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噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第三部 見えぬ脅威編
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逆光の商談 1

「レイラがやってくれるとはなぁ・・・それも王城の中でとはね

 飯は美味いわ、誰も恐れ多くて言えなかった事をってくれるわ

 今日はぐっすり気持ちよく眠れそうだこりゃ」


 バルロイがカツカレーにビールという最強の組み合わせを

 満喫しながら他人事のように先程の件を何やら言っている

 私はメインのカツカレーを半分程平らげるとサラダの容器を取り

 キウイの風味が脂物の料理と相性抜群なドレッシングがかかった

 チョップサラダを味わいながらバルロイをジト目で眺める


「あんたも説教垂れられたい?」「・・・・・・遠慮する」


「てかさ、バルロイもバルロイだよ。いつも酒だ飯だ当たり前に

 要求してさ、私はあんたの女房でも恋人でも女中でもないっての

 仕事の同僚として信頼もしてるし感謝をしている部分も多々あるが

 さっきみたいな時に現地の先任として助け船出すべきなんじゃない?」


「反省致します。ですからビールのおか「ドブの水でも啜ってろ!!」」


 やっとのことで、食事を少しは楽しめるようになったのだが

 何故か周囲はお通夜状態である、二名の満腹ガールを除外してだが

 私は一人、残りの少し冷めてしまった昼食をマイペースで食べている

 一喝されたことでバルロイまでお通夜モードに入ったので、実に静かだ

 レミリアとアエルは既にお弁当を食べ終えていたので、インベントリから

 アルベルトが淹れてくれた珈琲が入ったポッドとカップを取り出して渡す

 

「なんでレミリアとアエルは怒られないんだよ?」


「あのね、あの子らは私の部下だよ? んで仕事はきちんとしてるよ

 まあ、調子乗ることもあるし言いつけそのまま守るわけでもないけど

 やったこともない兵士なんてものを一生懸命やってくれてるじゃないのよ」


 やっとの事でデザートまでたどり着いたので、私も自分の分の珈琲を入れて

 カップチーズケーキを食べながらコーヒーを楽しむ。ああ、幸せじゃ

 やっぱり脂っこいもの食べた後のチーズケーキのさっぱり感と珈琲は最高だわ

 ああ、食後にタバコすいたいけどここじゃだめよだね? 一応後で聞いてみよ


「それでさバルロイ、この後ってどうなるの?」「わからん・・・」


「そこ少しは考える努力しない?」「いやあれ見て予想できるか??」


「したくないから聞いてるんじゃないの」「いやそう言われてもな・・・」


 私も関わりたくないし、食後直ぐに面倒とかやだな

 せめて食休みくらいしたいので、インベントリからビールを取り出す

 最近24時間、思い立ったら即飲酒体制になってるな・・・

 現実じゃ考えられんことだった、駄目人間の証拠みたいな行動だった

 なのにここじゃ、あんまりそれに対して違和感がないというか

 結構普通に食事ごとに、休憩ごとに飲酒をしても良いんじゃないか?

 って思えるようになってるんだよね。バルロイの影響かなこれ??


「それで、国王陛下に宰相閣下、いつまでこの状況続けるんですか?

 たかが昼食で狂喜乱舞した上に息子の飯まで取り上げて・・・

 一体何してるんですか? 仮にもお二人はこの国の重要人物でしょ?

 私は貴族やら王族やらという御大層な身分ではないですけど

 招かれてここにきたら、なんか成り行きとはいえ使用人から兵隊に

 まで飯を振舞う羽目になり、エスコート役の御子息には泣きつかれるわ

 どうなってんですこれ? てかこれからどうするんです?」


 もう椅子に斜に座ったまま、缶ビールくぴくぴしながら王様に

 こういうことを言うのは普通じゃあり得ないのは分かってるのだけど

 なんかもう・・・この世界の食べ物に対する熱狂的な執着心につかれた

 まあ、初見だけど、今の状況で逆切れしてくるタイプにも見えないし

 無礼者め手打ちにしてくれるわってタイプでもなさそうなので、ちょっと

 試してみているってところもあるんだけどね


「その・・・使徒殿のおっしゃる通りで御座います・・・あの・・・

 誠に申し訳御座いませぬ・・・国王として謝罪致します・・・」


「いえ、陛下、それは違います。本来であれば陛下を御止めすべき

 立場にある私が職務を怠り混乱を広げた原因であります・・・

 使途殿、どうかどうか、全ては私の責任であります・・・

 何卒、陛下や他の者に厳しい罰を与えぬよう、私の身はどうなっても

 構いませんので、どうかお慈悲を賜りたく・・・・・・」


「どうなってもいい? なるほど・・・ハエールEXλ没収でもいい?」


 顔を伏せていた宰相が、がばっと顔を跳ね上げ、絶望に満ちた表情で

 目を閉じて滝のように涙を流しながら、口を大きくあけて

 首を左右に細かくぷるぷる振って無言の抗議を行っている

 

