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とある◯◯の△△

とある先輩の呟き

作者: にゃんた

なんか夢に見たので書きましたにゃー

作者の拙い文章にどうかお付き合いいただければ…


うちの大学には、目を惹く生徒が2人(ときどき3人)いる。

数多の女子生徒たちに囲まれ、常にきゃーきゃーと騒がれている。




今日も今日とて、そんなアイツらが大学にやって来た。

その証拠に、彼らがどこに居ようと張り付いている、女子の黄色い悲鳴(こえ)が近づいて来る…




女子の集団に囲まれてなお、頭一つ分抜けて見えるのは、水瀬(みなせ) (あきら)

目立つ2人の片割れである。


容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能、さらには言葉少なで愛想は無いものの、性格だって悪くないときたもんだ。


モテないわけがねぇ。

ミスターコンとかに出したら、即優勝レベルだ。

2年生にして、学内トップクラスの有名人。

凛々しい顔立ちが表情がないに等しいのも相俟あいまって、「クールで素敵!」と大人気なのだ。




おっと…もう片方も忘れちゃいけない。

背の高い女子生徒と同じくらいの身長で、男としては小柄で華奢な1年生の水瀬(みなせ) (りょう)

こちらも瑛に負けず劣らず大人気である。

綺麗系の中性的な美貌、トレードマークでもあるにこにことした笑顔、明るく活発で社交的な性格…



なんでこう、この2人にはモテ要素しか無いんだ⁈

ひがむぞ⁈俺は!



しかし、涼のことを語る上で最も外しちゃいけないのは、その人誑ひとたらしっぷりだ。



涼は、性質たちの悪いことに、無愛想な兄に追い縋る女子たちに甘い言葉を囁いては落としている。


それはもう、落としまくりである。



それだけなら、男からは嫉妬の的になるはずなのだが、実情は異なる。

涼の持つ中性的な美貌は、生来の無邪気さや性根の真っ直ぐさ故か、男相手にもその効果を遺憾いかんなく発揮している。

否、発揮してしまっている、と言った方が良いだろう。

優しいのか、律儀なのか、はたまた天然なのか…

相手が誰かに関わらず、恥ずかしい台詞をさらりと吐きやがる。


瑛に袖にされ、涼の甘い囁きに落ちた女は数知れず…

瑛に無視され、涼に優しくされてコロっとイった男も数知れず…



コレ、無意識じゃなかったら、この2人どんだけ打算的なんだよ⁈怖ぇな!




最後の、時々いる三人目ってのは、2人の幼馴染の(ひじり) 星夜(せいや)だ。

涼と同じく1年生で、良く涼と一緒にいるところを見かける。

意外に面倒見がいいようで、天然で抜けたところのある涼を呆れつつもフォローし、助けてやっている、らしい(俺は3年だから、よくわからん)。

俺の女友達に芯から腐った奴がいるんだが、そいつが、頻繁に2人の様子を見に行っている。






とりあえず、この3人がうちの大学の人気者達である。






お。

タイミング良く水瀬達を含む集団が目の前を通るところだ。

今日のアイツらはどんなかな〜…と。




「待って、瑛!私のこと捨てるの⁈」


「水瀬センパイ!好きです!付き合ってくださいっ!」



おぉ…周りを取り囲む女子が次々と叫ぶ叫ぶ。

女子、元気だなぁ。

うん、今日も元気に修羅場ってる!



「…」


瑛は、そんな周囲をチラリと一瞥し、フイと視線を逸らす。もちろん、何も言わずに。



「エリカさん、だっけ?泣かないで…せっかくの美人が台無しだよ?貴女には笑顔が似合うと思う。」


涼が、瑛にフラれた元カノらしき女の子に声を掛けている。瑛の背に向かって手を伸ばし、捨てないでと泣いていた彼女の顔に、笑みが浮かんだ。



「アユミちゃん、気にしない気にしない!兄さん、見る目ないな。君はこんなに素敵なのに!」


涼に優しく声をかけられ、告白を無視されて項垂れていた女の子の顔が目に見えて輝く。

潤んだ目で涼を見上げるアユミとやらは、既に涼以外は眼中にないようだ。


あぁ、また今日も、この兄弟にいったい何人が落ちたのか…



女子達を宥め続けている涼に、唐突に瑛が歩み寄る。

そして、流れるように自然な動作で耳元に口を寄せ、何か吹き込んだ。

ボソっと呟かれた言葉は聞こえた人はほとんどいないようだ。

久しぶりに瑛が発した言葉に反応した者はおらず、瑛が見せた笑みと呼ぶには微か過ぎる表情の変化に周囲が騒めく。

彼は確かにこう言った。


「…秘密バラしたら、コイツらどんな反応すんのかな?…グズグズしてねぇで、行くぞ。」


何のことだ?秘密って?何をバラすって言うんだ?



「あ!待ってよ、兄さん!」


兄を追って涼も駆け出す…かに見えたが、集団を振り返って、にこっと笑顔を見せ、


「またね!」


と言って小さく手を振って去っていった。



あ。

また、何人か倒れた…


やっぱり、生で見るとえげつない程の破壊力だ。

特に最後に見せた涼の笑顔なんて、男の俺でもキュンときた。

何の変哲も無い別れの挨拶のはずなのに、涼が言うと、まるで☆マークが語尾についてるかのようなキラキラ感だったもんな…


どこぞのアイドルなんかより、よっぽどヤバい。

瑛の方も、涼と話すときには結構表情がある。

まぁ、口の端が3ミリくらい上がるか上がらないか程度だろうけど。


とにかく、彼らのうちの大学内での人気はとんでもなく凄い。

教授、助教授、事務員や警備員などなど含めて、大学関係者ほぼ全員がどちらか(または両方)のファンクラブに入っているって話だ。



俺は、アイツらが所属しているサークルの部長だ。

有名人だからって一後輩に対する接し方を崩すつもりはカケラもねぇけど、人気過ぎるのも困るんだよなぁ…

はぁ…


俺のサークルは人数が少ない。

俺、水瀬×2、聖と、あと2人の計6人だ。小規模だから、先輩後輩の垣根が低い。


よーするに、仲良しなの、俺たち。

3年生、2年生、1年生、それぞれ2人ずつで3年の俺がリーダー。

当然、人気者どもと話す機会も多いわけで…

ファンクラブメンバーに知れたら、俺ら大変だわ、コレ。

うちのサークルに女がいないことだけが救い…か。


皆口の堅い奴らで良かった…!


つーわけで、どこかのサークルリーダー(俺のことな。)の後輩観察ウォッチング、あーんど愚痴でしたぁー。



俺たちが超衝撃的な事実を知るのは、また後日…

続く、かも?

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