表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
噂の彼女はフルボーグ ゲーマーOL異世界転生記  作者: 弩理庵
第三部 見えぬ脅威編
101/131

間者 1

「では早速、その毛生え薬「まてこら!」」


「気持ちは分かるが、先に治療。その後で使わないと

 下手すると、生えた瞬間ぬ全部抜け落ちますよ??」


 毛生え薬に躊躇う事なく手を伸ばした宰相の手を叩いて

 まずは先に治療だと説明すると、渋々従った

 どんだけ毛に執着あんのよ・・・・・・

 命の方がやばいっていうのに何考えてるんだ??


「これは5分くらいかな、治療に時間が必要なので椅子に座って

 リラックスして下さい。痛いとか苦しいとかはありませんので

 治療中に飲食をしても大丈夫ですが、ズレるといけないので

 移動はしないで座ったままでいて下さいね」


 宰相が頷いて理解を示したので、メディパックLを投げつける

 何故かベストヒットの頭頂部におちて ぺちゃん と音をたてる

 女中連中と執事が先程は耐えきった笑いを今度は耐えきれなかった

 チェニスはもう顔をあげもしない、あげたらまずい事になってるのだろう

 王様は目を閉じて、拳を口にあてて祈るように必死で耐えている


「貴様ら今のうちに笑うが良い! もうすぐ私はふっさふさになるのだ!!!」


 宰相が魂の叫びをあげたが、逆効果でついに全員のダムが決壊した

 げらげらと笑い声が室内に大音量で響き渡り、中には床でのたうつ者もいる

 全員が笑い転げて宰相を直視していなかったのは私にとっては幸運だった

 宰相の体は淡い光に包まれ、明らかに肉体に変化が起きているのが

 目に見えてはっきりとわかる。先程まで今にも倒れそうだった体に肉が戻り

 土気色だった顔にはうっすらと赤みすら差し始めている

 それよりも驚いたのは、筋肉がじわじわと増え始めている

 おそらくこの状態になる以前の彼は、そういう肉体だったのであろう

 メディパックLはメディパックEX程ではないが状態の復元を行う

 この場合、現在一番重要な問題として治療が施されている鉛中毒

 おそらく、この中毒が始まった頃の肉体に逆行して治療が行われている

 また、腕が完全に肩口から無い等の場合は欠損再生が不可能なのだが

 腕が肘から先まではある状態なら、手の再生くらいならしてしまう

 室内の爆笑の渦とは裏腹に、メディパックLはきちんと機能を果たしている

 治療ログがこちらの戦術リンク経由で私に流れてくるのだが、えらい多い


《神経痛関連だけで18か所? 正しく接合しなかった骨折箇所の修正に

 欠損した肺の一部の再生? 左手の2指の再生?? あれ義指なの??

 内蔵もボロボロじゃない、ほとんど全部再生ログでてるよこれ

 男性器機能障害の回復って・・・そっちも回復するのこれ!?

 あ、歯なんてひどいじゃん、奥歯上下で4本再生でてるよ

 ここまで再生治療しても、メディパック1個で済むってさ

 これ絶対あの宰相、得したよね?? あ、目の治療まであるじゃん

 乱視と老眼の修正に、光感応物質の分泌量の調整とか、なんだこれ

 治療ってより、フルメンテナンスみたいな事態になってないこれ?》


《フルメンテナンスというか、4割くらい体を作り直してますねこれ

 私もこれほどの治療ログが一人から流れてくるのは初めてみました

 ただ、考えれば当たり前の事で、マスターと私が居た世界では

 兵器による状態異常や感染症はありましたが、いわゆる病気という

 状態異常は存在しません。また部位欠損も外部のみに限ります

 腕がちぎれた、足がちぎれた等の大まかな欠損はありますが

 歯や指や目が失われた等の細かいパーツ欠損は存在しませんでした

 元々あの世界では起きなかった欠損や状態異常、また病気や

 機能低下等も、全て改善されたとなれば当然の情報量だと思われます》


PiPi「メディパックLの使用が終了しました」


 電子音の後、治療終了のアナウンスが流れ宰相の体から淡い光が消える

 そこには血色がよく、顔つきも精機に溢れ、細マッチョな中年の男がいた

 さっき気の弱そうな細身のおっさんに見えたのがウソのようだ・・・


「なんという事でしょうか・・・体に精気が溢れ倦怠感がまるでない

 体中のあちこちの痛みがウソのようだ・・・それにこれは・・・

 ああああ!? なんという事だ! これは若き日に失った指が!!」

 

 宰相は左手の指の存在を確認して喜びと驚きを交互の顔に表して

 自分の左手が夢ではないことを確認するように動かしている

 王様が笑いから回復し、見違えるように精気溢れる姿になった宰相

 を見ると、立ち上がって宰相の元に駆けつけて、そして・・・殴った

 宰相はその拳を腹に力を込めて受け止めると、ぐふっと短い息を漏らし

 拳に耐えきり王様に向かって、ニヤリと凄みのある笑顔を向けた


「夢か! これは夢なのか! それとも真の事であるのか!」


「はっはっは陛下、夢ではありませぬぞ!

 私の体は20は若返ったような気分ですぞ!

 それが証に陛下の拳を、以前のように腹筋で耐えましたぞ!」


 脳筋だ、こいつら脳筋的なやつだ・・・拳で語り合いだ・・・

 互いに抱き合って、殴打でもしているような音を立てて背中を

 叩きあい、喜びを露わにする王様と宰相。何この絵図?

