第1ノ界:#2
やっときました異世界に!!!
かなり強引だったと思いますが、まあいいだろう。
でも作者的にはもっと早めに行かせてもよかったっちゃーよかったのだが。
勢いが出せなかった…
もっと勢い付ける為、工夫しよ。
「ようこそ!よくぞ召喚に応えて下さいました!我が国の救世主“姫神娘”よ!」
銀髪碧眼の男は重そうなローブをゴワゴワと動かしながら、嬉しそうに両手を広げ、普通にしてもとろけそうな顔が益々とろけたような笑顔でまい達を出迎える。
次第に目を見開き、起き上がった姫愛鈴は「え!?」と口を開けて今の状況を飲み込めず、キョトンとしている。どうして学校から謎の場所へ移動されているのか。まるで今までの事も含めてドッキリでも受けたような状態だ。
「申し遅れました。私の名前はマーリンと申します。
この大カルディアン帝国を繋ぐ神官として、貴方を召喚させていただいた次第です。
我が国を救世主である姫神娘よ。何卒精霊と人を導き、具現化する能力を持つ貴方しか持たないそのお力で!混沌に落ちようとしているこの国、いえ、宇宙をお救いください…!」
(―――これは…!異世界召喚だぁあああああ!!
しかも救世主とか姫巫女とか言ってるぅ!しかもこの人。ウチを見て言ってるよぉぉほほほぉおお!
これは!これはこれはこれはっ!ウチが主人公?的なぁあ~~~~!?
ウチの冒険が今始まるっ!的なぁあああああああ~~あははぁん~~~~!?)
漫画やアニメ、ライトノベルでも。異世界での話を見ては、お馴染みの展開に「飽きた」と嘆いていたが。
現に自らがその場に立ち寄ると、その言葉はなんとも魅力的な言葉に聞こえた。
頬が固くなり、痛くなるほどの嬉しさが顔中を支配されるが、こぼれそうなほどのにやけ顔を見せられまいと、少し俯き、必死に抑える。
すると、あるもう一人の人物がマーリンの右肩を叩き、静かに耳打ちした。
「マーリン、こいつじゃない。あの奥にいるもう一人の女だ…。と王子が言っている…」
“奥にいるもう一人の女。”
その言葉に当てはまるのは、もう決まっている。
神だけがその言葉を拾ってしまい「ぁあ…やっぱり」と一息ついた…。
姫愛鈴はまだキョトンとした顔のまま、まだ寝ている遠山と白うさぎを揺する。
すると、揺すられた白うさぎの男は「ぅうんっ」とか細い声をだして、鼻にかかった眼鏡をくいっと動かした。
マーリンは、青い剣士に言われて。姫愛鈴を見てからまいの顔をもう一度見てニコリっと笑った後。
気を取り直して……
「失礼いたしました。私はマーリン。姫神娘とこの国カルディアン帝国をつなぐ―――」
「…ん?」
『まい。どうやら相手は勘違いしてたらしい』
(え?)
『まいが姫神娘だと思っていたが、姫愛鈴だったんだ。』
(あ…そうなんだ~…)
まいはガッカリと共に、なんだか納得した諦めがやってきて。穴にスッポリと収まるように落ち着く…
「しかし、何故二人。いや…男性もいるから四人も?」
「マーリンの奴。失敗しちゃったようだねぇー」
「いえいえっ!失敗ではありませんっ!
現にこんなに可愛らしく!美しい姿!まさしく姫神娘を召喚できた時点で成功なんですっ!」
マーリンは二人の美男子たちの耳打ちに反応し、姫愛鈴を抱きしめ反論する。
マーリンもこれは決まって美男子だ。
まいも神も、学園で美男子たちを悪い意味で見慣れてしまい、そして姫愛鈴に取り巻くやり取りも、これまた見慣れている。なので異世界に来たはずなのだが学園と大して変わらない光景に、一瞬。
「あれ?現実世界に戻ってきた」と誤認してしまった。
吐息が届くくらいの距離に迫られた姫愛鈴は、慌てて手で押し返すと、今いる全員に聞こえるくらいの声でその場を収める。
「ちょっと待ってください!なんのことだかわからないですよっ!