「言葉と行動が一致してないよねそれ。まあ、冗談だからいいけど

 私らも所用があったりするし、早めに村に帰らないといけないのよ

 帝国が攻めてくるかもなんでしょ? 指揮官不在で副官だけで戦闘とか

 そんな部下に示しが立たない事なるべくしたくないんですよ

 なのでちょっと食休みしたら、やることぱぱっとやっちゃいましょ?」


 残りのビールを一気に飲み干して、空き缶をわざと音を立てて握りつぶす

 王様と宰相がビクっと跳ね上がる、こいつら甘くするとダメなタイプだ

 ここでちょっとばかり脅しておかないとまたペース乱されかねない

 食後の片付け、といってもインベントリに再利用可能なものはしまい

 再生利用が可能なものはリサイクルボックスに入れる

 それから全員に、最初の席に戻って真面目にお話しましょうと微笑み

 これくらいはサービスしてやるかと、紅茶のペットボトルを取り出して

 各自に配って事務的に処理しなければならない項目について話し始める


「既にチェニス王子から報告は行き届いていると思いますが

 おそらく帝国が配置したと思われるアーミーゴブリンの討伐証明部位

 及びアーミーゴブリンが巣穴にしていた洞窟に置かれていた物品と

 正体不明の魔物?の死体、及び一部アーミーゴブリンの死体と

 メイジャーゴブリンの死体。それらゴブリンの装備していた

 武器防具等をこちらに持参してきております

 また、ワグナーの配下もしくは帝国から派遣された協力者と

 思われる者の死体と装備も持参してきています」


 インベントリから小型のブルーシートを取り出してテーブルに敷き

 その上に、サンプルとして洞窟から持って帰った品の幾つかを置く

 宰相と近衛が身を乗り出して、置かれたサンプルの一つに注目する

 ああ、やっぱそれか、アーミーゴブリンの鎧と武器に興味があるのか


「これらの提出は良いのですが、適切な価格による買い上げを希望します

 ゴブリンの装備品についてはこちらでも解析及び再利用の可能性があるので

 そちらで研究、解析用として1セットを提供させて頂きますが、残りは

 私が使う予定です。これについては話し合い次第では

 もう少しお譲りしても構わないと現状では考えております」


 宰相と近衛が注目する魔鋼の鎧と剣の横に、新たに盾とメイスと手斧を

 取り出して並べる。宰相は今直ぐにでも手に取って確認したい様子だ


「アーミーゴブリンの討伐証明部位については、冒険者ギルドなる

 組織に提出する予定です。これらの成果は何かしらの恩賞が与えられる

 という事ですので、名誉男爵の地位を希望します。理由としては国家又は

 貴族という階級社会による束縛と義務を避けたいので、名誉男爵という

 最低限の義務で固有兵力の公式な所有許可が欲しい事と、レイドック男爵

 領に現在公式な固有戦力が存在しないので、その拡充のためとお考え下さい」


「使途殿、国と致しましてはゴブリンが装備していた武器防具は全て提出して

 頂きたい。それは魔鋼という素材で、とても貴重な素材です

 それを帝国がどのような手段で手に入れ、これほどまでの数を魔物如きに

 何故装備させたかを究明しなければ我が国は危うい状態なのです」

 

「宰相閣下、今は商談をしている状況です。互いに肩書を捨てませんか?

 後ろ盾に国がある、後ろ盾に女神がいる。こういう商談はつまらない

 私の名前はレイラ・ランバートン。既に報告でご存じとは思いますが

 ランバートなりレイラなり、お好きに呼んで下さい」


 宰相は妙に嬉しそうにニヤリと笑うと


「では私の事も、名前で呼んでいただけますかな?

 ヴィシュマル・ダルク。名前は長いので親しい人はマルと呼びます」


「分かりました。ではダルク殿、先のお話にお答えしますが

 全部の提出はお断りします。と言いたいところですが、交換条件を

 受け入れて頂けるのであれば、140セットまでなら提出します

 10セットは研究解析用に私も手元に置いておきたいので

 140セットを提出する条件は、支払い方法です

 ミスリルと呼ばれる金属で代価を支払うこと。これが条件です」


「ミスリルですか・・・あれは貴重な金属で在庫はそれほど多く

 無いのですよ。正直に申しまして、あまり放出したくはありません」


「全額分ミスリルで支払う必要はありません。国家の運用分を

 考慮した上で、余剰分を支払いに充てて頂ければそれで構いません」


 宰相は私から視線を外すと、指でコツコツとテーブルをしばらく叩く

 こりゃ何かこちらから譲歩を引き出すための思考を巡らせていると

 わかるあからさまな行動すぎて、フェイクだとすぐにわかる

 左手でテーブルの上を叩きながら、宰相は右手をだらりと下げている

 おそらく、私に見えないように下げた手を動かして、ハンドサイン

 のような物で、後ろにいる執事か近衛あたりに何か指示出しだなこれ

 勘は当たりだったようで、近衛の一人が咳払いを2度程する

 そのやりとりが何を意味するかは分からないが、宰相はそれを合図に

 私に視線を戻して、笑みを浮かべて口を開いた


「宜しいでしょう。ミスリル100㎏を提供させて頂きます

 ただしこの量ですと、買い取り額を上回る可能性がありますので

 まずは現品の査定をさせて頂いても宜しいでしょうか?

 バルロイ殿を疑うわけではありませんが、念のために

 双方が鑑定人を出して結果を互いに提示し、値段に差異がないか

 まあ、スキルのレベル次第では多少の差がでますので

 許容範囲かの確認をまずは行うということで宜しいでしょうか?」


「それで結構です。買取金額よりもミスリルが多い場合は

 そのほかの提出物の買い取り額をそれにあてる 

 それでも足りない場合は、私が差額分をそちらに支払う 

 ただ、まずは値段が分からないとどうしようもない

 そちらの鑑定担当の方を手配して下さい」


 宰相はそれを聞くと豪快に笑いだし、すっと立ち上がった


「私が鑑定スキルを持っていますので、このまま直ぐ始めましょう」


「失礼致しました。バルロイ、鑑定頼むわ」






 

修正履歴

 2019年09月30日

 

ヴィシュマル・ザルス を ヴィシュマル・ダルクに修正


ザロス君とザルスで響きが似ていたので、宰相の名前を変更しました


光源=宰相

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