 そんな光景の中、一人の女中の動きがおかしいことに気付く

 目立たないように後ずさりして、扉のある方向に向かっている

 室内の他の人間はこの光景に驚きはしているが、基本的に喜び

 を表情に表しているのに、その一人だけは苦虫を噛み潰したような

 表情で、ゆっくりと移動しながら、出口である扉へと向かっている

 バルロイに視線を向けると、バルロイもそれに気づいたようで

 顎を動かしてこちらの視線に返答をする。私はバルロイに向かって

 軽く頷いてサインを出すと、バルロイは一気にテーブルの上を抜けて

 扉に向かっていた女中の目の前に着地して、そのまま拳を鳩尾に

 叩き込む。しかし女中は一撃を食らった物の、体をひねって力を

 受け流し、後方に跳躍してバルロイから距離を取りながら

 スカートの中から何かを取り出そうとする

 M40-A1を抜くと、着地の瞬間を狙って右肩にダブルタップで叩き込む

 突然響いた銃声に室内が一瞬で静かになり、全員の視線が私に向けられる

 右肩に2発食らった女中は姿勢を崩してよろけるが、そこにバルロイが

 もう一度間を詰めて、今度は確実に鳩尾に拳を叩き込んだ


「使徒殿、何をなさったのですか!?」「その女中は怪しい、拘束する」

 

 相手の反論を許さないきつい口調でそう言い放つ

 バルロイは即座に倒れた女中の口を開き、口内を確認していく

 何かみつけたらしく、短刀を抜くと口の中につっこんでごりごりし始める

 結構な血が出ているが、バルロイはためらう事なく作業を続行し

 口の中から奥歯らしきものを二つ抜きだすと床に置いた

 それから服のポケットからあまり綺麗ではないハンカチのような物を取り

 出して、女中の撃たれた肩の付け根を縛って止血を図る


「奥歯に見える義歯だな。かなり出来がいい、骨を削って作った物だな

 裏側におそらく、毒かなんかが仕込んである。自決用だろうよ」


 インベントリから鎮静剤パックを取り出してバルロイの足元に投げる

 バルロイは以前にみて使い方を知っているので、拾い上げると

 女中に向かってぽいとなげて、鎮静剤パックを作動させる

 

「国王陛下及び宰相閣下、突然発砲したことをまずはお詫びします

 宰相閣下の状態が良くなられて皆が喜んでいる中でこの女中だけ

 他者の注目を浴びないような動きと位置取りで扉を目指していました

 他の者とあまりに反応が違うので、私の独断で拘束することにしました

 何か問題が発生した場合、処罰されるのは私一人でお願いします

 バルロイは私の命令に従っただけで、彼に責任はありません」


「いや、俺もこいつが怪しいと思ったんで命令されなくても動いたさ

 それにこいつは黒だ、これで処罰されることはないさ

 すくなくとも王国じゃこんな義歯に仕込む毒なんてのは使ってない

 王国の密偵も確かに義歯に毒を仕込むんだがな、骨じゃない、陶器

 でできた歯を使うんだよ。そのほうが確実に割れるからな」


 バルロイが床に置いた義歯を取って、テーブルの上に置いて皆に見せる

 血だらけでグロテスクなものがいきなりテーブルに置かれたわけだが

 誰もそれに悲鳴を上げるということはなく、厳しい表情で見つめている


「こいつのスカートの中に仕込まれてた武器は小さいが投げナイフだろう

 おそらく刃には毒が塗ってある。そうでなけりゃこの土壇場で取ろうと

 しないだろうよ。ただの投げナイフでこの状況を突破できるだけの

 確実性はないからな。まあ、スカートまくって調べるのは女に任すさ」


「あら、誰にも批判されずにじっくり眺めるチャンス捨てちゃうの?」


「俺はそういう趣味はねーよ。とりあえず、護衛の兵を呼んでくれ

 それとこういった奴に慣れてる尋問なり拷問担当もだ

 地下に牢でもたぶんあるんだろ? そこでじっくり取り調べてくれ」


「アルベルトがいたらやらせたんだけどね・・・

 彼、そういうの趣味で鍛えてるから

 ザロス君は経験済みだから、アルベルトの腕分かるでしょ?」


 ザロス君が無言でぶんぶん顔を上下に振って同意する

 アルベルトのは心理的自白効果を使うから、恐怖は植え付けるけど

 肉体の損傷とか脳の物理的損傷がないからましなんだよね

 まあ、心理的な傷は酷いのが残るかもしれないけど


「一応、善悪の天秤をかけてみるか」

 

 ああ、以前教会の地下で使った魔法、そういう名前なのか

 バルロイがぶつぶついって魔法をかけているような行動をとる

 バルロイの魔法って、こう、五感的にわからないやつがおおいので

 たぶん、かけてるだろうな? ってしかわからないんだよね


「あたりだ。こいつは王国に対して明確な悪意をもっている

 あと宰相に対しては、かなり強い殺意に近い悪意を持っている」


「その魔法便利ね。なんでミレイヌさんとバルロイしか使えないの?」


「いや、もっとちゃんとしたのを教会の上級司祭なら使えるはずだ

 俺のこれは、魔法の習得に失敗して偶然できあがった、亜種なんだよ

 だから欠点として、俺にしかその内容が分からないのさ

 司祭がかけるやつは、色のついた光みたいのが対象から浮き出るので

 それも、声にだした質問に反応してそれが出るので、周囲の人間が

 共有して認識できるって利点があるんだよ。俺の魔法だとな、俺が

 嘘ついてたらわかんねーわけだ。だから確実性がないんだよ」


「逆にその代わりに、かけたってのも探知する手段がないと分からないか」


「そういう意味では便利だな。俺と賭け事をすると損をすることになる」



 







お詫び

申し訳ありません、予約投稿の日付を間違えていました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