突然おかしな黒い人に襲われていた後にひめみことか…宇宙とか、私、そんなすごい人じゃないです!」
「そうそう。事情もわからないのに変な事言ってこないでくださいよ、ってかこれって誘拐?」
遠山がやっと目を覚まし、マーリンの腕を掴んで姫愛鈴を離す。
遠山はにっこりと笑っているが、目は笑ってはいない…遠山はこれが嘘でもなんでもない、現実に起きている奇劇であるとすぐに判断した。
そして、今度は学園生活の中で今まで見せることがなかったくらい、彼のまっすぐで鋭く、凛とした声でこうも話す。
「あのさ、悪いんだけど俺たちは勇者になる気ないし。姫ちゃんを戦場に立たせる気もまったくなんで。
せっかく召喚して悪いんだけど…元の場所に返してくれるよね?」
「ん゛っ…」
マーリンはその意気込みに負け、まだニコニコと笑ってはいたが少し尻込みをし、額に汗が滲ませていた。しかし、マーリンの背中を押すようにまたあの剣士が割って入るように思い留める。
剣士は青を基調とした銀色の西洋の甲冑に似た鎧を身にまとい、右肩・左肩に揺れる長い絹が揺れ、まるでマントのような黒髪の美男子であった。
その彼の顔は、美しさも相まってマネキンのように表情が固まり、目が殺伐としている…。
マーリンや姫愛鈴たちからは見えるかどうかわからないが、まいや…白うさぎからはその顔が見え、ゾッとした思いを抱く。
白うさぎは、実はすでにまい達から14m以上も離れ、まるでその場から逃げるように体を縮こませて動く。あともう少しで15mになるところを、突如彼の目の前に足止めする男がにやりと見下し、現れた。
それに合わせて、マーリンは笑いながらこう説いだす。
「残念ながらそれは出来ない。
何故ならば君たち、いや姫神娘を召喚することはこの国の国家機密事項だから、姫神娘が承諾しない以上。君たちはこの国の秘密を知ってしまった部外者として認識が変わってしまう。
そうなってしまったら、情報が漏れないように君らを処刑しないといけなくなるねぇー」
マーリンは笑いながら…いや、前までは敬語を使い。出来るだけよく見せようとしていたのだが、今はとてもふてぶてしく、しかも自分とは関係のない存在であるかのような態度を示しだした。
これは脅しではない。
しかし、大人に囲まれた子供である三人(姫愛鈴と遠山とまい)にはとても恐ろしい通告に聞こえる。
そして、その言葉に震えて固まる彼らに気づいてか否か。
別の、ひげを生やしどこかロビンフッドのイメージを感じさせる、緑色のローブに茶色の長いブーツ。鎧もあるが、それは一部しか着けていない。そんな男が追い打ちをかけるように畳みかけた。
「どうする?異世界のお前らには悪いがこの地に降り立った以上。王の命に従ってもらわないと、俺らも困るんだ。これでも俺たちは、人道的克、身分を下げて出向いているつもりなんだぜ?
ほら…見えるかな?
本来騎士の腰には、命よりも大事な剣をぶら下げているものなんだぜ。
でも、姫神娘が怖がらせるような真似はしない為に置いてきた。
騎士のプライドを置いてでの気持ちだ…どうか、頼むを聞いてくれないかなぁ?」
「………。」 「………。」 「………。」
姫愛鈴は言葉を詰まらせていたが、ただ一回だけ頷くだけで終わった。
「おお!承諾するのですね!助かりますっ!さあ、時間がありません。我が王の元へご案内いたしましょう!」
すると、マーリンはさっきの態度を変え。
てのひらを返して接してきた。
彼らはまだ納得できない点もあるのだが、しかし。こうなってしまった以上、引き返せない…
「姫ちゃん…!」
「大丈夫だよ遠山くん。私は平気だからっ」
(姫ちゃんが騎士たちに手を添えられて、馬に乗せられてしまった…ん?運転するのはまた、イケメンだ。やっべ、細マッチョだけどタイプかもしれない…)
それは赤髪で少々筋肉質の男性であった。
彼はとても凛とした眉と目をしており、その風格はとても頼もしいものである。
その心境を聞いてしまった神は、目元が鋭くなり、まいの頭を軽く小突いた。
「あたっ?」『…浮気はダメだよ?』
「っさてと残りの君たちは歩きだよ。若者は歩いてなんぼ。歩けるよね?」
「は?どのぐらい歩くかによると思うけど?」
「そうだねぇ。ざっと3時間くらい?」
「はぁあ!?」
「だーいじょうぶ大丈夫!ちゃんと休憩も挟むからっ!しっかりー!」
あの中年男性の騎士は、遠山とまいの前に茶色い馬にまたがったまま登場した後。さっさとあの赤髪の男に続いてしまった…。
逆らえないことをいいことに、色々と勝手なのだと遠山は怒る。
まいも怒ればいいのだろうが、どうも他人事のように受け流す…
そして(まあ。異世界なんてそんなものか…)と少し落胆するのであった…
時間が経ち、足元が次第に重くなってきたころ。
遠山はずっと馬に乗って悠々としている騎士たちの背中を追いかけ、騎士ではない一般市民と共に砂利道を進み、階段になった石や木の根っこを踏み入れて、息を切らしながら上がって行った。
まいは異世界へ行きたいと言っただけあり、少しでも目に焼き詰めようと周りを忙しそうに見回す。
(神様。木々が夏の太陽に当たったような色に光って、きれいだよ。
鮮やかな黄緑色ばかりだ…空気もとても澄み切ってて、まるで朝の空気みたいっ…!)
