ると、ああこれ兄弟だねと目元だの鼻の形等に共通点がある

 二人の印象をまったく逆にしている大きな要素が、皮膚と髪の色である

 チェニスは少女漫画にでも出てきそうな、金髪ロンゲストレートの色白

 で、上品な貴公子という印象であるが、どこか病弱にも見える 

 それに対してフリーデンは、天然パーマ気味の赤見がかった金髪で

 肌の色は日焼けによるものか浅黒く体形ががっしりしているのもあって

 どちらかというと、王族というより酒場の覇者みたいな印象を受ける

 なるほどね・・・親が脳筋で、兄は肉筋。まあ、たぶん兄も脳筋だろう

 それに比べてみれば自分は貧弱に見えるからコンプレックスになるか

 チェニス、この際思い切ってイメチェンでママよりになってみたらどうだ?

 もうロングツインテとかポニテにして、違う路線いったらいいんじゃないか?

 等と意味不明な事を考えているうちに、王妃と思われる女性が口を開いた


 






投稿が遅くなりまして申し訳ありません

私自身は台風の被害は雨どいが壊れたり植木がやられた程度なのですが

親族が氾濫被害にあって避難してきたため、執筆が行えませんでした

しばらく避難滞在するとおもいますので、少し生活がばたばたして

投稿が不定期になると思います。申し訳ありませんm(_ _)m

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