『きっと機械が発展していない世界なのかもしれないね。今の世界はどこもガスで充満しているから』
(そうかもね。あっ…神様、空が…)
まいと神は空を見上げ、現実と違うということを改めて実感する。
その空は、まだ夜でもないのに青と水色がマーブルのように入り混じり、白いキラキラと光る星々がダイヤモンドの如く光っていた。
まるで作り物のような“宇宙”であった。
しかし、雲や飛んでいる鳥のようなものが視界に入ると、二人は実際に存在する空だと実感する。
「きれい…」
まいはロマンチックな青空にうっとりとした気持ちになり、普段見せないだろう乙女な瞳を滲ませた。
すると、金髪で髪の毛が猫っ毛のようにふわふわとウェーブがかかり、一つ結びをしているオレンジ色を基調とする布を、マフラーのように巻いた騎士がまいに話しかけた。
「お付きの方、後ろをごらんっ」
彼は後ろを指さし、まいに示す。
まいたちが後ろを振り返ると、自分たちがいた場所は、聖域のような真っ白で植物に覆われた建物だと知ったと同時に、その建物の上には大きくて絵に描いたような虹が、姿を現していたのだ…!
「おおっ!」
『でかいね~』
「現実でこんなでかい虹は初めて見たっ!」
「幸福な事が起きると、こうして虹がでるんだ。
世界と俺たちの心は写し鏡のように変化するんだよ。まあ、君たちの世界もそうなのかも知れないんだけど。―――俺は“パーシヴァル”。
槍の名手でね、こうやって会ったのも何かの縁だ。
これからよろしくねっ」
「あっ、はい。私は木村まいと言います。よろしくお願いしますっ!
あと…私たちの世界では感情で天気なんて変わらないので、天気の気分によって決まってますね。」
「マジかぁっ!そうだったのかぁー!
いや…アーサーに現実世界ってところを搔い摘んで教えてくれただけだから。どう違うのか気になってたんだ!そうか…天気の気分によってかぁー!
いや!おほん…っ!
今のは忘れてくれ。
俺は君たちの世界に興味があるんだ。話せる範囲で構わないから、遠慮なく話してくれっ」
彼は一瞬、無邪気で好奇心旺盛な少年の顔をしていたが。
すぐにキリッとした出で立ちに戻し、格好をつける。
見た目も相まって。彼の印象がすぐに「自分をかっこよく見せようと頑張っている、二枚目系イケメン」というイメージが出来てしまった。
(かわえー)
『しかも、イケメンに見せようとする分だけ、馬鹿っぽく見えてくるなぁー』
(…怒ってない?)
『 怒 っ て な い 』
騎士たちはどんどん馬を歩かせ、前へ前へと進みにつれて口数も少なくなり、誰もが疲れを感じ、息を切らしていく中。
約4時間の獣道を抜け、やっとの思いで森を抜けると。広い草原の真ん中に真っ白な謎の壁が遠くからその姿が見えてきた。
姫愛鈴は目を真ん丸くして、赤毛の男性の服をくいっくいっと、軽くつまみ。
幼い子供のように上目遣いに問いかける。
「ねえ“ラモラック”さん!あれが街ですか!?」
「はい。あの塀は魔物が街に潜入しないよう邪気を跳ね返す魔法のレンガで作り上げられてまして、高さは312m。厚さは102mほどで設計されており、巨人だろうと容易に入れない作りになっております。」
「312…エッフェル塔の高さくらいじゃん…」
(進撃の…)『それ以上はいけない』
まるで映画のワンシーンのように、騎士たちの後ろ姿を合わせての情景は見事なものである。
姫愛鈴は今から始まるであろう冒険が、やっと身に染み出したのか、感動で目を潤ませた。
マーリンはクククッと、まるでイタズラ好きの顔をしたように笑う。
「お嬢さん、感動するのはまだ早いと思いますよ?姫神娘は今から王の城に入るのですから、気を引き締めておきませんと」
「そうだな。姫神娘さま、一度お城に着いた後。お茶に致しましょう。
馬に乗ったままは、さぞお疲れになられたことでしょう…」
「い、いえっ!私は別に…!」
「俺はつーかーれーたぁー!なんか飲みたいーっ!」
「…使いの者の癖に随分と態度がでかいねぇ」
「“トリスタン”!
っ済まなかった。トリスタンは少し礼儀知らずな者でな…本来ならば君たちも馬に乗せてやりたいところだが―――」
「えー、ラモラックがそれを言う?」
「…いつ俺が礼儀知らずなことをした?」
「例えばぁー、年上の俺に対して敬語を使わなかったりー」
「それは年上としての威厳がないお前の問題だろ。」
「俺のおやつ、勝手に食べちゃったりー…」
「それは貧乏くさく食べて、“冷蔵庫”に残しておくから!悪くなると思って食べてだなぁ…!
ってよさぬかっ!客人の前だぞっ!!」
「ほらそこっ、ほらでた!
確かに俺は威厳がないかもだけど腕は俺が上だと自負しているし、王もお前よりも信頼している。
なのにまるでお前は俺を最初っから戦力外みたいに垂れもの扱いしてー。
なんなの?俺に恨みあるの?」
「だったらどうなのだ―――」 「おいっ」
「姫神娘が怯えている…今は任務中だ。」
「はっ!す、すみません。とんだ恥ずかしいところをお見せして…っ!」
「い、いえ…そんな」
「あーい、ついまてーんっ」
「っ!」
「あわわっ!喧嘩はダメですよぉおお!」
赤毛で筋肉質っぽいのがラモラック。
あの緑色で、ロビンフッドのような中年男性がトリスタン…
まいは次第に彼らが何者なのかを、パズルのピースの如く理解していく。
マーリン。パーシヴァル。トリスタン…
これは確実に“アーサー王伝説”の登場キャラクターと同じ名だと、まいや神…
そして遠山はそう考えた。
だとすれば、この異世界はアーサー王伝説の物語に入ったのだろうか。
アーサー王伝説は、物語を見る機会は今までないが、その名前だけはゲームやアニメ等で独り歩きしたように聞いたことがあった。
アーサー王伝説は。
少年、アーサーが石に刺さった剣を引き抜き、マーリンやいろんな円卓の騎士たちと共に冒険し、国を守るという物語だ。
妖精やドラゴン、そして魔法も存在する物語だったはずなので、これほど異世界に特化したものはないと。思ったが…
(姫神娘って、物語でそんな話あったかなぁー)
『アーサー王伝説は、いくつもの物語があり。作者によってさまざまな形で残っているからな。
このアーサー王伝説もどこかの作者の物語からできた、もう一つのアーサー王伝説だろう』
(えっ?作者?)
神が何かとんでもないことを口にした後、塀の中に一か所だけ木材で出来た扉が。鎖の音を鳴らし下ろしてきた。
すると、真っ白な塀の中は。
オレンジ色の屋根を中心とした可愛らしくも懐かしい。
温かみがある中世ヨーロッパな街が、まるで包み紙の中に入っていたおもちゃのように。明るい曲とにぎやかな笑い声と共にその姿を現してくれた!
「わぁあ…」
姫愛鈴から感情のこもった声が漏れたと同時に、先頭に立つ騎士が「道を開けよっ!」と高らかな声とラッパを吹き、街の人々が慌ただしく閉じていた道を開かせる。
騎士たちは我が物顔のようにその道を堂々と、まっすぐに進むと、街の人々は姫愛鈴の顔を見て。わっ!と笑顔を浮かべだした!
「あれは姫神娘さまか!?」
「なんとお美しいっ!」
「わーい!姫神娘さまだー!」
「我が国に姫神娘がおいでなすった!」
「さすが騎士様たちっ!」
「姫神娘さまー!」
「すごい歓迎…」
「気負けしそうですか?姫神娘さま」
「あ、はい…その…」
「姫神娘はこの世界…いや。宇宙にとってなくてはならない。唯一無二のお方なのです。
そんな偉大な貴方が、わが国に足を踏み入れるということは、国の喜びに他なりません!」
「そ、そんな大した存在なんかじゃ…」
「またまたご謙遜を…あれが私たちの王がいる城。キャメロットです!」
マーリンは気負けする姫愛鈴を褒め上げると、自分の杖をあげて真っ白で高くそびえたつ。
まさしく物語で夢見たようなとても美しい城が彼らを出迎えた。
「私…」
姫愛鈴は、グッと言葉を飲み込み俯きだす…
遠山は馬の高さのせいで姫愛鈴の顔を見ることができなかったが、ひとつの言葉が耳に入り。
遅くなりましたが、ブクマありがとうございます!
>追加。
あと、#3の文をまるまるココに入れ込みました。
混乱させる元になると思いますが、よろしくお願いいたします。




